寝るときのエアコン設定温度｜26度でも暑い？エアコンつけて寝るのは大丈夫？

暑い日などに人間の身体は体温が上がると、皮膚から熱を放出したり汗をかいて体温を調節します。しかし、高温多湿の環境下で体温が上がると体温調節を正常に行えません。高温環境に適応できずに引き起こされるさまざまな症状をまとめて熱中症と呼びます。

重度の熱中症の際に起きる意識障害や幻覚・昏睡状態は、命に関わりかねない大変危険な状態です。熱中症の約4割は意外にも夜間に発症すると言われています。そのため、暑い日は寝るときも熱中症対策として、エアコンの冷房を使用して適性温度の保持が推奨されているのです。

この記事では、「寝ている間に冷房をつけっぱなしにしてもいいのか」「日中は快適に感じる設定温度の目安は？」などの疑問や、除湿やタイマーを使った手なエアコンの使い方を徹底解説しますので、ぜひ参考にしてください。

結論として、熱帯夜には寝ている間も冷房をつけっぱなしが推奨されています。秋や冬の暖房も同様です。私たちの身体は就寝時にある程度体温を下げてそれを保持して、しっかり安眠できる仕組みになっています。

しかし、気温が高い夏の夜には体温が十分に下がりきらず、その結果よく眠れなくなるのです。そのため、いい睡眠をとるためには部屋の温度を下げ、眠りに最適な温度までしっかりと体温を下げるのがポイントです。低めにすると寒いと感じてしまうため、長袖のパジャマを着たり、厚みのある布団を着て体温調節します。

逆に、薄手のパジャマなら高めの温度設定にするなど、着衣と室温のバランスが大切です。上手く冷房を使えば、眠りに最適な環境づくりが可能です。

ここで少し話が逸れますが、夏の冷房と同様に秋や冬の暖房も夜間は付けっぱなしにしましょう。体温が下がらないといい眠りにつけませんが、暖房をつけないと逆に体温が下がり過ぎてしまうので、睡眠の質が落ちてしまいます。

そして、夏とは違い秋や冬は乾燥が大敵です。加湿器を使ったり部屋干しをしたりするなどして、お部屋の湿度を保ちましょう。夏の過湿、冬の乾燥を防ぐために、湿度計があるとお部屋の環境整備に役立ちます。

一方、「エアコンの冷房をつけっぱなしにするとよく眠れるけれど、風邪などの体調不良の原因になるのでは？」と疑問を感じます。たしかに、使い方によっては体が冷えてしまい、風邪や体のだるさにつながる場合もあります。

しかし、タイマーの利用やモードの設定などで工夫すれば就寝中でも適切にエアコンを使えます。寝るときに上手にエアコンを使うポイントについては、記事後半で紹介していますので、そちらを参考にしてください。

就寝中もエアコンを使ったほうがいいと説明しましたが、エアコンの冷房を使用して喉が痛くなったり、風邪を引いたりした経験のある方は少なくありません。

冷房で身体がだるくなったり、風邪を引いたりするのは、エアコンによる身体の冷やしすぎが主な原因の1つです。寒さを感じない程度の25℃〜28℃にエアコンを設定したうえで、風が直接身体にあたらないようにしましょう。

冷房の効いた部屋では膝掛けや薄手の腹巻き、羽織りものなどの防寒具も役立ちます。また、エアコンの設定だけでなく栄養不足や水分不足、運動などの生活習慣も、夏の体調不良の原因となるので避けましょう。暑いとついつい冷たいものが食べたくなりますが、身体の芯を温めるための温かい食事も効果的です。

前述の通り、熟睡するためには活動時よりも体温を下げる必要がありますが、室温を下げすぎても質のいい眠りにはつけません。日中、快適に感じる「26度設定」は就寝中だと冷えすぎる場合もあります。よりいい眠りのためには、寝室の「温度が28℃以下」に加えて、「湿度40〜60%」が最適です。

実は、室温だけでなく、室内の湿度も快適な眠りに大きく関わってきます。特に梅雨時期から夏場にかけては湿度が上昇し、湿度が高すぎると汗が乾きにくくなり、体温が下がりづらくなります。ジメジメした不快な環境は寝苦しさの原因の1つです。

そのため、熟睡するためには温度だけでなく湿度も大切にしましょう。エアコンの最適な設定温度については、以下の記事でも解説しています。

部屋の中の天井や壁は昼間にあたった太陽の熱であたためられ、熱がこもった状態です。そのため、就寝前にエアコンをつけてもなかなか部屋が涼しくならず、低い温度で設定したまま眠ると寒くて身体が冷えすぎてしまいます。そのような場合には、以下のような手順で「2段階設定」を行うのがおすすめです。

1. 眠りにつく1時間前にエアコンを26℃以下の低めの温度に設定し、室内を冷やす。
2. 就寝時にはエアコンを快適に眠れる温度である28℃以下に設定し直して、そのまま眠る。

いったん低い温度で室内を冷やし、その後はゆるやかに冷房を続けて、身体を冷やしすぎずに眠れます。

寝るときに最適な風量は、「弱」または「自動」です。おやすみモードが搭載されているエアコンなら、自動で「弱」や「自動」に設定されて冷えすぎない風量で自動運転してくれます。

風向きは直接身体に風があたらないよう、天井に対して水平または上向きがおすすめです。また、冷たい空気は部屋の下の方に流れていくので、風向きを上向きにすると部屋全体をムラなく冷やせます。

眠っている間は、朝まで冷房のつけっぱなしが推奨されています。しかし、風邪をひきやすいなどの体調面の不安から一晩中つけたくない場合には、切タイマーを最低3時間で設定しましょう。入眠直後の深い眠りが温度変化で阻止されなくなります。

