ワイヤレスイヤホンの仕組みを解説｜充電・ノイズキャンセリングの原理も紹介

好きな音楽を聴いたりランニング中に気分を盛り上げるために、ワイヤレスイヤホン・Bluetoothイヤホンの購入を考えている方は少なからずいます。娯楽目的だけじゃなく、テレワークなどのビジネスシーンでの使用を考えている方もいますよね。

しかし、ワイヤレスイヤホンの仕組みがいまいちよく分からない人も多いです。コードも繋がってないのに、どうして音が聞こえるのか不思議に思いますよね。購入する前に、どういった仕組みなのかを理解したいと思うのは当然です。

この記事では、ワイヤレスイヤホンの仕組みや原理・使用するメリット・デメリットについて詳しく紹介していきます。他にも遅延と音質に関わるコーデックや、充電の仕組みついても触れていきます。ワイヤレスイヤホンの購入を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

ワイヤレスイヤホンはさまざまなメーカーが出していますが、どんな仕組みで音が聴こえているのか気になりますよね。そこでここでは、ワイヤレスイヤホンの仕組みと種類を紹介していきます。

通勤通学で音楽を聴く・オンライン会議で使用するなどと普段の生活に欠かせないイヤホンですが、その仕組みを理解している方は少ないです。イヤホンには有線のものとワイヤレスのものがありますが、どれも基本はスピーカーの原理と同じとなっています。

まず声や音楽といった音が聞こえるのは、それらが空気を振動させて伝わり、最終的に鼓膜を震わせるためです。イヤホンで音が聞こえるのもこれと同じで、スマホ・パソコンの中にある音楽・音声を電気信号として記録し、それを空気の信号にして鼓膜まで振動を伝えています。

有線の場合は電気信号をそのまま送れますが、ワイヤレスではそれができないため、音の波形データを圧縮してイヤホンまで送らなければなりません。そして、イヤホン側で空気振動を作ります。そのため、圧縮方法によって音質に差が生じます。

ワイヤレスイヤホンは大きく分けて2種類あります。それぞれメリットやデメリットがあるので、生活スタイルなどによって好きな方を選んでください。

左右一体型タイプとは、文字通り左右のイヤホンがケーブルでつながって一体型になっているワイヤレスイヤホンです。ネックバンド型ともいわれ、首にかけることで落として紛失するのを防いでくれる特徴があります。

ケーブルがある分、音質が良く遅延が少ないイヤホンが多いのも魅力です。しかしワイヤレスイヤホンと言いつつケーブルが存在するので、運動時などに使用する際は煩わしさを感じるのが難点と言えます。

完全ワイヤレスタイプとは、左右のイヤホンが完全に独立したワイヤレスイヤホンです。使用するのに充電が必要になり、機種ごとによって再生時間というものが決まっています。イヤホン同士をつなぐケーブルがないので、煩わしさを感じないのが魅力です。

片側だけ使うことも可能なので、外部の音も聞きたい時に便利です。しかしケーブルがない分、きちんとはめていないと落としやすいのが難点となります。

1つ目はコードの断線の心配がない点です。有線イヤホンのコードを絡まったまま放置すると、捻じれ癖がついてコードが断線する恐れがあります。断線は音声が聞こえなくなる症状の原因になりますので、非常に厄介です。

その点ワイヤレスイヤホンは電波を飛ばして音を再生する仕組みなので、断線の心配はありません。コードの煩わしさを忘れて、音楽を楽しめます。

2つ目はタッチノイズがなく、持ち運びにも便利な点です。タッチノイズとはイヤホンのコードが服に擦れることで起きる不快音です。ワイヤレスイヤホンにはコードがないので、タッチノイズが起こる心配がありません。

ワイヤレスイヤホンはコンパクトなサイズの製品が多いので、持ち運びが便利なのも魅力と言えます。屋外にも気軽に持っていけるので、ランニングなどの運動中や電車での通勤・通学の際に使用するのにも最適です。

