加湿器内のカルキの落とし方｜石化した頑固なカルキはクエン酸で掃除！

見た目にも汚い頑固なカルキ汚れは、加湿器のタンクに付着します。カルキの白い塊は、人体に影響が出たり機械の故障の原因になったりしないのか気になりますよね。また、カルキは徐々に蓄積されるだけでなく時間と共に石化するため、汚れを除去するのが大変になります。

1度石化したカルキは、ブラシやスポンジで擦ってもなかなか取れません。タンクを強く擦ると破損の原因にもなりかねないため、どうやって掃除すればいいのかお悩みの方も多いはず。

そこで本記事では、タンク内のカルキ汚れの影響や除去方法、カルキの付着を抑える方法を紹介します。重曹を使ったカルキ落とし・落ちないカルキ汚れを落とす方法・対策方法についても解説。さらに、クエン酸がない場合の掃除方法や、カルキが部屋に飛散しにくいおすすめ加湿器ランキングも紹介します。

カルキとは消毒のため水道水に入っている物質のことで、正式名称は次亜塩素酸カルシウムです。水道法で定められた一定量が水道水に含まれています。水の消毒と聞くと人体に有害なのでは？と感じますが、水道水に含まれているカルキは微量なので、基本的に体に害はありません。

加湿器は、スチームなどで水道水を加熱・蒸発させて加湿をします。この「水道水を加熱して蒸発させる」プロセスで、水分のみが蒸発しミネラル成分が残ります。これがいわゆるカルキです。残ったミネラルは空気に触れて硬くなり、どんどん蓄積していくため、カルキ汚れは固着していきます。

加湿器のタンク内に残ったカルキは体には入りません。蒸気と一緒に飛散したカルキも、水道水に含まれるカルキ量より少なくなります。そのため、カルキ汚れがあるからといって人体への影響を心配する必要はありません。

人体への影響はほぼないカルキですが、加湿器にとっては故障の原因になります。たとえば加湿器の蒸気が出なくなる1つの原因に、カルキによる噴出口の詰まりがあります。カルキが石化し、加湿器の噴出口で固まってしまうのです。

噴出口が詰まると蒸気は行き場を失い、本体に過剰な負担が掛かります。さらにカルキは噴出口だけでなく、加湿器のヒーター部分にも溜まります。カルキの蓄積によって本体に故障が出る前にきれいに掃除しましょう。

頑固なカルキ汚れは、クエン酸を使うと比較的楽に掃除できます。ここでは、クエン酸を使った加湿器の掃除方法について解説します。

【クエン酸を使った加湿器掃除の方法】

1. バケツに水を溜める
2. 水1Lに対して大さじ1のクエン酸を溶かす
3. 加湿器のパーツやタンクを取り外す
4. クエン酸を溶かした水の中に2〜3時間浸ける
5. しっかり浸けたら、汚れが気になる部分を優しくスポンジでこする
6. しっかりとすすぐ
7. 直射日光の当たらない場所で完全に乾燥させ、元に戻す

強くこすって表面に傷ができると雑菌が繁殖する原因にもなるので、あまり強い力でこすりすぎないようにしましょう。また、取り外せるパーツは各メーカーによってさまざまなので、必ず確認してから行ってくださいね。

自宅にクエン酸がない場合は、酢でも代用可能です。酢は酸性なので、アルカリ性のカルキ汚れをきれいに除去できます。水1Lに対して酢20〜25mLほど溶かしてください。

重曹はカルキと同じアルカリ性(弱アルカリ性)のため、クエン酸やお酢のようにカルキを分解して除去はできません。しかし、重曹の研磨作用によってカルキを落とすのは可能です。

水で溶いてペースト状にした重曹をブラシなどにつけ、カルキをこすり落としましょう。ただし、強くこすると加湿器に傷がつくため、加湿器の状態を見ながら優しくこすってください。

また、重曹はカルキ臭を取るのに効果的です。カルキは地域によって含有量が異なるため、カルキ臭が気になる方は重曹を使用しましょう。

加湿器の掃除でクエン酸やお酢を使うときは、以下の点に注意しましょう。

• 塩素系の漂白剤とは絶対に混ぜない
• 加湿器の素材が酸に弱くないか
• 肌が敏感な場合は手袋を着用する

クエン酸やお酢などは、ハイターなどの塩素系漂白剤と混ぜると有毒なガスが発生するため、絶対に併用しないでください。

また加湿器が「酸」に弱い素材を使用している場合、不具合を起こしてしまう可能性があります。そのため、高濃度のクエン酸を使用してカルキの除去を行う際は、長時間のつけ置きはしない等の注意が必要です。また、加湿器にクエン酸が付着したまま使用してしまうと、部品の錆や劣化に繋がり故障の原因となるので、しっかりすすぎ洗いを行いましょう。

さらに、高温のお湯を使った掃除も加湿器にダメージを与えてしまう場合があります。水またはぬるま湯程度を目安にするのがおすすめです。掃除後は柔らかい布で水気を拭き取り、しっかり乾燥させるのも忘れないよう留意してください。

洗濯から掃除まで幅広く使える「オキシクリーン」ですが、加湿器のカルキ除去には使えません。記事の前半で説明したとおり、カルキ汚れはアルカリ性のため、弱アルカリ性のオキシクリーンでは除去できないためです。カルキの除去にはアルカリ性の反対である酸性成分を使いましょう。

