冷蔵庫の水抜きのやり方｜必要ない？引っ越し前に電源切り忘れたときの対処法は？

引っ越し前は荷づくりや不用品の整理はもちろん、役所への事務手続きなどもしないといけません。予定通りに準備が進まず、引っ越し前日や当日の朝にバタバタしてしまう場合も。

しかし、引っ越し準備の中には前日や当日では間に合わないものもあります。その1つは、冷蔵庫の水抜き。「水抜きなんて必要ない・しなくていい」と思って引っ越し当日までに冷蔵庫の水抜きを終わらせないと、最悪の場合、引っ越し業者が運んでくれない場合もあります。

本記事では、大事な冷蔵庫の水抜きのやり方について詳しく解説します。ハイセンスや日立などさまざまなメーカーから出ている冷蔵庫ですが、水抜きの方法や電源切り忘れた場合の対処法も紹介。また、水抜き不要の場合があるのか、引っ越し後の冷蔵庫に関する注意点などについても取り上げているので、ぜひチェックしてください。

水抜きの際に抜く水は、そもそも何からできているのかをみていきましょう。冷蔵庫の中には、庫内を冷やすために冷却器が設置されています。冷蔵庫を開閉するとき、冷却器に外の温かい空気が触れると水蒸気が冷やされ、霜ができるのです。

ほとんどの冷蔵庫には霜取り機能がついているため、通常であれば冷蔵庫自体の熱で霜が蒸発し、自然となくなるのが一般的です。しかし、停電や引っ越しで冷蔵庫が動かなくなると霜は蒸発せず、水となって冷蔵庫内に残ります。その蒸発しなかった霜が、水抜きしないといけない水の正体です。

冷蔵庫の電源を切ると霜が解けて水になりますが、水はトレー(ドレンパン)に集まるようになっており、トレーにたまった水を捨てるのを水抜きといいます。

トレーの場所はメーカーによって異なり、中にはトレーがない冷蔵庫もあるため水抜きの方法はさまざま。下記では、具体的な水抜きの方法を紹介しているので、ぜひチェックしてください。

冷蔵庫を運び出すとき、冷蔵庫を傾けますよね。水抜きをしないと、冷蔵庫を傾けたときに水が漏れる恐れがあります。水が漏れてしまうと床が濡れ、部屋や他の荷物を汚してしまう場合も。さらに、漏れ出た水で冷蔵庫が濡れた状態が続くと、冷蔵庫が故障する場合もあります。

水抜きを忘れた場合の家具や家電の汚損・故障は自己責任となり、引っ越し業者の補償対象外になります。それだけでなく、水抜きしていない冷蔵庫はトラックに載せてもらえず、後日、別料金で運ばなければいけない場合も。問題なく引っ越しを終えるためにも、冷蔵庫の水抜きは忘れずに行いましょう。

ただし、引っ越し業者によっては、水抜き不要となっている場合もあります。引っ越す際には、事前に引っ越し業者に確認しておくのがおすすめです。

水抜きをするには、冷蔵庫の電源を切る必要があります。引っ越し前日には電源を切れるように、冷蔵庫内の食材を整理しましょう。約10日〜1週間前から進めるのが理想です。

近距離への引っ越しの場合、使いかけの調味料など傷みにくい食材であれば持っていけます。取り出した食材は、電源を切った後、保冷剤を入れたクーラーボックスで保管してください。

冷蔵庫内の水がトレーに溜まるまでには半日以上かかります。遅くても前日の夜には電源を切るのが理想です。しっかり水抜きができるか心配な場合は、電源を切った後、冷蔵庫のドアを開けておくと、庫内の冷気が放出されやすくなります。

自動製氷機付きの冷蔵庫の場合は、さらに時間に余裕を持って電源を切る必要があります。貯氷ケースに残った氷や給水タンクの水を処分しても、製氷皿などに水が残っている可能性があります。給水タンクは引っ越しの2、3日前には空にしてください。

霜取り機能のない冷蔵庫の場合は、冷蔵庫の電源を切ったときに霜取りも行います。電源を切ると少しずつ霜が解けてくるため、外に漏れ出さないよう、ふきんなどで拭き取ってください。

霜取り不要・自動で霜取りができる冷蔵庫も、電源を切ると残っていた霜が解けて水がたまる場合があります。庫内を確認し、水がたまっていれば、拭き取ってください。拭き取れない部分の水は水抜き用のトレーなどにたまるので、水抜きで処理します。

また、詳しい霜取りのやり方については、以下の記事を参考にしてください。

水抜きは引っ越し前日か当日に行います。どこから水抜きをするのかはトレーの有無によって異なるため、以下では、それぞれの水抜きのやり方について詳しく解説します。

まず、トレーが設置されている冷蔵庫の水抜き方法について説明します。トレーがある場合は、冷蔵庫に設置されているトレーを引き出して溜まった水を捨てます。トレーは冷蔵庫の前面にあったり背面にあったりと、メーカーによって設置場所はさまざまです。

また、メーカーによっては、トレーではなく蒸発皿・ドレンパン・水受け皿など記載されているものもあります。どんな名称で記載されていても、水抜きの方法は変わりません。

日立やパナソニックの冷蔵庫には一部、トレーが設置されていないものがあります。トレーがない冷蔵庫は、背面下部に排水口があるため、冷蔵庫本体を傾け、排水口から水抜きをします。初めて冷蔵庫の水抜きをするときは、排水口にドライバーで穴を開ける必要があるケースも。