3つ目はスマホから離れていても聴ける点です。通信範囲が5～10m以内といわれているのであまりに遠いと聴こえませんが、その範囲内なら問題なく使用可能です。カバンの中に入れたまま聴けるので、通勤・通学でもスマートに使えます。

スマホが手元になくても使用できるので、皿洗いなどの家事をしながら聴けるのが魅力です。

1つ目は、コンパクトなサイズの製品が多いのでなくしやすい点です。完全ワイヤレスタイプのものは左右のイヤホンが分離しているので、特に紛失しやすいです。しっかりと装着していないと、知らず知らずの内に落としてしまう可能性もあります。

左右一体型のものは首にかかっている分、落とす心配は少ないです。不安な方はこちらのタイプを購入するのがおすすめです。　

2つ目は、イヤホンの充電が必要になる点です。ワイヤレスイヤホンは有線のものと違い端末とつなぐためのコードがないので、使用するには充電が必要になります。完全ワイヤレスタイプの製品は、イヤホン本体だけでなくケースの充電も必要なので注意が必要です。

なので充電するのを忘れてしまうと、使用できなくなります。不安な方はなるべく再生時間の長い製品を購入しましょう。

3つ目は、音の途切れ・音飛びがたまにある点です。ワイヤレスイヤホンは電波で通信しているので、人の多い都市部などの電波が飛び交う場所では音の途切れといった不具合が起きる可能性があります。Bluetoothが複数の機器と接続してる場合も、同様の症状が出る場合があります。

音の遅延が起きる場合もあり、ゲームなどをしてる際は画面とのズレが生じるので注意しましょう。

コーデックとは音声データの圧縮方式です。スマートフォンからワイヤレスイヤホンに音声データを送る場合、データ量が大きいので通常は遅れが出ます。しかしそのデータを圧縮することで、送る際に時間がかかるのを解消する効果があるのです。

圧縮技術にはいろいろな方式があり、それぞれ音質・遅延・圧縮効率が異なっています。そのさまざまな圧縮方式を総称したのがコーデックです。

SBCは標準仕様のコーデックで、すべてのワイヤレスイヤホン・ワイヤレスヘッドホンなどに対応してるのが特徴です。スマホやタブレットなどの再生機器にもすべて対応しているので、対応コーデックの組み合わせを気にすることなく利用できます。

しかし他のコーデックと比べると音質が悪く、遅延も起きやすいのが難点です。特に遅延性能に関しては体感でもはっきりとわかるぐらいの遅れが生じるので、注意が必要です。

AACはiPhoneやiPadに対応しているコーデックです。SBCに比べ遅延が少なく、高音質なのが特徴です。遅れの少なさから地上デジタル放送やワンセグにも使われており、動画視聴やゲームをよくするという方には最適のコーデックといえます。

Appleユーザーの方にとっては、AACが最も高音質・低遅延のコーデックとなっています。

aptXはほとんどのandroidスマートフォンに対応してるコーデックです。SBCはもちろん、AACと比べてもさらに高音質で低遅延なのが特徴です。データ量を75％もカットしつつ、元データにより近い形で転送可能となっています。

aptXより更に高音質なバージョンのaptx HDというコーデックもあり、ハイレゾ音源の再生にも対応しているのが特徴です。どちらも遅延が少ないので、音楽や動画視聴を快適に楽しめます。

aptX LLはaptX HDを改良したコーデックです。遅延性能が抜群に高く、すべてのBluetoothコーデックの中でも圧倒的に低遅延なのが特徴です。音楽や動画視聴はもちろん、シビアな速度が必要となる音楽ゲームも快適に楽しめるのが魅力といえます。

しかし高い遅延性能を実現してる分、音質性能はaptXにも劣っているのが難点です。ゲームよりも音楽を楽しみたい方には、適してない場合があります。

LDACはソニーが開発したコーデックです。ビットレートとよばれる1秒間に送受信できるデータ量の数値が、最高で990Kbpsと非常に高いのが特徴です。他のコーデックとは比べ物にならない音質性能を誇ってるので、音楽を楽しみたい方に適しています。