また、午前3時過ぎにエアコンが切れるようにタイマーを設定するのも効果的です。明け方になると気温も体温も下がるため、途中で寝苦しくて目覚めなくなります。これまでにタイマーの使用があまりない方は、下記のリンクもぜひご覧ください。

エアコンのおやすみモードとは快適な睡眠環境を整えるための機能です。ダイキンエアコンの ｢おやすみモード｣や、日立の｢みはっておやすみ｣などメーカーによって多少の違いはありますが、ほとんどの製品のおやすみモードは身体に直接風があたらないよう風向きが上向きに設定されています。

また、室温が下がりすぎないよう自動的にスリープモードの運転に切り替えるのも特徴です。適温になるよう自動で調整してくれるため、いちいち起きてエアコンを切ったりつけたりする必要がなく朝までぐっすり眠れます。ぜひ、便利なおやすみモードを活用してください。

湿度コントロールができるエアコンをお持ちの場合は、湿度設定をするのもおすすめです。目安としては、温度を28℃・湿度を50〜60%に設定すると体感温度が下がり、ジメジメとした不快感もなくなります。

このくらいの設定にすると身体が冷え過ぎないので、温度設定と同じく除湿もしっかりしましょう。除湿機能がついたエアコンは下記リンクで紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

前述したとおり、お部屋の湿度設定も快眠にとても重要な要素です。梅雨の時期など、特に湿度が気になる時はエアコンの除湿（ドライ）モードを使いましょう。除湿モードは弱冷房でゆっくり温度を下げるので、風量も弱く喉を痛めにくいメリットがあります。

除湿モードだと気温が下がらない場合は、扇風機やサーキュレーターの併用がおすすめです。下に停滞した冷気をかき混ぜて、部屋の空気を均一にしてくれます。

快適に眠るための工夫としては、エアコンの設定以外にも自分の体質に合わせて寝具やパジャマの素材を工夫する方法があります。たとえば、暑がりで入眠時のエアコンの設定温度を低く設定しているが、翌朝に身体が冷え過ぎているような場合を考えてみましょう。

このようなケースでは、エアコンの設定温度はそのままで布団を少し厚いものにする・設定温度を上げてパジャマを通気性のいいものに変えるなどの工夫が考えられます。寒がり・暑がりなどの体質の面からも寝るときの環境を考えるのがおすすめです。

家族やパートナーと体感温度が異なると、快適に感じるエアコンの設定温度が違います。特に寝室が一緒の場合は寒かったり暑かったりして、寝付けない時があり不便です。

そんなときは暑い人に設定温度を合わせて、寒い人が服や寝具を変るのをおすすめします。パジャマを長袖と長ズボンに変える、掛布団を厚手にしましょう。それでも寒い方は、肌着・腹巻・レッグウォーマーなどの保温アイテムを着用してください。

また、暑い人は冷感寝具を使用する・エアコンの風を自分に向ける・微風をあてると暑さが軽減されます。ダブルベッドの場合、寝具の調整が難しいのでシングルベッドや別々の布団で眠るのがおすすめです。

寝ている間冷房をつけたままにしておくと、気になるのが電気代です。ダイキンの6畳用エアコン「S22YTES」の場合、就寝中(8時間)つけっぱなしにすると電気代は約123円かかります。1ヶ月で約3690円かかる計算になるため、できるだけ電気代を抑えて使用したいものです。

ここでは、電気代を抑えるポイントを3つご紹介します。まず、1つ目は室内に熱気がこもっている場合、冷房をつける前に窓を開けて外気を部屋に取り込み、ある程度室温を下げましょう。エアコンが室温を下げるための稼働時間が短縮されます。

2つ目として、フィルターが目詰まりしているとエアコンの効率が下がって無駄な電気代がかかるため、フィルターのお手入れも大変効果的です。室外機の吹き出し付近にも障害物を置かないようにしましょう。

3つ目は、扇風機とエアコンの併用です。扇風機とエアコンの併用で効率よくお部屋の温度を下げられます。ただし、扇風機の風が直接体に当たらないようにしてください。

夏の就寝中のエアコン使用についてご紹介してきましたが、冬についても気になるところです。結論からいうと、冬場もエアコンのつけっぱなしで快適に眠れます。

冬場の寝室の推奨環境は室温20度前後、湿度40～60％です。そのため、寝る30分ほど前からエアコンを使って寝室を温めておき、暖房を20度前後に設定してつけっぱなしで就寝しましょう。暖房をつけっぱなしにしたくない場合は、タイマーの切入設定を工夫してください。

• 就寝して約2時間後にオフになるように設定する
• 起床の約1時間前にオンになるように設定する

特につけっぱなしにする場合は、乾燥にはくれぐれも気をつけましょう。喉が痛いのが心配な場合は、加湿器を併用するのがおすすめです。

快適に眠るためにエアコンを使用するのも大切ですが、エアコンを使うこと以外にも、快適に眠れるようにするための方法はいくつかあります。

• 軽いストレッチなど、身体を動かすことを習慣付ける
• 温かい飲み物を飲んで、身体を温める
• 夕飯は、寝る3時間前までには済ませておく
• お風呂は、就寝する1時間半〜2時間前に入る
• 自分の身体に合ったマットレスや、枕などの寝具を使う

良質な睡眠を取るためには、エアコンを上手く使ってお部屋を最適な温度・湿度に保ちましょう。上記で説明したエアコンを効率的に使う方法を参考にしながら、暑い夜でも快適な睡眠を取ってください。