マザーボードの性能差は価格で決まる？値段の相場も紹介

自作でPCを作る時、マザーボード選びに悩む人も多いです。さまざまな部品によって構成されているPCにとって、マザーボードは主要な部分です。販売されているマザーボードの価格帯は、1～7万円台と幅広くあります。

どれを選べばいいかわからず、「妥当な価格でいいかな」と決めるのはおすすめできません。実は、マザーボードの価格は構成されているコンポーネントやマザーボードの規格などの違いによって変化します。

今回は、マザーボードの価格について解説し、更におすすめのマザーボード10選を価格順に紹介します。購入前にチェックしておくべきポイントを覚えておくと、購入後に後悔することもありません。ぜひ参考にしてください。

「価格の高いマザーボードは性能も高い」と思っている人も多いでしょう。確かに、マザーボードは新しくなる度に機能が増える傾向にあります。しかし、価格が高ければ必ずしも性能がいいとは限りません。

まず、自作するPCにはどんな機能が必要なのかを整理しましょう。優先順位をつければ不要な機能を落とすことができるため、低価格のマザーボードでも十分な場合があります。

マザーボードの価格帯で多いのが、1～2万円台です。この価格帯のマザーボードは種類も豊富なので、ハイスペックを追求しなければ1～2万円台でも十分満足できるものを購入できます。

VRMフェーズはマザーボードが備えている電源回路のことです。コンデンサ・PWMコントローラー・MOSFETから構成されています。マザーボードの価格の違いに大きく係わってくるパーツです。

大きな周波数でCPUを動かすオーバークロックには、強い電圧がかかります。そのため、耐久性のある安定した価格の高いコンデンサの数を増やす必要があります。ただし、フェーズの数が多い価格の高いマザーボードは必ず高性能とは限りません。搭載されているコンデンサが良質であれば少ない数でもカバーできます。

コンデンサの周りを取り囲むように配置されているフェライトコア（パワーチョークコイル）の数が多いマザーボードは、価格が高くなる傾向があります。

フェライトコアには高周波のノイズ電流で発生する磁場を吸収し、ノイズを抑える役割があります。ノイズによる誤作動を防止するので、配置されている数が多いほど高周波に対応できるマザーボードです。

インターフェースもPCの大事なパーツです。インターフェースは、マザーボードにハードディスク・光ドライブ・SSDを接続する役割があります。Serial ATAは大容量のデータのやり取りも快適に行うことができますが、価格が高い傾向にあります。

価格を抑えたいならPCI Expressがおすすめです。PCI Expressは×1・×4・×8・×16の4種類あります。たとえば、ゲームや編集機能をメインで使うならグラフィック性能が高いPCI Express×16が最適です。目的に合ったものを選んでください。

マザーボードの司令塔であるチップセットは、搭載したいCPUやメモリに対応可能なものを選んでください。価格の安いマザーボードには、ローエンドクラスのB150が搭載された製品が多く販売されています。

また、メインストリーム向けのZ170が搭載されたマザーボードは、ローエンドからハイエンドクラスまで幅広く販売されているので、予算や必要な機能で選びましょう。レーン数が多いほど価格も高くなります。

自作でPCを作るなら長く愛用したいものです。最近のマザーボードは価格が安くてもすぐに壊れることは少ないですが、PCの使用環境や使用状況によって耐久性は変化するので注意が必要です。

ハイエンドユーザー向けのマザーボードは、オーバークロックを想定して優れた耐久性が備わっています。ただし、優れた耐久性がある部品が多く使用されているため、価格も高いです。また、部品数が多くなれば故障率も上がる傾向にあるので注意が必要です。

CPUを装着するためのパーツのCPUソケットには、インテルとAMDの2種類があります。同じメーカーのCPUでもソケット形状が違う場合もあるので、CPUソケットの形状とマザーボードのソケット形状が合うかどうか確認してください。

インテルのCPUソケットで主流なのがLGA1151です。Skylake-S・Kady Lake-S・Coffee Lake-SのCPUに取り付けできます。LGA2011v3は同じソケットで取り付け可能です。ただし、ハイエンドモデルのマザーボードに搭載されています。

LGA1151はCPUを固定するカバーがあり、更にマザーボードにはピンが付いているため安定した固定が可能です。

AMDのSocket TR4に対応可能なRyzenは、取り付け用のトレーとトルクドライバーが付属されていて、自作PC初心者でも取り付けに失敗しにくいです。マザーボードに均等な力で固定ができるので、メモリスロットの不具合が解消されます。

