気化式加湿器の危険性とお手入れ方法｜カビに注意！ハイブリッド式・加熱式との違いも

気化式加湿器とは、フィルターに含ませた水を蒸発させて加湿するシンプルな加湿器です。スチームが出ないので火傷の心配がなく、赤ちゃんやペットがいる家庭でも安心して使えます。また、他のタイプの加湿器に比べて電気代を安く抑えられるのも特徴です。

一方で、雑菌が繁殖しやすい・咳が止まらない加湿器病になる危険性があるといった情報も耳にしますよね。気化式加湿器は加熱工程を経ないので雑菌が繁殖しやすい構造ではありますが、正しくお手入れをすれば清潔に使用できます。

そこで本記事では、気化式加湿器のカビ取り方法・古い加湿器の交換時期・お手入れ方法・商品のおすすめランキングなどをご紹介します。ハイブリッド式・加熱式の加湿器との違いについても解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

今回主に取り上げるのは、こちらの気化式加湿器です。雑菌が繁殖しやすく危険との情報もありますが、メリットもたくさんありますので詳しく見ていきましょう。

気化式加湿器は、水を含ませたフィルターにファンの風を当て蒸発させて加湿します。デスクワークに便利な卓上タイプの中には、ファンがなくフィルターの水を自然乾燥させる構造のものもあります。狭い範囲から広範囲まで機種によって加湿能力はさまざまですので、目的に合わせて選びましょう。

気化式加湿器は水を沸騰させないため吹出口が熱くならず、小さなお子様やペットがいても安全に使用できる点がメリットです。また、スチーム式のように目に見えるくらいの大量のスチームが出ないので、部屋を程よく加湿でき結露が発生しにくいのも特徴のひとつです。

運転時は主にファンを回して電力が使われるのみで、他にタイプに比べて電気代が安く抑えられます。ファンがない卓上タイプの加湿器ではさらに電気代がかからず、エコな加湿器として人気があります。

ただし、加熱工程がないため雑菌が煮沸消毒されず、お手入れを怠るとカビや雑菌がすぐに繁殖してしまうので注意しましょう。加湿速度が比較的遅いのもデメリットの1つです。

たっぷりの蒸気で部屋をパワフルに加湿してくれるスチーム式加湿器は、加熱式加湿器とも呼ばれ、商品数も多く人気が高いです。ここでは、スチーム式加湿器の仕組みやメリット・デメリットを解説します。

スチーム式加湿器は、内部に搭載されたヒーターでタンクの水を蒸発させ、部屋の中を加湿します。ヒーターで沸騰させるとたっぷりの蒸気がすぐに放出されるので、加湿スピードが速く加湿能力が高いのが特徴です。

スチーム式加湿器は加湿のパワフルさ、即効性に加え、お手入れのしやすさがメリットと言えます。水を沸騰させて湯気を出す工程で煮沸消毒と同じ効果が得られるので、部屋に放出される蒸気はいつも清潔な状態を保てます。

また、他のタイプに比べて複雑なパーツが少なくフィルターも使用しないため、お手入れに手間がかからず扱いやすくなっています。

デメリットは吹出口や蒸気が熱いので触れてしまうと火傷の恐れがあります。小さなお子様やペットがいる家庭では取り扱いに注意しましょう。ヒーターで加熱する際に電力がかかるので、電気代が高くなりやすい点も挙げられます。

ヒーターもファンも使わずに超音波の力で加湿するのが超音波式加湿器です。ここでは、超音波式加湿器の仕組みや特徴を詳しく見ていきましょう。

超音波式加湿器は、専用パーツから発生する超音波でタンクの水に振動を与え、水の表面を弾けさせる構造となっています。弾けた水は霧状の水滴となって飛び散り、部屋の中に広がって加湿します。ヒーターで温めるわけではないので、放出される水蒸気は常温です。

超音波式加湿器はヒーターもファンも使用しないので消費電力が少なく、電気代が比較的安い点がメリットと言えます。熱い蒸気が出ないので火傷の心配もなく、安全に使用できます。

最近ではデザイン性の高い商品が多く発売され、お部屋のインテリアにこだわる方にもおすすめのタイプです。アロマ機能やライトアップが楽しめる商品もあり、加湿以外にもさまざまな用途で活躍してくれます。

一方デメリットは雑菌が繁殖しやすい点です。加熱工程やフィルターを通さず水蒸気が部屋に広がるため、水や内部が清潔でないと部屋に雑菌が放出される原因にもなりかねません。こまめなお手入れが欠かせないタイプと言えます。

ハイブリッド式加湿器は加熱気化式加湿器とも呼ばれ、2つのタイプを掛け合わせた機能を持つ加湿器です。状況に応じて使い分けができ便利ですが、いくつか注意点もあるので詳しく見ていきましょう。

ハイブリッド式加湿器は、ヒーターで水を沸騰させるスチームに「気化式」もしくは「超音波式」を組み合わせて加湿する方式です。加熱工程を加え、通常の気化式や超音波式よりも効率的に部屋を加湿できます。2つの加湿方式のいいところを持ち合わせるので、メリットも多く使いやすい優れものです。

スチーム式と気化式を組み合わせた加湿器では、水を含んだフィルターに温風を当てて水の蒸発を促進します。そのため、通常の気化式よりも素早く加湿でき、蒸気が出ないので火傷の心配もありません。ただし、フィルターは常に水を含んでおりカビが発生しやすいので、定期的にフィルターをメンテナンスしましょう。

スチーム式と超音波式を組み合わせた加湿器は、ヒーターで温めた水を超音波で蒸発させて加湿します。フィルターを使用しないのでお手入れしやすく、本体の価格設定も低めです。水蒸気の粒がやや大きいので、長時間使用すると家具や壁が濡れる場合があります。

