ニコンの接写リングの使い方を紹介！マクロレンズとの違いは？【m2・pk-12】

ニコンのレンズは他社製のレンズに比べてやや最短撮影距離が長い特徴があります。そのため被写体に近寄りたいシーンでも、なかなか理想通りに近寄れないもどかしさがあります。だからこそニコンのレンズにおすすめなのが、接写リングです。レンズに接写リングを取り付ければ、被写体に大胆に寄った撮影が可能になるマクロレンズのような撮影ができます。

そこで今回は、ニコンのレンズと相性抜群な接写リングの魅力や使い方のコツを徹底解説します。また、ニコンのレンズで接写リングを使うときの注意点やおすすめのエクステンションチューブなど、気になるポイントを詳しく解説しますので、是非最後までご覧ください。

そもそも接写リングとはどういうアクセサリでしょうか？ここからは、接写リングがどんなカメラアクセサリなのか詳しく解説します。

撮影の幅を広げる選択肢としてまず考えられるのが、目的に適したレンズの購入です。被写体に大胆に寄った撮影をしたい場合、最適なレンズはマクロレンズになります。しかし、ニコンのカメラで使えるマクロレンズはコスパ重視で選んでも数万円台の買い物になるため、手を出しづらいです。

そこで、接写リングを使えば今使っているレンズがマクロレンズとして使えるようになるため、非常にお手軽で経済的です。

ニコンのレンズは最短撮影距離がやや遠めな傾向にあります。そのため、被写体に寄って撮影すると最短撮影距離より近付いてしまいピントが合わなくなります。ニコンの標準レンズの最短撮影距離は多くの機種で45cm程度です。接写リングを取り付けると、被写体にさらに近寄れて思い通りの構図で撮影できます。このように、接写リングはニコンのレンズと相性がいいです。

取り付けるだけで、自分のレンズをマクロレンズとして使えるようになるのが接写リングですが、本物のマクロレンズで撮影した写真とはどう違うのでしょうか？詳しく解説します。

標準ズームレンズはニコンのカメラ購入時に付いてくるズームレンズです。標準ズームレンズも、接写リングを装着させればマクロレンズのように被写体に寄った撮影が可能になります。しかし、純正なマクロレンズで撮影した写真と映り方が全く同じになるわけではありません。

マクロレンズは被写体に寄れるだけではなく、独特のボケ味で背景をぼかし、被写体を際立たせるレンズです。標準ズームレンズに接写リングを取り付けるだけでは、こうした味わいのあるぼかしを写真に加えるのは難しい点に注意しましょう。

また、レンズの明るさも大きな違いです。マクロレンズは開放F値が低いため暗い撮影シーンでも光を広く取り込め、明るい写真が撮れます。こうした点も、マクロレンズ独自の強みとなっています。

単焦点レンズ+接写リングの組み合わせで撮影する場合、マクロレンズの映り方にかなり近い写真に仕上げられます。単焦点レンズも独特のボケ味があるレンズであり、開放F値が低い明るいレンズだからです。

ただし、この組み合わせも最高画質を追及するとマクロレンズには及びません。純正のマクロレンズは被写体に接近した時に最高の画質で撮影できるよう設計されています。そのため、写真をポスターサイズに印刷して比較するとマクロレンズには敵いません。

また、ニコンにはシンデレラレンズと呼ばれるお手頃価格の単焦点レンズがあります。単焦点レンズ+接写リングの組み合わせはマクロ撮影に挑戦する上で最もコスパのいい選択肢になります。

接写リングは至近距離の被写体でないと撮影できないのがデメリットです。また、オートフォーカスが使えなかったり、Exif情報が残らない場合があるので注意しましょう。

接写リングを使うと最も有利な撮影シーンは花や植物などです。接写リングを取り付けて大胆に被写体に寄ると、庭に咲いている何気ない季節の花でも朝露に濡れる花弁の先までくっきり描写されます。

また、接写リングを取り付けたマクロ撮影では、花のどこにピントを合わせるかもこだわりポイントです。花弁に付いた雫にピントを合わせると花の瑞々しさが際立つ写真になり、葉や茎にピントを合わせると植物が呼吸して伸びやかに成長していくように感じられる写真を撮れます。

お気に入りのアクセサリーや小物も、接写リングを使ったマクロ撮影に向いています。普通のレンズを使うと、どうしても背景にまでピントが合ってしまうため小さな被写体であるアクセサリーや小物は目立ちません。

接写リングを使って大きく被写体に接近すると、無駄な背景が写真に写り込まないためアクセサリーや小物が写真の中で主役になってくれます。細部まで描写された写真を撮影できると、被写体の個性が際立つ美しい写真に仕上げられます。

