加湿器は乾燥しがちな秋～冬には欠かせなくなってきているアイテムです。特に今年はウィルス対策に気を使いたいので、風邪予防のために購入を決めた方も多いですよね。また、美容の面でも、お肌にとっては乾燥はまず避けたいものです。

そんなお役立ちアイテムの加湿器ですが、本や漫画にとっては天敵ともいえる存在です。本は高湿度に弱いので、本の近くに加湿器を置いておくのはおすすめできません。なぜなら、湿気を吸ってしまうと水分で紙がよれてふにゃふにゃになり文字が読みにくくなるからです。

今回は本が湿気に弱い理由や、本棚がある部屋で加湿器を使用する際の注意点、また本が湿気を吸ってしまった時の対処法などもあわせてをご紹介していきます。ぜひ、この記事を参考にして正しい使い方や保存方法を知り、大切な本を守りましょう。

湿度の高い場所に本を置いておくと湿気ってしまいます。ここでは、具体的に本と湿度の関係性について説明していきます。

紙は植物繊維を主成分に作られています。繊維自体が水分を保有し、紙は水分との親和性が高いため水分の変化に敏感です。そのため湿度が上がり、水分量が多い場所では紙が水分を吸収し湿気ってしまうのです。

「紙が呼吸する」と言われいるように、空気中の水分が必要以上に多くなったり少なくなったりすると、紙は大きくダメージを受けてしまいます。水分量の変化には気を付けましょう。

本を保管するのにいいとされている基準は「室温16〜22度、湿度40〜60%」です。実際の温度や湿度がこの基準と違いすぎる場合、紙がよれたり割れたりする原因になってしまいます。美術館で細かく管理されているように温度や湿度が紙に与える影響は計り知れません。

湿度は高すぎると部屋全体にも影響があります。カビやダニが発生しやすくなったり、結露の原因になったりもします。本のあるなしに関係なく部屋の湿度は意識して調整したいですね。

何よりも気を付けたいのは、本の近くに加湿器を置かないことです。直接蒸気が当たると、水分が付着し本にダメージを与えてしまいます。スチームの排出口からは距離を取って本を置くようにしましょう。

寝室などで自分のすぐ側に加湿器を置く場合もありますが、その際本などの紙類も放置しないよう気を付けてください。

必要以上に部屋を加湿するとダニやカビの発生の原因になります。大切な本にもカビが生える可能性もあるので、50～60%前後の適切な湿度を維持しましょう。最近の加湿器は湿度を調節する機能が付いていたり、湿度が高すぎると自動的に止まってくれたりします。

また、部屋に湿度計を置いて自身で管理するのもおすすめです。こまめに部屋の湿度を確認すると大切な本を守れて安心ですよ。

定期的に本を本棚から出し、掃除するのはとても大切です。そのままにしておくと、知らないうちにカビが生え、気づいた時には広範囲に広がっている場合もあります。普段読まない本が置いてある場所は特に気を付けて掃除をしましょう。

また、ほこりもカビの餌になるので放置するのはよくないです。もしカビが生えていた場合、ほこりが舞うとカビの胞子も飛ぶので、掃除する際はほこりが舞わないように丁寧にしましょう。

本を開き干すことを「虫干し」といいます。もし本の中に虫がいたら、虫干しするだけで虫を退治できます。乾燥した天気のいい日に干してあげましょう。この時、直接に日に当てると本が焼けてしまうので、日陰などをうまく利用するようにしてくださいね。

すべてのページを満遍なく干すのは難しいと思うので、パラパラっと空気を通すだけでも効果はあります。外で干した後は、乾いた布で拭いてから本棚に戻すようにしましょう。

本棚は通気性が悪く湿度が高くなりやすいです。本棚専用の「除湿シート」や「乾燥剤」を敷いておくと、除湿効果があるのでおすすめです。

除湿シートは100均でも購入できます。ダイソーの「繰り返し使える除湿シート」は天日に半日程度干すと吸湿力が回復するので繰り返し使用可能です。シートの中に入っている青い粒が赤に変化したら天日干ししましょう。

大きいサイズの除湿シートがほしい方は、ダイソーの「除湿シート90cm×140cm」がおすすめです。大きめのサイズなので、布団の下の畳やフローリングの上に敷くのに適しています。