スチーム式加湿器は、タンクに入れた水を沸騰させて蒸気を放出させるタイプです。使用するたびに水を煮沸するため、雑菌の繁殖が少ない一方でタンクにカルキが残りやすくなります。そのため、使用する水は溜めっぱなしにせずに毎日取り替えましょう。

掃除の際は、少量の水を入れて加湿器ごと振って水を捨てます。汚れが目立つときは、クエン酸水を入れて1時間ほど運転し、水で洗うときれいになります。

フィルターに吸収させた水に風を送り、湿った空気を放出させるのが気化式加湿器です。フィルターが常に水を含ませた状態となるため、雑菌が繁殖しやすく、臭いやぬめりが出る可能性があります。カルキはフィルターに残るのみなので、カルキを除去するにはフィルターを押し洗いします。

頑固な汚れとなっている場合は、クエン酸水でつけ置きをしたりゆすいだりしてみましょう。また、片付ける前に各パーツを除菌・消毒するのもポイントです。

超音波式加湿器は、タンクに入れた水を超音波で振動させて細かい粒子にする仕組みです。水がそのまま放出させるため、汚れが溜まっているとその汚れまで放出してしまう可能性があります。

しかし、他の方式のように水を沸騰させるわけではないので、カルキが残りにくいタイプです。カルキが気になる場合はタンクの水をすべて捨て、内部をスポンジでこすって汚れを落としましょう。

ハイブリット式加湿器とはスチーム式と気化式を組み合わせたタイプで、気化式のフィルターにヒーターで熱を与えて加湿します。加熱するため気化式より汚れにくいですが、タンクとフィルターのお手入れは必要です。

カルキを除去するにはスチーム式と気化式と同じ要領で、クエン酸水でタンクやフィルターを洗いましょう。

タンク下や横に石化したカルキがこびりついてなかなか取れない時は、ラップまたはキッチンペーパーの使用がおすすめです。まず、タンク内にクエン酸水をたっぷり振りかけます。その後、ラップやキッチンペーパーでタンク底をパックするように覆いましょう。

1時間ほどパックした後に、柔らかい布やスポンジで擦ると、頑固なカルキ汚れもきれいに落ちます。また、クエン酸水をつけた歯ブラシで擦るのも有効です。

居住地の水道水にカルキが多く含まれている場合は、浄水を使用しましょう。浄水にはカルキが含まれていないため、タンク内にもカルキが残らず掃除の手間も軽減できます。もちろん浄水を使った蒸気にもカルキが含まれていないため、家具や床に白い粉が付着することもありません。

しかし、カルキ抜きされた水はカビが発生しやすいため、使用後の水は必ず毎回交換しましょう。また、加湿器によっては水道水を使用するように指示された機種もあります。浄水を使用する場合は、取扱説明書をご確認の上、自己責任でお試しください。

カルキの付着を抑えるためには、毎回の掃除が大切です。特に蒸気の吹き出し口や本体の下、タンクは使用後にこまめに拭くとカルキが固まるのを防げます。固まったカルキを落とそうと力を入れるとタンクが傷ついてしまうため、カルキ掃除は固まる前に行うのが基本です。毎日の心掛けでカルキの付着を予防しましょう。

水を使用する加湿器は毎日の手入れが非常に大切です。たとえば、タンク内に発生したカビに気づかずそのまま使用すると、カビ混じりの蒸気を部屋中に散布することになります。カビによるアレルギー反応や肺炎も報告されています。

さらに、水の継ぎ足しやメンテナンス不足により、タンク内でレジオネラ菌が繁殖すると大変危険です。レジオネラ菌を吸い込むことにより発症するレジオネラ菌肺炎は、頭痛・食欲不振といった症状から始まり、重度の場合は呼吸困難・手足の震え・幻覚など重篤な症状に発展する可能性もあります。

しかし、加湿器は正しく使用すれば安全な家電です。カビやレジオネラ菌から加湿器を守るための掃除方法は、下記のリンクからご覧いただけます。ぜひ参考にしてください。

カルキ粉を部屋に飛散させたくない場合は気化式・スチーム式がおすすめです。加湿器には気化式・スチーム式・超音波式・ハイブリット式の4種類がありますが、気化式・スチーム式は水分のみが噴出し、カルキは本体に残るので部屋へのカルキの飛散を軽減できます。

一方、超音波式の加湿器は、熱を使用せず超音波で蒸気を作るため、カルキを含んだ蒸気が散布されます。そのぶん、タンク内にカルキが残りにくいのが特徴です。また気化式＋スチーム式のハイブリット式もカルキ粉の飛散は少なめです。

加湿器の内部に、ピンク色の汚れを見かけることがあります。その正体は「メチロバクテリウム」という細菌の一種です。毒性はあまりありませんが、ぬめりがあり見た目も気持ち悪いですよね。

メチロバクテリウムは繁殖力が旺盛なため、一晩あれば一気に増殖しますが、こすれば簡単に落ちます。いずれにしても汚れているために発生してしまうので、日頃からきちんとお手入れしましょう。

本記事ではタンク内のカルキ汚れの除去方法を解説しました。カルキ汚れは、クエン酸・酢・重曹などご家庭にあるもので簡単に掃除できます。カルキが石化して頑固な汚れになる前に、加湿器は定期的に掃除しましょう。