ヘアアイロンの発火を防ぐ方法｜火災になった事例はある？熱いまま収納しても大丈夫？

忙しい朝などにヘアアイロンを毎日使っていると、外出先で「電源を切り忘れたかな？」と不安に思うときはありませんか？実はヘアアイロンは他の家電製品に比べ、発火して火事になる危険性が高いです。またヘアアイロンが発火する原因は電源の切り忘れだけでなく、使用方法や本体の劣化なども関係します。

「大丈夫だろう」と余熱があるのにタオルで巻いたり、熱いままヘアアイロンを閉じると危険です。暑くなりすぎて爆発が起きる可能性があります。収納場所も気をつけましょう。実際にヘアアイロンによる火災も事例としてあるため、日頃から対策を取らなければ取り返しのつかない事態になる可能性があります。

そこで今回は、ヘアアイロンが発火するさまざまな原因や、発火した場合はどれくらいで火事に至るのか、さらに発火を防ぐための有効な方法を紹介します。普段ヘアアイロンを適当に置いている方も、安全のためにぜひ参考にしてください。

ヘアアイロンは他の家電製品にはないほどの高熱を発する機器で、モデルによっては220℃ほどの温度設定が可能です。そのため、高温状態のヘアアイロンがティッシュや布製品など燃えやすいものにあたると、すぐに引火してしまいます。

ヘアアイロンで起きる火事の原因のひとつとして、カーテンへの引火が挙げられます。カーテンのそばにヘアアイロンを置いていると、風にあたり発火する可能性があります。特に生地が薄くて軽いカーテンは燃え広がるのも早いので、火事になるまでにスピードも早いです。ヘアアイロンはカーテンのそばには置かないように気をつけましょう。

空気が乾燥している冬は特に火事が特に起こりやすく、コンセントに付着しているホコリに火花が引火して火事になる場合があります。そしてコンセントにしっかり刺さっていない場合でも家事は起こりやすいです。日ごろからコンセント周りにホコリがたまらないように、きれいにしておきましょう。

ヘアアイロンのような発熱する電気機器には、既定の温度を超過した場合に電気回路を遮断する温度ヒューズが搭載されています。温度ヒューズはヘアアイロン本体が故障したり、回路がショートし異常発熱を起こしたりした時に作動します。

しかしヘアアイロンをつけっぱなしで長時間放置すると、過電圧によりヒューズの能力を超えてしまう可能性があります。その結果ヒューズが飛び発火の原因となり、さらに発煙や破裂に至るのも考えられます。

家電製品はどんなものでも、使い続けると徐々に劣化します。特にヘアアイロンやドライヤーは基本的に毎日使用するものなので発熱量が多く、コードを含めて劣化しやすいです。

たとえ見た目には異常が見られなくても、本体やコード内部のパーツが劣化し発火につながる恐れがあります。さらにヘアアイロンを乱暴に扱っている場合、ダメージの蓄積により本体の一部が破損する可能性もあります。もしその状態のまま使用を続けると、発火の危険性が高くなります。

コンセントにホコリが溜まっていると、ふとした弾みでホコリに引火する恐れがあるため、コンセント回りは常にきれいにしましょう。また、高熱のヘアアイロンを髪の毛の同じ部分にあて続けると、焦げて発火する場合があります。そのためヘアアイロンは同じ部分に何度もあてず、短時間・少ない回数で仕上げるのがおすすめです。

さらには、一度高熱になったヘアアイロンは冷めるのに時間がかかり、電源を落としても余熱が残っています。ヘアアイロンが熱いまま収納すると、引火して火事の原因となる可能性があります。しっかりと熱が取れたのを確認してから収納しましょう。

ヘアアイロンが原因で実際に発火した例を見てみましょう。

• ヘアアイロンの接触不良による出火で火事が発生

• 充電式ヘアアイロンから出火し火事が発生

• 電車内でリュックサックに入れていた充電式ヘアアイロンのバッテリーから発火

ヘアアイロンの使い方に気をつけていたり、また安全装置が搭載されていたりしても、思わぬことが原因で発火し火事が発生します。さらに、充電式ヘアアイロンのバッテリーが突然発火したケースもあります。

発火の原因は、バッテリーに使われているリチウムイオン電池である可能性が高いです。コードつきのヘアアイロンであればこういった心配は少ないですが、充電式は特に注意が必要です。

タオルや布など燃えやすいものがヘアアイロンの近くにあった場合、つけっぱなしにすると30分ほどで燃え広がる危険があります。また、電源を落としてもヘアアイロンの余熱は20～30分ほど続くため、近くに燃えやすいものがあれば電源が切れていても引火する可能性は高いです。

一方でヘアアイロンの近くに燃えやすいものがなかった場合は、火事が起きるまでは数時間、もしくは火事にならない確率が高いです。とはいえ、コンセントやコードがショートして火事を招く場合もあり得るため、つけっぱなしに気づいたらすぐに対処しましょう。

ヘアアイロンからの発火を確認した場合は、以下のように対処してください。

• 119番をして近隣にも火事について知らせる
• 部分的に発火していた場合はコンセントを抜く
• すでに燃え広がっている場合はブレーカーを落とす

まず避難を最優先にして行動するのが重要です。発火したヘアアイロン本体に触れると火傷の恐れもあり大変危険なため、触らないようにしてください。また、そのままヘアアイロンに水をかけると感電する危険があるため、火を消せそうな状況でも必ず電気の流れを断ってからにしましょう。