加湿器の置き場に困った経験はありませんか？意外と選択肢が少なく、どこに置こうか悩んでしまうものです。部屋のこのような場所に加湿器をおくのはおすすめしません。

• 結露ができやすい窓際
• 空気が入れ替わる部屋の出入口付近
• 本棚の付近

ベストな置き場所は、「部屋の真ん中」や「エアコンの吸込口の下」です。蒸気が全体に行き渡る場所や、エアコンの誤作動が起こりづらい場所がいいですよ。置き場にも気を付けて快適に過ごしましょう。

濡れてしまった本はドライヤーで乾かすのが一番手っ取り早く簡単です。しかしドライヤーで乾かすと、急激に本の水分量が変化したせいで、本がよれよれになってしまい、元通りとは程遠くなってしまいます。

乾かした後に重しを乗せておくとある程度真っすぐにはなります。しかし元のようには戻らないので、「とにかく早く乾かしたい」という緊急意外はあまりおすすめはしません。

アイロンを掛けて伸ばすのも可能です。しかし、失敗すると破けてしまったり、伸びたとしても黄色く変色してしまったりと、本に影響が出てしまう可能性があります。また、インクの種類によっては熱によって変色してしまいます。

アイロンを使う場合は慎重に少しずつ熱を加えていきましょう。少なからず本に影響が出ますので、納得した上で試してくださいね。

本に重石を乗せて放置する方法もあります。昔から効果があるとされていますが、湿気って濡れたままの本を放置するとカビの発生にもつながります。重さが均等でないと伸びた部分とそうでない部分が出てきますので、完璧に元通りになる期待はしない方がいいです。

濡れた本のページ数枚ごとに紙をはさみ乾かす方法もあります。紙でなくともティッシュやキッチンペーパーでも代用できます。紙をはさんで重石を乗せて放置するのですが、手間はかかるもののある程度は元に戻ります。

紙は吸収力のいい素材を使ってください。こちらも完璧には戻らないものの、本の材質によってはかなり期待できるので、時間がある方はこの方法を試してみるのもおすすめです。

意外な方法として、濡れた本を冷凍する方法もあります。

1. 濡れたまま保存袋に入れ、封をせずに垂直に立てて冷凍庫に入れる
2. 凍ったら取り出し、そのまま重石のせる
3. 解凍され乾くまで数日放置する

紙内の急激な水分変化がないので、本自体への影響もほとんどなく一番元通りに近い状態に戻ります。時間はかかっても「きれいに戻したい」と思う方は冷凍する方法をおすすめします。

では、本のある部屋を加湿する場合はどうすればいいのか悩みますよね。本棚がある部屋では、卓上加湿器を使うのがおすすめです。部屋全体を加湿すると本に大きく影響しますが、狭い範囲だけを加湿する卓上加湿器ならそこまで影響はありません。

乾燥が気になる時は、卓上タイプなどを使用して自分の周りだけを加湿する方法があります。最近の卓上タイプの加湿器も高性能なのが多いので、必要最低限の加湿で本と自身のどちらも守りましょう。

加湿器だけでなく、本を保管する時には注意したい点がいくつかあります。まず、直射日光が当たる場所に本を置かないよう注意しましょう。長時間、本に日光が当たっていると紙が焼けて色が変色する恐れがあります。どうしても日が当たる場所にしか本を置けない場合は、遮光カーテンをつけたり本にブックカバーをつけて本を守りましょう。

他にも、本にほこりがつかないよう対策をするのも大切です。長時間ほこりがつきっぱなしになっていると、ほこりが湿気てきてシミやカビを引き起こします。本を収納する際には、こまめにほこりを取り除くか、ほこりがつかないようブックカバーをしましょう。

梅雨時期の湿気対策には除湿機を使用するのをおすすめします。除湿機は空気中の湿気を取り除ける便利なアイテムです。湿気がなくなることで結露・カビの発生を抑えられます。さらに部屋が乾燥するので、部屋干ししている洗濯物が早く乾くのも魅力です。

除湿機を購入するほどでもないという方は、エアコンの除湿運転を使用するのもおすすめです。エアコンにはほとんど除湿運転機能がついているため、気軽に部屋を除湿できます。ただし、室温が下がる場合が多いので、気温はそのままで除湿したい方には除湿機がおすすめです。

加湿器は、本にとって天敵である点を忘れてはいけません。加湿器の側に本を置きっぱなしにしない、また本棚に湿気がこもらないように注意しましょう。除湿シートを敷いたり、卓上の加湿器を使ったりして大事な本を守りましょう。