単眼鏡の選び方とおすすめ商品9選｜バードウォッチングは双眼鏡とどっちがいい？

「単眼鏡」は、同じようにレンズを使った双眼鏡や望遠鏡よりも知名度は低いですが、単眼鏡にしかない魅力や便利さにいち早く注目し、バードウォッチング・観劇・美術鑑賞に愛用している方も増えています。

単眼鏡はレンズがひとつしか使われておらずシンプルな姿のため、どれを選んでも同じだろうと思われがちです。しかし、機種によって備えている性能は違い、最適な使用シーンも変わります。場所に合わせた使い分けで、より満足度の高い鑑賞や観測ができます。

この記事では、単眼鏡の特徴や最適な機種の選び方を含めチェックすべきポイント・おすすめの機種・双眼鏡とどっちがいいかなどの使い分けも詳しくご紹介します。コンサート・美術鑑賞・アウトドアなどがお好きな方はとくに要チェックです。ぜひ参考にしてください。

単眼鏡はピントを合わせられる距離が近いので、近くにあるものをしっかりと観察できます。これが一番のメリットです。

コンパクトサイズなものが多く、気軽に持ち運べるのも嬉しいポイントです。また、人が多く集まる場所でも周りの方に大袈裟な印象を与えることなく自然な感じに観察できます。

単眼鏡は、対象物を片目で見るため距離感・立体感をつかみにくいです。コンパクトなのは持ち運びに便利なものの、一度に観察できる範囲も小さくなってしまうのはデメリットといえます。

よく似た道具である双眼鏡と単眼鏡ですが、実は基本的な「見え方」が異なります。単眼鏡は片目で使用するため視野は平面的になり、立体感や遠近感を掴めません。また、小型で視野が狭いため、長時間の使用や動きの速いものを観察するのにはあまり向いていません。

一方、最短合焦距離(ピントを合わせられる最短の距離)は双眼鏡より短い機種が多いです。双眼鏡の最短合焦距離の限界は50cmほどですが、単眼鏡は15cm程度の近距離からピントを合わせられるものもあります。

単眼鏡は近距離のピントを合わせられる特徴から、単眼鏡は美術館や博物館の展示品鑑賞や、近くの動物・植物を観察するのに向いているのです。さらに、対象までの距離がレーザーで測れたり、赤外線を照射して暗闇の中で観察できる機種もあります。

倍率は「どのくらい近く見えるか」を示す値です。倍率に使われる数字は「実際の距離の〇分の1の距離から見ているレベルで見える」意味です。最適な倍率は使用シーンによって変わってきますが、4倍から10倍の範囲の機種であれば広く対応できます。

倍率が高くなればなるほど対象は近く見えますが、同時に視野は狭く・暗く見えるようになります。使用場所によっては近く見えすぎてしまい、満足のいく観測ができなくなってしまう場合もあるので注意です。

また、倍率が低いからといって、決して性能の低い機種ではありません。使用する場所での最適な倍率が分からない場合は、あまりに高倍率な機種を選ぶのは避けましょう。

単眼鏡には、「200倍」、「300倍」、「500倍」と高倍率を謳う製品もあります。高倍率の単眼鏡の多くは防振機能やレンズ径が工夫され、高倍率でも視野を明るく保つ対策がされていておすすめです。しかし、中には倍率が高いだけで全体のバランスを欠き、見えにくくなってしまう場合もあるので、購入前に確認するようにしましょう。

また、高機能な製品であってそのときの使用場所に適さなければ、近すぎてよく見えない場合もあります。倍率は見えやすさの指標ではないので、購入の際には目的に合った製品を選択するようにうしましょう。

下記の記事では、シーンに合わせた単眼鏡の選び方や倍率の目安から正しい使い方まで、単眼鏡を購入する際に役立つ情報をご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

単眼鏡は、機種によって視野の明るさが異なります。対物レンズの有効径が大きく、倍率が低いものほど光をたくさん集められるため、視野は明るくなる仕組みです。また、ひとみ径(対物レンズ有効径÷倍率)を2乗すると、双眼鏡本体の明るさレベルを求められます。

目安としては、日中ならば4以上、薄暗い場所ならば9以上の明るさレベルがある機種であれば満足のいく観測・鑑賞ができます。25程度ある機種ならば、天体観測など夜間の使用も可能です。

