電子レンジの解凍機能を解説｜解凍できない？肉に火が通る＆ムラなく解凍する方法も

ただ食材を温めるだけでなく、食材の解凍なども時短で簡単にできてしまう電子レンジ。電子レンジの解凍は「半解凍」「全解凍」などのボタンで解凍の仕方が分かれていたり、食材によって必要な解凍時間、熱量が違ったりしますが、「なんとなく」で解凍をしていませんか？

電子レンジの半解凍・解凍の使い方やワット数など、電子レンジという家電そのものの仕組みを理解していないと、電子レンジの解凍機能を使用してもムラになり、うまく解凍できない場合があります。食材が肉なのか魚なのか、野菜なのかなどによっても解凍方法が異なります。

そこで今回は、電子レンジの解凍方法を機能別、食材別に整理します。また、生焼けの肉や揚げ物で加熱に失敗した料理の中心まで火が通る温め方・ムラなく解凍する方法も注目してください。

ここでは、加熱と解凍の違いについて説明します。まず、電子レンジはマイクロ波で食品に含まれる水分を加熱し、食品を温めています。その周波数が低すぎても高すぎても加熱できません。また解凍は加熱と同じ周波数で、電力を下げて出力を抑えています。

日本は電波法により周波数を下げることができません。加熱に向いている周波数で解凍もするので、電力を下げてもムラができやすくなります。

電子レンジで解凍する際には、半解凍と全解凍どちらにすればいいのかという悩みや、ワット数はどんな強さに合わせるべきなのかという疑問が度々わいてきます。まずは電子レンジに備わっている機能の意味をおさらいし、正しい解凍の仕方を整理していきましょう。

電子レンジの中には、半解凍や全解凍といった、解凍にも種類を選択できるものもあります。半解凍に関しては"さっくり解凍"や"小解凍"といった表現をしている場合があります。この機能を上手く使うことが、上手な解凍をマスターする近道です。

電子レンジの半解凍は、少ない電力で短い時間、食材に熱を通すことができる機能です。包丁で切れるほどの固さになるまで解凍したい時に適しており、中はまだ少し凍っていて硬い状態になります。

電子レンジの全解凍は、中くらいの電力で食材に熱を通す機能です。半解凍とは異なり、中まで熱が通るため全体的に解凍されます。柔らかくなったり食材によってはほぐしやすくなったりして、凍っていた部分がなくなります。

解凍した後、すぐに加熱したり切ってそのまま食べたりする場合に適しています。

半解凍・全解凍などの機能が備わっていない電子レンジの場合は、手動で調整しながら解凍する必要があります。特に調整したいのは、電子レンジのワット数です。ワット数には主に200w・400w・500w・800w・1000wなどの種類があります。

数字が大きくなるにつれて電力が大きくなりますが、電力が大きくなればなるほど食材の内側まで熱が通りやすくなります。

少ないワット数での解凍に適しているのは、中まで火を通す必要のない解凍の場合です。主にカチカチに凍った食材を切りやすくしたり、解凍した後に火を通す場合の前段階での解凍に向いています。

大きいワット数での解凍に適しているのは、中まで火を通す必要のある解凍の場合です。解凍した後にそのまま切って食卓に出す刺身や、炒め物などの中まで火が通りにくい食材の解凍に適しています。

肉を解凍するときに気をつけたいのは、冷凍庫から取り出したらすぐに電子レンジで解凍を始めることです。電子レンジは食材に含まれる水分を振動させてあたためを行います。少しでも溶けた部分があると、溶け出した水分が触れている部分に振動がかかってあたためられるため、解凍ムラの原因となってしまいます。

そして、お肉の解凍にはポイントが2つ。「キッチンペーパーの使用」と「料理によって解凍方法を変えること」です。お肉はこのポイントを意識しましょう。

解凍のムラを減らすために活躍してくれるのは、「キッチンペーパー」です。

解凍前の肉を乾いたキッチンペーパーで覆って電子レンジに入れると、余分な水分が抜けて解凍ムラを減らせます。さらに、熱がこもって時短にもつながるため、ぜひキッチンペーパーを使いこなしてください。

解凍後の調理を考慮して解凍方法を変えると、料理の時短になります。肉を炒める前には半解凍（小さいワット数で短時間）をすると中まで火が通りやすくなり、炒める時間の短縮になります。