水抜きするときは、冷蔵庫の下に雑巾などを敷いて、ゆっくりに後ろに傾けてください。冷蔵庫は重たいので2人以上で行ってくださいね。難しいのであれば、引っ越し業者さんにお願いするのも可能です。

水抜きを行うのと同時に冷蔵庫の掃除も済ませておきましょう。付属品などは台所用洗剤で洗い、それ以外の冷蔵庫内は通常の布などを使って水拭きしてください。外側も布で水拭きした後は、エタノールスプレーを吹きかけておくのがおすすめです。

水抜きを忘れたと気づいたら、すぐに引っ越し業者に連絡しましょう。引っ越し前に連絡をしておくと、状況に合わせた対処法を考えてくれます。

しかし、引っ越し業者によって対応は異なるため、料金がかかるかどうか必ず確認してください。

季節や冷蔵庫のサイズにもよりますが、電源を切ってから霜が落ちるまで半日以上かかります。最低でも15時間は余裕を持っておくのをおすすめします。電源の切り忘れに気づいたら、すぐに電源を切ってください。

早く霜を解かすには、ドライヤーなどで温めると効果的です。しかし、熱風をあて続けると、冷蔵庫が故障してしまう可能性があります。そのため、ドライヤーを使う場合は冷風をおすすめします。

上で解説したように、冷蔵庫内の霜が解け出るまでには時間がかかります。なので、同じ町内など近場に引越す場合は、水抜きをしなくていい場合があります。

ただし、冷蔵庫のサイズや季節によって、水抜きや運搬にかかる時間が異なるため、全く水抜きが不要とは言えません。

冷蔵庫は引っ越し前だけでなく、引っ越し後も注意しなければならないポイントが2つあるので、それぞれ詳しく解説します。

冷蔵庫は設置後すぐに電源を入れてはいけません。傾けたり揺らしたりすると、内部の冷却装置が刺激を受ける恐れがあります。運搬中に刺激を受けると、冷蔵庫がうまく稼働せず、故障する可能性があります。

冷蔵庫を平坦な場所に設置してしばらくすると、冷却装置の機能が安定して正常に稼動するため、設置後30分〜1時間ほど経ってから電源を入れるようにしましょう。

電源を入れたらすぐに食品を冷蔵庫に入れたいところですが、庫内が十分に冷えてから入れてください。一般的に、庫内が冷えるまでにかかる時間は、夏場が10時間、冬場が2〜3時間です。

しかし、冷蔵庫の電源を入れた直後に食品を入れてしまうと、庫内に冷気が行き渡りにくくなります。そのため、冷蔵庫が冷えるまでの時間がさらに長くなってしまいます。

水抜きのやり方は、メーカーによってさまざまです。ここでは、「三菱」「パナソニック」「日立」「シャープ」「東芝」「ハイセンス」の6つのメーカーの冷蔵庫の水抜き方法をご紹介します。

• 三菱…三菱の冷蔵庫背面には、霜取りの水が溜まる蒸発皿が設置してあります。冷蔵庫を手前に引き出し、蒸発皿を引き抜いて中の水を捨てれば、排水は完了です。

• パナソニック…パナソニックの冷蔵庫の排水をする際は溶けた水が排水経路を通っていくため、冷蔵庫を傾けて水抜きします。排水栓を抜いて水を廃棄するタイプもありますが、容量が大きい冷蔵庫の場合は二人以上で冷蔵庫を傾けて行う必要があります。

• 日立…日立の冷蔵庫は、背面に水抜き用の排水口があるためそこから水を廃棄します。排水前に、あらかじめ水を受けるための容器や床を濡らさないためのタオルなどを設置しましょう。

• シャープ…蒸発皿が冷蔵庫の下部にあるので、前面から抜き取るのか背面から抜くのかの確認をして、そこから水を抜きましょう。

• 東芝…前面グリルを外し、底面の車輪が床につくように調整します。冷蔵庫を手前に引き、背面下部にある蒸発皿の水を抜きます。排水口の下に水を受ける容器を置き、排水口の奥の膜をドライバーなどで破ります。傾けて水を出したら排水栓を閉めます。

• ハイセンス…冷蔵庫内の食品・製氷皿の水・氷を取り出し、電源プラグを抜きます。水受け皿と蒸発皿に溜まった水を捨てて、前面か背面にある排水口から水抜きしてください。

冷蔵庫は、最低でも数年に一度の頻度で掃除をするようにしましょう。野菜くずなどが溜まりやすい野菜室は、こまめに掃除するのが理想です。生ものを入れている冷蔵庫は見た目よりも汚れている場合が多いので、汚れが気になったタイミングで掃除していきましょう。

一気にすべてを掃除するのは大変なので、冷蔵室・野菜室・冷凍室の部屋ごとに掃除をするのがおすすめです。

詳しくは下記の記事も参考にしてください。

以上、冷蔵庫の水抜きのやり方について解説しました。水抜きは計画的に行うことが大切です。引っ越し前には水抜きを忘れず行い、スムーズに移動できるようにしましょう。