接写リングの使い方を解説｜メリット・デメリットや原理も紹介【焦点距離は変わる？】

接写リングはカメラのための撮影道具です。金属の丸い輪（円筒形）になっていますが、レンズは入っていません。使い方は非常に簡単で、これをカメラ本体とレンズに取り付けてピントが合うところまでレンズを被写体に近づけたら、後はシャッターを押すだけです。

小さいものを画面いっぱいに撮影したい場合は、ぜひとも接写リングを使いましょう。普通のレンズでは撮影できないアクセサリーや小さいフィギュアの細かいところまで鮮明に撮影できます。同じことができるアイテムにマクロレンズもありますが、これよりも安くて手軽です。

接写リングとはどんなものなのでしょうか？この記事ではその原理と使い方を始め、メリット・デメリットまで紹介します。「「焦点距離は変わる？」という疑問にもお答えしますので、ぜひ参考にしてください。

接写リングとは一眼レフカメラやミラーレスカメラ等、レンズを外せるカメラに取り付けて使うマクロ撮影用の道具です。そのためレンズを取り外せないカメラには使えません。

接写リングはニコン・キヤノンなど有名なカメラメーカーを始め、多くのメーカーが製造しています。単体だけでなくセット商品もあるのがいいところです。カメラと接写リングはぜひとも同じメーカーで揃えましょう。

接写リングを使うと、小さい被写体の細部まできれいに撮影できます。接写リングを取り付けたカメラは被写体から3～10cm程度の距離でピントが合うようになり、マクロレンズと同じように迫力あるマクロ写真が撮れるのが特徴です。使い方は以下の通りです。

1. カメラ本体とレンズの間に接写リングを取り付ける
2. カメラを構え、被写体に近づいてシャッターを切る。

撮影が終わったら、接写リングをカメラから取り外しましょう。

手軽で使いやすい接写リングにもメリット・デメリットがあります。それぞれについてこれから詳しく解説しますので、参考にしてください。

接写リングを選ぶことのメリットは主に2つです。間に別のレンズを挟まないので、これで撮影したら写真の画質が変わるということはありません。

接写リングのいいところは何よりも低価格なところです。同じ役割を果たすマクロレンズは2万円以上が相場で、中には10万円を超える商品もありますが、接写リングなら2,000円程度で手に入れられる商品がたくさんあります。

とりあえずマクロ撮影をしてみたい、気軽に楽しみたいという人は先に接写レンズを購入し、それからマクロレンズを検討するのがおすすめです。

接写リングはレンズの性能に何の影響も及ぼしません。そのためカメラレンズが本来持っている性能をそのまま生かしてマクロ撮影ができます。気を付けるのはレンズの焦点距離と接写リングの厚さの組み合わせだけです。

また接写リングは接続端子を搭載している商品がほとんどなので、露出制御もAF（オートフォーカス）にも対応します。

接写リングを取り付けたカメラは、ピントが合う部分が極端に狭くなります。遠いところにピントを合わせることはできませんので普通のカメラとして風景等の撮影したい場合は必ず、接写リングを取り外してから撮影するようにしてください。

接写リングを取り付けた状態でピントが合うのは、レンズからおおよそ3～10cmの距離と覚えておきましょう。

近接撮影はフィギュアや花など小さい被写体がカメラの画面に大きく映るため、手振れした時にその振れ方が大きくなることがあります。また小さい被写体にピントを合わせた状態をキープするのも困難です。この問題の対処には、三脚の使用をおすすめします。

基本的にはオートフォーカスにも対応するのが接写リングの特徴ですが、電子接点がない商品だと対応しません。その場合は手動で調節しましょう。

接写リングを付けると画面が暗くなることがよくあります。この現象はレンズは焦点距離が長くなるほど暗くなるという特性によるもので、接写リングが長いほど顕著です。

レンズが光を取り込む穴の大きさのことを「F値」と言い、こちらは「レンズの焦点距離÷レンズの口径」で算出可能で、この数値が小さいほど明るく映ることを意味します。接写リングを取り付けると焦点距離が長くなりますので、レンズの口径が同じままだとF値が大きくなり、暗く見えるのは当然のことです。

カメラのレンズは凸レンズです。凸レンズを通った光は、光軸（レンズ面に垂直でレンズの中心を通る）を直進する光と、光軸に平行な光が交わるところで像を結びます。凸レンズが像を結ぶ距離は、対象物から離れるほど手前になり、近付くほど遠くになるのが特徴です。

接写リングはこの「凸レンズは対象に近づくほど結像点（像を結ぶ位置）が遠くなる」という特性を利用しています。接写リングを取り付けたカメラは、レンズとカメラ本体の距離が長くなっている状態です。像を結ぶ位置が遠くなっていますから、レンズを被写体に近づけないとピントが合わなくなります。

接写リングでマクロ撮影が可能になるのは、凸レンズの特性のためです。ちなみにマクロレンズも、接写レンズと同じ原理を利用しています。

接写リングを装着できるカメラは、一眼レフなどカメラからレンズを取り外せる仕様のもののみです。レンズとカメラが一体になっているデジカメなどには付けることができないので心得ておきましょう。

またカメラのマウント（レンズ取り付け部分）の確認も必要です。カメラのマウントには、オートフォーカスの動作などを伝える小さい電子部品が並んでいます。マウントに接続できない接写リングを取り付けてしまうと、オートフォーカスが使えません。

接写リングの購入を決めたら、手持ちのカメラレンズが接写リングに対応していることを確認しましょう。対応していないカメラレンズの場合は当然、接写リングの取り付けはできません。

先ほども解説しましたが、接写レンズはカメラレンズの焦点距離より長いものを取り付けると、どこにも焦点が合わなくなります。カメラレンズに接写リングの装着が可能とわかったら、レンズの焦点距離も忘れずに確認してください。

接写リングの長さで倍率はどのぐらい変わるかは、カメラレンズによるところが大きくなります。そのため、この長さの接写リングならこの倍率になると一律に言うことはできません。

接写リングの長さと倍率については、メーカーの公式サイトでその都度確認することをおすすめします。この下にキヤノンの接写リング「エクステンションチューブEF25II」のページを貼りますので参考にしてください。

ニコン（Nikon）やキヤノン（Canon）は純正品の接写リングを製造しています。それぞれ詳しく解説しているページをこの下に貼りますので、ニコン製あるいはキヤノン製のカメラを持っている人は参考にしてください。

接写リングを取り付けても、レンズの焦点距離は変わりません。接写リングはレンズからカメラまでの物理的距離を長くすることで、レンズが像を結ぶ位置を遠くにしているだけです。またレンズの焦点距離によって、適した接写リングの厚さは変わります。

レンズの焦点距離が長いほど厚い接写リングが使えますが、どんなレンズでもその焦点距離を超える長さの接写リングを取り付けると、どこにもピントが合わなくなるので気を付けましょう。

接写リングを使うと小さい被写体の細部まできれいに撮影できます。低価格なうえに扱いやすいのでマクロ撮影の初心者におすすめです。工夫次第でユニークな作品が撮れますので積極的に活用し、周りの人たちと一味違う写真作品を撮ってみましょう。