同じ倍率ならばレンズが大きい方が明るく見えますが、同時に本体も大きくなります。全体のバランスを考慮して選ぶのをおすすめします。

最短合焦距離はレンズを覗いたときにピントを合わせられるもっとも近い距離を指します。単眼鏡はより近くでピントが合わせられるのが大きな特徴で、ガラスケースに入った美術品などの鑑賞にはとくに大きな力を発揮します。

機種によっては15cm程度のごく近くにピントを合わせられるものや、レンズ構造を利用してルーペとしても使用できるユニークな機種も販売されています。遠い場所だけでなく、近いところも詳しく見られる機能が欲しい方は、双眼鏡などよりも単眼鏡がおすすめです。

携帯性の獲得のために重要なポイントが本体の重量です。単眼鏡は小型で軽量なのがメリットであり、最軽量モデルでは50g前後(小さい卵1個くらい)の機種もあります。観劇やスポーツ観戦などで長時間使用する場合はなるべく軽い機種を選んだ方が疲れにくくなります。

しかし、レンズが小さく軽量な機種は視野も暗くなりがちです。全体のスペックのバランスにも気を付けましょう。

眼鏡をかけている方に注目してほしいのがアイレリーフの長さです。アイレリーフは接眼レンズを覗きこんだときのレンズから瞳までの距離を示し、単眼鏡の性能を十分に実感するために重要な要素です。

アイレリーフが15mm以上ある機種ならば、眼鏡をかけた上からでも使えます。中には、接眼目当てを調整すると裸眼・眼鏡双方に対応できる機種もあります。

手ブレ防止機能が付いた単眼鏡です。手ブレの影響を抑えるカメラと同じように手ブレ補正機能が搭載されています。コンサート会場のように振動があっても像がぶれず、美術品の鑑賞をしたり、星空を観察したりするのにもおすすめです。

高価なものが多く、内臓されたモーターを動かす電源が必要となるデメリットもありますが、高倍率で手ブレの影響なく、対象物を観察できる点を考えると、持っていて損はしない商品です。

暗視スコープとも呼ばれ、暗闇の中で使用に特化しています。赤外線照射装置内蔵なので、完全な暗闇でも暗視可能です。単眼鏡から見た視界は緑色となり、夜行性の動物の観察・キャンプ・夜間の警備業務などでの特に役に立つはずです。

ただし、この製品は明るい場所で電源を入れると故障の原因となるので気を付けましょう。電池を入れるまでの作業は、明るい場所でも可能ですが、電源を入れるのは暗い場所に移ってからにしてください。

スマホに取り付けられる単眼鏡には、アダプター型とクリップ型の2種類あるため、用途に合わせて選ぶのをおすすめします。まず、アダプター型はしっかり固定ができるので、安定した撮影が必要な動画撮影などににおすすめです。アタッチメントタイプであれば、使うたびにケースを外す必要もないため、より安定感も増します。

スマホで手軽に質の高い写真を撮りたい場合は、クリップ型がおすすめです。広角レンズ・望遠レンズ・マクロレンズ・魚眼レンズなど多数のレンズが付属しているものもあります。挟むだけの構造のため、アダプターより安定感は劣りますが、その分スピーディーな撮影のセッティングが可能です。コンパクトでかさばらず持ち運びにもぴったりです。

下記の記事では、スマホで使用できる単眼鏡の種類や、選び方、単眼鏡を使ったおすすめも写真の撮り方などを紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

美術館・博物館は、単眼鏡がもっとも得意とする観賞場所で、美術館に最適な最短合焦距離の短い単眼鏡はミュージアムスコープと呼ばれます。近距離のものを見たいので、倍率は4～6倍程度・最短合焦距離が短いものを選びましょう。

倍率が低い機種ほど視野が明るいため、倍率4倍の機種を愛用している方は多いです。しかし、6倍の倍率があれば、混雑しているときでも離れた場所から鑑賞できます。明るさ・軽さなどの本体のスペック、会場の規模から最適なものを選んでください。

劇場に持って行く単眼鏡は最短合焦距離が中距離以上のものがよく選ばれ、ギャラリースコープと呼ばれます。小規模の劇場なら4倍程度、ドーム会場のような大きな場所なら8倍以上の倍率を持った機種で、薄暗い劇場内での鑑賞に堪える明るいものがおすすめです。