AMD・インテルの両方とも、CPUの性能が上がるとCPUソケットの大きさも比例して大型になります。また、ハイグレードのチップセットを選んだ場合、グレードが上がることもあります。

ATXは、305×244mmの標準的なマザーボードのサイズです。PCI ExpressやUSBなどの拡張機能が豊富に搭載されています。扱いやすく価格もリーズナブルな製品が多いのが魅力です。標準のミドルタワー～フルタワーのPCケースに対応できます。初めてPCを自作する人は、ATXから始めるのがおすすめです。

E-ATXは“Extended ATX”の略称で、簡単にいえばATXの大型版・上位グレードです。基板の形状はATXの奥行きを広げたもので、基本サイズは約305×330mm。スロット・コネクタ類を豊富に搭載したものが多く、ハイエンドのゲーミングPCやサーバー用として使われるのが一般的です。

ATXの高さが小さくなったmicroATXは、244×244mmのマザーボードのサイズです。ATXより端子数が少ないですが、最低限の機能があるのでゲーミングPCを組むならこのサイズでも十分です。

PCケースはミニタワー～ミドルタワーを使用します。ATXに比べてやや価格が安いので、予算を抑えたい人におすすめです。

コンパクトなマザーボードのサイズのmini-ITXは170×170mmの正方形をしています。拡張機能がほとんどないので、CPUソケットの周辺CPUクーラーが干渉することがあります。組み立ての難易度が高く、価格も高いので自作PC初心者にはおすすめできません。サブPCとして使用するのが一般的です。

マザーボードに取り付けられるメモリは、チップセットの規格によって異なります。一般的な標準サイズのATXのメモリスロットは4本、mini ITXには2本あります。今の主流はDDR4メモリで、一般的な使い方であればコストパフォーマンス的にも16GBあれば問題ありません。しかし、写真編集や動画編集をするなら36GBがおすすめです。

性能と価格のバランスがいいミドルエンジクラスのマザーボードは1～2万円台で、手に入りやすい価格です。また、製品の数が多く販売されているので選択肢が広いのもポイント。処理能力も高いチップセットが搭載されている機種も豊富にあります。

ただし、機種によって機能や拡張性に差があるので、見極めて購入しましょう。自作PCに必要な機能があるものを選んでください。

ミドルエンジよりももう少し予算があれば、アッパーミドルクラスがおすすめです。価格は2～3万円に上がりますが、機能や拡張性も含めて品質や使い勝手のいいマザーボードが豊富です。平均以上の水準を満たした製品もあり、さまざまな用途に対応できます。

どのメーカーの機種にもプラスα機能が付いていて、ハイエンドクラス並の機能が搭載されているものもあります。他にも高品質な基板設計やコンポーネントが搭載されているため、お得感は満載です。

スペックの高いハイエンドクラスのマザーボードは、品質・機能・拡張性などは水準をはるかに上回っています。更に、各メーカーや機種独自の付加価値がプラスされているのも特徴です。高いものだと7万円台の製品が販売されています。

ゲームマシンの作成や常に処理が重い作業をするには最適です。また、外部DACチップ・オペアンプ・クロック発振器が搭載された高音質に特化した製品もあり、ハイエンドクラスならではの品質です。

世界中で人気のマザーボードメーカーのGIGABYTEは、台湾の老舗メーカーです。マザーボードだけではなくPCケースメーカーとしても有名で、マザーボードの基板の厚さと高耐久性のある製品が多いことでも知られています。また、コストパフォーマンスが高く、自作PC初心者から中級者に人気があるメーカーです。

ASUSもIT大国の台湾のメーカーで、マザーボードは世界トップクラスのシェアを誇っています。製品価格の幅も広く、ローエンドクラスからハイエンドクラスまでたくさんの製品がラインナップされています。

特に、オーバークロックやゲームプレイなどが豊富で、ユーザーのニーズを素早くキャッチした製品が多いメーカーです。

ASrock（アスロック）は、2002年にASUSの子会社として誕生したマザーボードメーカーです。奇抜な個性が強い製品が多いことや価格の安さが特徴です。個性豊かな自作PCを作りたい人にはおすすめのメーカーです。マザーボードの他にも無線LANルーターや業務用ワークステーションも販売しています。

PCの性能に直結するマザーボードはさまざまな種類がラインナップされています。ポイントを押さえれば、最適なものを選べます。必要なスペックを見極めて、自分にとって最適なマザーボードを選んでください。