人体は常に興味深い被写体です。たとえば接写リングを使ったマクロ撮影でその人の手を撮影すると、勉強熱心な人の手には硬いペンだこがあったり、家事を頑張っている人の手にはお皿洗いによるあかぎれが見つかったり、さまざまな発見があります。

日頃見慣れているからこそ、細部をじっくり見た経験がない方も多いのが人体です。接写リングを使ったマクロ撮影で改めてその人の細部を観察しながら撮影すると、さまざまな物語やメッセージ性を感じる写真が撮影可能です。

レンズに接写リングを取り付けると、遠くの被写体にピントが合わなくなるデメリットがあります。この欠点を逆手に取り、一風変わった風景写真を撮影してみるのも接写リングの面白味です。

たとえば何気ない生活の風景にカメラを向けて、カメラに近い場所にだけピントを合わせると、日常の中で見過ごされがちな小さな事件に焦点を当てた写真に仕上げられます。接写リングを使ったマクロ撮影は、普段とは違う視点で世界を観察できるのが醍醐味です。

ニコンのカメラは粗悪品で安価な接写リングを装着させるとオートフォーカスが使えなくなってしまう場合があります。オートフォーカスを使えない接写リングを装備する場合、撮影はマニュアルフォーカスになるため難易度が高くなってしまいます。

よって、接写リングを使ったマクロ撮影ではオートフォーカスが使えた方が撮影が楽です。接写リングを選ぶ際は、オートフォーカスに対応しているかチェックしましょう。

TTL露出計はカメラに内蔵されている露出計です。TTL露出計に対応していない接写リングを取り付けると、露出の調整をマニュアル操作しなければならなくなります。露出のマニュアル操作はマニュアルフォーカス以上に難易度が高いため注意しましょう。

また、ニコンのカメラには露出計連動レバーが付いているもの・CPU連動方式を採用しているもの・その両方に対応しているものがあります。接写リングを選ぶ時に自分のカメラがどのタイプか確認しましょう。

接写リングは厚さが違うと倍率を変えられます。一般的に分厚い接写リングほど倍率が高くなり、被写体に寄ったマクロ撮影が可能です。接写リングのメーカーによっては、厚さの違う接写リングのセットを販売しています。

こうしたセットはマクロ撮影の選択肢が増え、より撮影シーンに適した倍率で撮影できます。また、接写リングを重ねて使えるので、さらに大胆に被写体に寄った近接撮影も可能です。

ニコン純正品の接写リングは、現在AI NIKKORレンズ用の接写リングしか取り扱いがありません。そのため露出計連動レバーのないカメラボディにニコン純正品の接写リングを装着させると露出計が使えなくなるので注意しましょう。

現在人気のD7500や、エントリーモデルのD5000・3000シリーズなどは露出計連動レバーがないニコンのカメラです。そのため、pk-12などのAI NIKKORレンズ用の接写リングを取り付けると露出計が使えなくなってしまいます。

接写リングを装着させると、被写体を拡大した姿で撮影できるマクロ撮影ができます。しかしマクロ撮影は被写体を拡大するだけでなく手ブレも拡大する点に注意が必要です。接写リングを取り付けると手ブレの影響は大きくなるので、暗いシーンでの手持ち撮影では特に気を付けたいポイントです。

接写リングを使っていて手ブレが気になる場合は、シャッタースピードを短くしたりカメラスタンドを使ったりして撮影するのがおすすめです。

カメラに接写リングを取り付けると、合焦範囲(焦点が合う範囲)が狭くなるためオートフォーカスでのピント合わせが難しくなります。また、ニコンのカメラには動体予測オートフォーカス機能を搭載しているモデルもありますが、接写リングを取り付けた場合は正しく機能しない場合があります。

接写リングを取り付けて撮影する場合は、マニュアルフォーカスに切り替えてピント合わせをするのがおすすめです。

基本的にどんなレンズも無限遠の被写体までピントが合うように設計されています。ところが、レンズとカメラの間に接写リングを挟むとピントの合う範囲が変更されるため、遠くの被写体にはピントが合わなくなります。

接写リングを取り付けて撮影するのはマクロ撮影がほとんどです。撮影が終わった後に接写リングを取り外すのを忘れてしまうと、とっさの場面でシャッターチャンスを逃してしまうかもしれません。撮影後は忘れずに接写リングを取り外しましょう。

接写リングは、コストパフォーマンスに優れている上、持っているだけで撮影の幅が大きく広がる頼もしいカメラアクセサリーです。是非接写リングを手に入れてこだわりのマクロ撮影を楽しんでください。