半解凍は唐揚げなどの油を使った料理にもおすすめで、全解凍した時の水っぽさを軽減することができ、全体的にカラッと仕上がります。さらに油はねも軽減できます。

全解凍は煮物などの解凍におすすめです。煮物は解凍されている部分が多ければ多いほど、中まで味を染み込ませることができるので、時短にもつながります。

魚を解凍する際にも、解凍のムラを防ぐために、冷凍庫から取り出したらすぐに解凍を始めましょう。魚の解凍のポイントは"生で食べるか・火を通すか"です。生で食べる場合は、芯が少し凍っている半解凍の状態で刺身状に切ると、形がきれいに整います。食卓に出す時にはちょうど自然に解凍され、程よく冷たい状態で食べられます。

さらに、自然解凍時に出る水分には魚の臭みやアクが含まれるため、お皿に盛る前にキッチンペーパーなどで水分を拭きましょう。美味しい刺身を出すことができます。

火を通す場合は全解凍をおすすめします。少し凍った状態で火にかけると、外側と内側との温度差が生じ、加熱ムラが出てしまいます。煮物などの場合はあまり気にすることはありませんが、炒める場合やサッと火にかける場合は特に全解凍がおすすめです。

野菜は、食材の中でも特に冷凍保存がしにくいものです。凍った水分が旨味などの成分を圧迫し壊してしまうため、水分の多い野菜はあまり冷凍保存には向いていません。野菜を冷凍する際には、できる限り茹でてから冷凍をかけるようにしましょう。

なお、冷凍した野菜でも美味しく食べられる解凍方法があります。それは、電子レンジで解凍のボタンを使わずに解凍するという方法です。

できる限り大きなワット数で、10秒〜20秒ほど電子レンジにかけると水分を少し飛ばせるので、べちゃっとなりません。大きなワット数に対応していない電子レンジの場合は、フライパンを使用する方法もあります。火を通しながらコーヒー豆を煎るようなイメージで解凍すると、水分が抜けて美味しく解凍できます。

ご飯は野菜と違って、冷凍保存に最も適した食材と言えます。しかし、食感や水気が大事な食材だからこそ、解凍方法には注意しなければならないポイントがあります。

冷凍保存する際には必ずラップなどで小分けにして冷凍し、解凍する際には一食分ずつラップのまま電子レンジにかけましょう。そうしないと解凍ムラができやすくなります。また、ラップをせずに茶碗などに入れてから解凍すると水分が飛んでしまい、パサパサな部分とべちゃべちゃな部分の加熱ムラができてしまいます。

以上を踏まえて、解凍の機能ではなくあたため機能を使い、状態を確認しながら解凍しましょう。これらのポイントを押さえておけば、炊き立てと変わらない美味しいご飯を食べられます。

電子レンジでの解凍は何かと時間がかかるイメージがありますよね。それもそのはず、凍っていてなかなか熱が中まで通らないからです。しかし、その電子レンジで解凍時間を短縮できれば、すぐに料理にとりかかることができ、急いでいる時にも解凍ができます。

解凍時間を短縮するために一番重要なのは、冷凍の仕方です。お肉はできるだけ重ならないように平らに薄くしてから冷凍するなど、中まですぐに熱が通るように薄くするという工夫が必要です。小分けでの冷凍が可能な場合は、一回分を小分けにして冷凍しておくことで、解凍時間の短縮になります。

解凍時間を短縮する工夫は、解凍ムラを防ぐことにもつながるため、うまく解凍するためには冷凍の方法を意識することがとても重要です。

調理の仕上がりのタイミングを間違えて、お肉が生焼け・揚げ物の中まで火が通っていなかった場合はどうしたらいいのでしょうか。その対処法をそれぞれ解説します。

肉や魚が生焼けだった場合は、ラップをふんわりとかけ、電子レンジのあたため機能を600ワットに設定して加熱しましょう。時々様子を見ながらあたためます。骨が付いている場合はそのまわりまでしっかりと火が通っているか確認してください。なお、ワット数に応じて加熱時間を調整しましょう。

揚げ物が半生状態の場合は、お皿にキッチンペーパーを敷いた上に食材をのせて、ラップなしであたためます。こちらも途中で様子を確認してください。キッチンペーパーが余分な油を吸い取るため、からりと美味しく仕上がるのでおすすめです。

電子レンジの正しい解凍方法を実践することで料理の幅が増え、より美味しい料理を作ることも可能です。「たかが解凍だが、されど解凍」。解凍も料理のひと工程です。料理の良し悪しを左右する大事な工程ですので、おさらいしながらよりいい解凍ライフを始めましょう。