「気化式加湿器は危険！」との情報がありますが、これだけでは何が危険なのか分からない方も多いと思います。ここではこの「危険」の意味を詳しく解説していきます。

気化式加湿器はフィルターに水を含ませて気化するため、フィルターは常に濡れた状態にあり、温度や栄養といった条件が揃えばすぐに雑菌が繁殖してしまいます。雑菌の中でも怖いのが、レジオネラ症と呼ばれる症状を引き起こすレジオネラ菌です。

レジオネラ菌は60℃の温度下に5分さらされると死滅するものの、加熱処理が行われない気化式加湿器では洗浄しない限り生き続けます。レジオネラ症にはレジオネラ肺炎・一過性のポンティアック熱の2タイプがあり、各症状は以下の通りです。

• レジオネラ肺炎・・・発熱・咳・痰・呼吸困難・頭痛、筋肉痛・下痢・意識障害・精神神経系症状
• ポンティアック熱・・・発熱・咳・頭痛・筋肉痛

なお、レジオネラ症は適切な抗菌薬を使用すれば治療できます。処置が遅れると重症化する可能性が高まるため、早めに対処しましょう。

レジオネラ菌に限らず、雑菌が繁殖した加湿器を使い続けるのは健康上よくありません。カビや雑菌が繁殖した加湿器から放出される水蒸気を吸い続けてしまうと、呼吸器症状が表れる場合があります。

気化式加湿器は正しく使えば健康に役立つアイテムですので、定期的なお手入れを忘れないようにしましょう。衛生面が心配な方は、抗菌効果のあるフィルターの使用をおすすめします。

ここでは、気化式加湿器を清潔に使うために必要なお手入れの仕方について解説します。汚れの性質によっても適した洗剤が変わってくるので、お手入れの参考にしてください。

気化式加湿器のお手入れが必要なパーツはタンク・トレー・フィルターなどがあり、水の交換とタンクのお手入れは毎日行いましょう。水道水の塩素消毒の効果は約1日で切れてしまうので、毎日の水の交換が重要になります。また、トレーやフィルターは長くても月に1度、できれば2週間に1度程度行うとより衛生的に使用できます。

まず、水タンクは水を交換する際に内部を軽くスポンジでこすって洗浄しておきましょう。毎日行えばひどい汚れは付きにくくなります。水垢やヌメリが気になるときは、クエン酸を使って浸け置きします。

次に、外気を吸い込む外側のフィルターは掃除機やブラシでホコリを取り除きます。トレーや加湿気化フィルターは基本的に水洗いをしますが、水垢やカビが気になる場合にはぬるま湯3Lにクエン酸20gを加えたクエン酸水に30分浸け置きしましょう。30分経ったら流水でしっかりすすぎます。

最後に、どのパーツにも共通しますが、お手入れの後は乾燥させるのが大切です。水気を拭き取った後は、風通しのいい場所で乾かして取り付けましょう。

加湿器が汚れやすいのは気化式だけではなく、超音波式やスチーム式も同じです。水道水を使う以上ミネラル分が固まって水垢が発生したり、塩素消毒の効果が切れて雑菌が繁殖したりする場合もあります。加湿器のタイプによって内部構造が異なるため、タイプに合わせて正しい方法でのお手入れが大切です。

超音波式加湿器は、タンクの水をフィルターを通さずそのまま水蒸気に変えて部屋に放出するため、水・タンク・水蒸気が通る過程を除菌して清潔に保つのが重要です。基本ですが、タンクの水は必ず毎日交換しましょう。

水を交換する際はタンクの内部を振り洗いして洗浄します。汚れやヌメリが気になるときは古い歯ブラシでこすって汚れを落としましょう。最後に清潔な布で水気を拭き取ります。

機種によっては超音波式でもトレーやフィルターを使用しているものもあります。こちらの場合は、気化式と同じように2週間~1カ月に1度、クエン酸を使って浸け置き洗いをしてください。洗浄後はよくすすいで乾燥させてから本体に戻すのが大切です。

加熱工程があり雑菌やカビが繁殖しにくいスチーム式加湿器ですが、お手入れをしないまま使い続けると水を入れるタンクに水垢がこびりつき、浸け置きをしても落としきれない場合があります。タンクのお手入れはこまめに行うようにしましょう。水の交換は他の加湿器と同様、毎日行います。

タンクに少量の水を入れ、蓋をして振り洗いしておくと汚れがつきにくくなります。洗った後は柔らかい布で水気を拭き取ってください。お手入れのしやすさに注目して商品を選ぶのであれば、タンクが取り外しやすいものや、内部の構造がシンプルでフィルターや細かいパーツがないものがおすすめです。

加湿器の寿命は電化製品の中では意外と短く、5年程度と言われています。加湿器で使用する水道水にはミネラルが含まれているため、蒸発しても加湿器内部に蓄積されてしまうのが主な原因です。湿度を自動で調整してくれる気化式の商品なら、長寿命のモデルもあります。

なるべく長く使用するためには、フィルターやタンク内をこまめに清掃しておきましょう。また、その他の古い加湿器の交換の目安は、スチーム式の場合「蒸気が発生しなくなる」、超音波式の場合「振動のリズムが一定でない」などです。

雑菌が繁殖しやすいと聞くと、商品選びの際に気化式を避けたくなるかもしれません。しかし、気化式ならではのメリットも多く、きちんとお手入れをすればカビないように清潔に使用できます。気化式加湿器でお部屋を快適な環境に保ちましょう。