しかし高音質に特化してる分、遅延性能がそこまで高くないのが難点です。また通信環境が良くないと、990KKbpsという数値は出せないとも言われています。

基本的にほとんどのデバイスはSBCに対応していますが、他のコーデックの場合は対応しているか確認が必要です。android端末の場合はまず設定アプリを開き、開発者向けオプシションをタップします。

するとBluetoothオーディオコーデックという項目があるので、タップすれば対応コーデックが表示されます。iPhone・iPadの場合は確認する方法がありません。AACに対応しているので、同じくAACに対応したワイヤレスイヤホンなら送信が可能です。

音を再生する仕組みだけでなく、充電の仕組みを知ることも大切なので詳しく紹介していきます。購入後に充電の仕方で疑問に思うことがないよう、しっかりと確認しましょう。

ワイヤレスイヤホンはコードがないため、左右のイヤホンそれぞれに入っているバッテリーを充電することで使用できます。ケースに入れて充電する方式のため、ケース自体にも充電が必要です。ケースの充電を忘れてしまうとイヤホンも充電できないので、注意しましょう。

ワイヤレスイヤホンが充電できない場合、接触不良が原因であることが多いです。ケースを不衛生な場所に長時間放置していると、ケース側の接触部分にほこりや汚れが溜まってしまいます。接触不良の原因なので、柔らかい素材の物で優しく拭いて取り除きましょう。

強く拭くと傷つく可能性もあるので注意が必要です。それでも直らない場合は、メーカーに問い合わせてみましょう。

最近注目されているノイズキャンセリングですが、なぜ周りの音をシャットアウトできるのか気になる方も多いです。2種類のノイズキャンセル機能について、仕組みを解説します。

ノイズキャンセルとは、騒音を聞こえなくする機能ですが、その仕組みのひとつめがパッシブ・ノイズキャンセリング（PNC）です。パッシブは受け身といった意味で、物理的な壁を作って外からの音をシャットアウトします。

音が聞こえる仕組みは、音が発生すると空気を振動させ、それが波となって周囲に広がり、鼓膜を振動させるからです。そのため、音の発生源と鼓膜までの間に障害があれば、音波が鼓膜に届かないため、その音は聞こえません。

それを利用したのがパッシブ・ノイズキャンセリングです。イヤーチップ・イヤーピース・イヤーパッドの材質や形状を工夫し、耳に物理的な壁を作ります。そのため外の音が聞こえないようになっています。

音にはそれぞれの形の波が存在します。その音を消すためには、それより大きな音を出すといったものではなく、＋と−を合わせれば0になる考え方をする方法があります。打ち消したい波と逆相位の波を発生させ、打ち消し合うのがアクティブ・ノイズキャンセリングです。

具体的には、イヤホンについているマイクから外部の音を取り込み、内部のデジタル回路で逆位相の音を作り、再生します。騒音収集用のマイクは、イヤホンの外に配置されているタイプ、内側に付いているタイプの2種類の方式があります。

iPhoneとAndroidでは、ワイヤレスイヤホンとの接続方法が少々異なります。それぞれの接続方法について解説しますので、ぜひご参考ください。

iPhoneとワイヤレスイヤホンの接続方法は、以下の通りです。

1. 設定アプリを開く
2. Bluetoothの項目をタップし、Bluetoothをオンにする
3. ワイヤレスイヤホンをペアリングモードにする
4. 接続したいイヤホンが表示され、タップすると接続完了

アンドロイド端末とワイヤレスイヤホンの接続方法は、以下の通りです。

1. Bluetoothをオンにする
2. 設定アプリを開く
3. 接続設定の項目をタップする
4. 新しいデバイスとペア設定をタップ
5. ワイヤレスイヤホンをペアリングモードにする
6. 接続したいイヤホンが表示され、アクセスの許可にチェックをつける
7. 「ペア設定する」をタップすると接続完了

ワイヤレスイヤホンを購入する前に、仕組みやメリット・デメリットを知ることは非常に大切です。判断材料は多いに越したことはありません。自分の用途に合ったワイヤレスイヤホンとはどんなものか、購入した後で後悔しないようにしっかりと確認するようにしましょう。