また、コンサートや演劇はプログラムが2時間以上の長いものがほとんどです。長時間の鑑賞でも腕が疲れにくい、軽量なものを選びましょう。

スポーツ観戦に単眼鏡を持って行く場合は、最短合焦距離が長く、長時間の観戦にも使用できる軽量な機種を選びましょう。バスケットボールなど近距離のスポーツなら4倍程度、サッカーや野球などの遠距離のスポーツなら6倍以上の倍率を持った機種がおすすめです。

ただし、単眼鏡は視野が狭い機種が多いため、激しい動きのものを追うのにはあまり向いていません。フィールド全体を鮮明に見たい場合は、広角の双眼鏡もおすすめです。

登山や野鳥を観察するバードウォッチング、ハイキングなど、野外で使用する単眼鏡は防水機能がついているものがおすすめです。突然の雨にも本体のダメージを軽減できるほか、沢登りなどの水辺のアクティビティにも安心して持っていけます。

また、ズーム機能のついた単眼鏡であれば近距離のものから遠距離のものまで詳細に観察できます。一方、晴れた日に野外で使用する場合は、明るすぎる機種では見えにくい可能性があるので注意です。軍用の単眼鏡は携帯性を高めており、耐衝撃・耐水性が高くおすすめです。

夜間に行われる天体観測や星空観察には、レンズ径が大きく明るく見える機種がおすすめです。100倍〜200倍の高倍率の単眼鏡であれば遠くの夜空見えやすくなります。明るさレベルが9以上ある機種であれば、暗い中でも鮮明な星空を観察できます。

突然の雨などに備えて、防水仕様であるかどうかのチェックも欠かせません。レンズ径が大きく高機能な機種は本体も大きくなりがちですが、重量のある機種の中には三脚に固定できるものもあります。

単眼鏡は動きの速いものを観るにはあまり向きませんが、バードウォッチングに対応できるタイプもあります。

倍率が10倍ほどあるものだと、野鳥が飛ぶ姿も捉えやすいです。場所によって明るさを調整しながら観察しましょう。手ブレ防止機能のついたものがおすすめです。

1957年創業の光学機器メーカーであるケンコー・トキナーは、とくに単眼鏡の開発に力を入れている企業です。シンプルな機種から暗視スコープのような専門的なものまで幅広く取り揃えられ、目的に合わせて最適なものを選べます。

1万円以下で購入できるコストパフォーマンスのいい機種も多くあり、コスパ最強ともいえる初心者の方でも手に取りやすいラインナップです。ルーペ機能のついたユニークな機種も販売されています。

天体望遠鏡や双眼鏡などの光学機器で有名なビクセンは、1949年に創立された老舗のメーカーです。最短合焦距離が短く倍率の低いミュージアムスコープや、8倍程度の高倍率な機種、ズーム式の防振単眼鏡なども展開しています。

とくにミュージアムスコープに定評があり、美術鑑賞や昆虫の観察に愛用している方も多いです。性能がよく値段も手頃なため、根強い人気があるメーカーです。

ニコンの設立は、なんと1917年でカメラの製造・販売でコマーシャルでもおなじみの、大変歴史のある光学機器メーカーです。単眼鏡のラインナップは少ないですが、カメラや眼鏡などのレンズの製造で培われた技術力が発揮され、バランスがよく使いやすいのが特徴です。

「買って損はしない」との声もあり、ほかメーカーと比較してやや高額ですが、優れた光学性能を備えたハイスペックな機種を開発しているメーカーとなっています。

単眼鏡は「覗けば見える」と思われがちですが、正しく使用するには、ピント調節を行う必要があります。ここでは、単眼鏡の使い方を簡単にご紹介します。

1. 観察したい対象を肉眼で捉えます。単眼鏡は視野が狭く、本体を覗きこみながら対象を探すのは困難です。
2. 単眼鏡を覗きます。この時点では焦点を合わせていない状態なので視野はぼんやりしています。
3. 対象が視野に入ったらピントを合わせます。近くのものを見る場合はレンズを開き、遠くのものを見る場合には少しずつレンズを絞ります。

単眼鏡には機種ごとに癖があり、慣れないうちは難しく感じるかもしれません。自分の単眼鏡の癖を掴むと素早くピント調節ができるようになります。

単眼鏡の選び方特集、いかがでしたか。レンズがひとつだけ使用された単眼鏡は、小型で軽量なため女性やお子さんにも使いやすい道具です。単眼鏡はコンパクトな本体に、さまざまなスペックを持っています。見たいものや使う場所に合わせて、ぜひお気に入りの1台を選んでくださいね。