【徹底解説】広角レンズの使い方｜初心者にもおすすめな広角レンズ5選も

広角レンズをご存知でしょうか。名称だけ見ると「広い角度を撮影できる」レンズだと認識される方が多いかと思いますが、実はそれだけではないんです。

プロのカメラマンならばおそらく誰もが常備しているこのレンズは、広い範囲を撮影したい時に使うだけのものではありません。よりインパクトのある写真・バリエーション豊かな写真を可能にする優れものです。そのため、使い方の幅を知ることで撮影をもっと楽しめるようになります。

本記事では広角レンズの使い方について徹底解説し、広角レンズおすすめ5選もご紹介。基本の機能について説明するだけでなく、おすすめの使い方やシーン・上級テクニックも加えて、知られざる広角レンズの魅力に迫っていきます。

カメラのピントを合わせたときのレンズから撮像素子（※1）までの距離を焦点距離といい、mm単位で表されます。焦点距離が長ければ画角（※2）は狭くなり、短ければ画角は広くなります。

広角レンズの焦点距離は短く、厳密な基準はありませんが一般的には35mmフィルム換算で焦点距離35mm以下のレンズを指します。また、10mm代になると超広角と呼ばれます。

※1：カメラの中の部品の1つで、画像センサーのこと。レンズから入ってきた光からデジタル画像データを作る役割を担う。

※2：撮影した際に写る範囲のこと。　

広角レンズは人の視野より広い範囲を写すことができるので、目の前の風景を見た目以上に広大かつ迫力あるイメージで撮影できます。

また、室内など被写体との距離が取れない場合でも全体を撮影することが可能です。さらに、室内をより広く見せることもできるので、店内写真にもおすすめです。

広角レンズは手前のものをより大きく、奥のものをより小さく写すので、遠近感が強調されることも特徴です。大きく見せたい被写体に近づくほど遠近感が強調され、通常よりダイナミックな写真になります。

街角やビル群など線が連なっている場面では、奥行きが感じられる大胆で躍動感のある風景を撮影できます。

焦点が合っているように見える範囲のことを「被写体深度」といいます。広角レンズは被写体深度が深いため、画面全体にピントがあった写真を撮ることができます。

広い風景の隅々まで鮮明に写したいときや、レストランで料理だけではなく店内の雰囲気も写したいときに活躍します。

広角レンズと標準レンズ・望遠レンズの比較を簡単に表にすると、以下のようになります。また、これらの焦点距離にも厳密な基準はありません。

デジタル一眼レフカメラを購入する際には、標準ズームレンズがついている場合がほとんどです。もし焦点距離18-55mmのレンズの場合であれば、その範囲での撮影が可能です。

また、標準レンズは目で見ている印象とほぼ同じ写真が撮れます。望遠レンズは遠くのものをアップで撮りたいときによく使われているレンズです。

広角レンズは広い範囲を捉えられるというメリットの一方で、人や景色など余計なものも入りやすいというデメリットがあります。写したい場面をよく観察し、入らない方がいいものや無駄な空間がないか事前にしっかりと確認しましょう。

広角レンズで撮影すると遠近感が強く表現されるため、画面の内側に向かって傾いているような不自然な歪みが生じる場合があります。

風景や建物はもちろんですが、画面の端に写った人の顔が横に歪んでしまうことも起こり得ます。人物撮影や集合写真などの場合は、四隅に人を配置しないように十分注意しましょう。

旅先で美しい風景に出会ったら広角レンズの出番です。空や海・緑深い山やそびえ立つ木々など、切り取りたい景色を思いきって撮影しましょう。たとえば空であれば空と地面の比率、海であれば海と空の比率を確認して、写したい部分をより大きく捉えるのが効果的です。

また、ズームレンズがある場合は最初は標準で撮影し、次に広角・超広角と変えながら撮影していくとその違いが明確になります。

街路や高層ビルなど被写体が手前から奥まで連続しているシーンでは、広角レンズならではの遠近感を存分に利用しましょう。遠くまで続く道や建物の線を画面内に入れて撮影してください。奥の方が収束するようにすぼまり、奥行き感が強調されます。

街並みであれば街の喧騒まで感じられるような趣のある写真になります。また、被写体を見上げたり下から撮ってみたりと、角度を変えて撮影することもおすすめです。

手前はより大きく、奥はより小さく写るという広角レンズの特性を活かして、遠景を撮影する場合には手前にあえて何かを入れるとダイナミックさが増します。

たとえば山の中であれば1本の木や1つの植物や花などが最適です。街角であれば、何か象徴的なオブジェなどフォーカスしたい被写体を見つけてください。被写体に寄れば寄るほど、いつもの写真とは違った視点で景色を捉えることができます。

広角レンズは場を広く見せるのにも有効です。店内写真は超広角レンズを使って撮影されることが多いのはこの効果があるためです。また、端から端までピントが合うので、広々とした空間でもしっかりと納めることができます。

旅行で歴史的建造物の中を撮影すれば、空間の広がりに加えうつくしい装飾なども余すことなく捉えることが可能です。さらに、室内でスペースがなく、あまり後ろに下がれないというときにも活躍します。

歪みは広角レンズのデメリットとして捉えられがちですが、上手く使えば印象的な写真が撮影できます。建物の記録写真といったものでなければ、あえて歪み強調することも手段の1つです。

歪みが生じるのは、遠近感が強烈に表現される広角レンズの特徴があるからこそ撮れるものです。あえて歪みを活用することで、風景が迫ってきているような躍動感のある写真になります。

また、歪みを大きく出したい場合は低い位置から上に向かって撮影してみたり、被写体に近づいて撮影してください。

広角レンズは写せる範囲が広いので、絞りの設定「F値」をあげる必要があります。広角レンズを使用するときは、できるだけF値を高くして絞った撮影をするのがおすすめです。画面全体にしっかりピントを合わせてきれいに撮影できるF10〜F13程度が適しています。

各メーカーから多種多様な広角レンズが発売されていますが、広角レンズがお手持ちのカメラと合うかどうかを事前に確認する必要があります。また、カメラとレンズの接合部分を「マウント」といいます。

マウントはカメラ側で規格が決まっているため、対応するマウントをチェックしましょう。同じメーカーでも一眼レフとミラーレスでマウントが異なる場合があります。

カメラメーカーの純正レンズが最適ですが、レンズ専業メーカーによるサードパーティ製レンズも存在します。価格も手頃で高品質なレンズも多いです。ただし、カメラとレンズのメーカーが異なる場合、サポートやメンテナンスが同時に受けられないので注意しましょう。

広い範囲の撮影だけに留まらず、対象にフォーカスしたり遠近感を強めたりと使い方によって写真がさらに活き活きとするのが広角レンズです。旅行だけではなく街を歩くときにもぜひ広角レンズを常備して、さまざまな景色を撮影してください。