どれだけ気をつけていても、ヘアアイロンはほぼ毎日使うものなので、うっかり電源を切り忘れる可能性もあります。もしつけっぱなしに気づいた場合、家にすぐ戻る必要があったり、大家さんや管理会社へ迷惑をかけてしまいます。朝は何かと忙しくなりがちですが、外出前に電源が切れているかどうか確認を普段から習慣づけましょう。

ヘアアイロンに自動電源オフ機能がついていれば、うっかり切り忘れても自動的に電源が切れます。自動オフ機能には以下の2種類があります。

• 電源を入れてから一定時間がたつと電源が切れる
• 最後に操作してから一定時間がたつと電源が切れる

ただし電源が切れるまで1時間以上かかるヘアアイロンの場合は、その間に近くのものに引火する可能性もあります。また、電源をオフにしてもすぐにヘアアイロンは冷めません。そのため、自動オフ機能が搭載されていても油断は禁物です。

メーカーやモデルにもよりますがヘアアイロンの温度設定は、大体80〜220℃程度です。早く髪の毛を巻きたい、カールが取れないようにしたいからと高温で使用するのは避けましょう。髪にもダメージとなり、発火のリスクも高まります。設定温度は、140℃前後での使用がおすすめです。

ヘアアイロンで発火は、イメージしづらいと感じるかもしれません。ですが、140℃前後は揚げ物油と同じくらいの温度です。使用前は設定温度の確認を怠らないようにしてください。

ヘアアイロンの使用後は、プレートの熱が冷めるまでなかなか片づけられません。しかし専用の耐熱ホルダーを使えば、余熱が残っていてもそのまま収納できます。ヘアアイロンは220℃ほどに設定できるものもありますが、耐熱ホルダーは240～250℃以上の熱に耐えられる素材で作られています。

そのため、急いでいる時でもすぐに片づけるのが可能です。耐熱ホルダーには、ヘアアイロンを閉じた状態で挿し込むものや、開いた状態のまま上におけるものなど、さまざまな種類があります。

ヘアアイロンは頻繁に使うものなので、いちいち片づけるのが面倒だからと適当に置いていませんか？しかし、保管場所を決めて近くに燃えやすい素材を置かないようにするだけで、発火を防げます。

特にヘアスプレーやヘアオイルのような化粧品は、ヘアアイロンに接触すると引火する危険があります。もし化粧台の隅などにヘアアイロンを置いている方は、可燃性のある化粧品とは別々に保管しましょう。

コードを片づける時、ヘアアイロン本体に巻きつけておくのは危険です。もし本体が熱い状態のままコードを巻きつけると、コード表面のゴムが溶けて銅線がむき出しになり、いつ発火してもおかしくない状況になります。

よって、コードが溶けて銅線が見えている場合はすぐに使用を中止してください。またコンセント周りにホコリが溜まっていると、火花が発生した際に引火する恐れがあります。ヘアアイロン本体だけでなく、コンセント周りも常にきれいに保ちましょう。

ヘアアイロンの適正温度は160～180℃とされています。ただしカールを強くつけたい場合などは、高温にしてスタイリングを行います。ヘアアイロンの温度が上がるほど冷めるまでの時間が長くなるため、そのまま放置すると発火の原因になりかねません。

また、高温でヘアアイロンを髪にあて続けると髪を傷めたり、場合によっては焦がしたりする場合もあります。そのためヘアアイロンはできるだけ適正温度で使用し、高温にする時は短時間で一気に仕上げましょう。

ヘアアイロンを定期的に手入れすることも危険性を下げることにつながります。本体やプレートに使用したときの整髪料が付いて、その部分にホコリがつくと加熱することによって引火する恐れがあります。使用後はしっかりと拭き取るようにしましょう。

余熱が残っているヘアアイロンを冷ますために、濡れたタオルの上に置いてくるむ方法がいいといった意見があります。しかしヘアアイロンが高温だとタオルを焦がす恐れがあり、さらに材質によってはコーティングが剥がれたり錆びたりする可能性もあります。

濡れタオルでもこういった危険があるため、乾いたタオルでヘアアイロンをくるむのもおすすめできません。熱くなったヘアアイロンを冷ますには、先ほど解説した耐熱ホルダーや、そのまま上に置ける耐熱マットを利用するのが最も安全です。

家電製品はどんなものでも、使えば使うほど劣化していきます。ヘアアイロンの場合は劣化すると温度調整がうまくできず、髪を傷めるなどの悪影響を及ぼします。

またヘアアイロンは通常の状態でも高温を発し危険ですが、寿命が近いヘアアイロンをそのまま使い続けた場合は、発火する危険性がさらに上がります。そのため、たとえお気に入りのヘアアイロンでも、性能が落ち寿命が迫っていると感じたら、安全のため買い替えを検討しましょう。

万が一ヘアアイロンの発火から火事が起きたら、周囲の家を巻き込んだり人を傷つけたりする可能性があります。火事ですべてを失って後悔する前に、ヘアアイロンの使用方法を改めて見直し、発火防止を心掛けましょう。