マルチエアコンとは？｜やめたい！デメリット・メリットや電気代も！どこで買う？

家を新築する方で、マルチタイプエアコンの設置を視野に入れている方もいるようです。室外機1台で複数の室内機に対応でき、家の外観がスッキリするのが魅力で、室内機のバリエーションが豊富な点も人気です。

ところが、メリットに気を取られ、電気代の高さなどデメリットを軽く見たために、使ううちにもうやめたいと後悔する方が少なくありません。この記事を読み、特徴を知りポイントを押さえた上で選ぶと後悔なく選択できるはずです。

マルチエアコンのメリット・デメリットを含め、買うとしたらどこで買うべきか、口コミや特徴なども紹介しますので参考にしてください。

マルチエアコンとは、一台の室外機で2台以上のエアコンを設置できるものを指します。新築の家や業務用などで随時取り入れられており、最大で5台ほどを接続でき、スペースを有効活用できるのが利点です。

また、壁掛けタイプだけでなく天井埋め込み型など、さまざまなタイプを組み合わせて設置できるのが特徴です。

通常エコアンが複数ある場合は、それと同じ数だけの室外機とそのスペースが必要です。しかし、マルチエアコンなら複数の室内機を1つの室外機で稼働できます。そのため、省スペースで室外機を設置でき、置き場所に困らないのがメリットです。

特に、ベランダが狭いタイプのマンションなどに設置する場合にも使い勝手がよく、限られたスペースを有効活用できます。

マルチエアコンの室内機は部屋の雰囲気に合わせて、種類や組み合わせを選べるのがメリットです。通常の壁掛け型のほか、天井埋込カセット型・床置型・壁埋込型など、スペースや設置場所に合わせて自由に選択できます。また、和室であれば木目調の室内機を選ぶなど、インテリアに合ったデザインが選べます。

壁掛け型・天井埋込カセット型・床置型・壁埋込型の特徴を表で記載しているので、選ぶ際の参考にしてください。

1つの室外機を共有するマルチエアコンは、複数の室内機の内どれか1台が稼働していれば、ほかの室内機からもすぐに温風が出てくる点がメリットです。冬場は室外機を暖めるのに時間がかかるので、通常のエアコンであればエアコンごとに温風が出るまでの時間が必要になります。

メーカーによってはエアコンだけでなく、床暖房やパネルヒーターと接続できるマルチエアコンがあります。たとえば、ダイキンからリリースされているシステムマルチなどが該当します。部屋全体の温度はエアコンで調節し、足下は床暖房で暖めるといったように、室内温度や状況に合わせてさまざまな空調設備を使用できます。

元々業務用であるマルチエアコンは、基本的に家電量販店などでは販売されておらず、取り扱っているメーカーは多くありません。それに伴い製品ラインナップも少ないので、価格帯や機能性がある程度限られてしまうのはデメリットです。

通常のエアコンは室内機のコンセントで室外機も稼働できます。しかし、マルチエアコンの場合室内機のコンセントは使用できず、室外機専用の電源を確保する必要があります。そのため、室外機専用の外部電源が確保できない場合、ブレーカーまでの電気工事や配管工事が必要になります。

1つの室外機で複数の室内機を稼働できるマルチエアコンのメリットは、そのままデメリットにもなり得ます。なぜなら1つしかない室外機が壊れてしまった場合、すべての室内機が使用できなくなってしまうからです。

また、故障によってはすべての機器を買い替えなければいけない可能性があります。本体価格・工事費など、さまざまな費用が一度にかかるので、トラブル時の負担が大きい点がデメリットです。

マルチエアコンで複数の室内機を同時に使用すると、1つしかない室外機にはそれだけの負荷がかかります。そのため、室内機を同時使用したときの1台あたりの運転能力は、通常のエアコンより劣ってしまうのがデメリットです。

通常の1台の室外機に対して1台のエアコンを接続するペアエアコンの場合、各社新機能や省エネなど開発に力を入れているため、毎年のように新作を発表しています。

しかし、マルチエアコンはペアエアコンに比べると需要が少ないため、数年に1度の発表に留まっています。また、通常のエアコンと比べると省エネに入れる力の入れ方も小さく、マルチエアコンの省エネ基準達成率は、100%～107％前後となっています。

通常のエアコンの省エネ性能を示す省エネ基準達成率は、110％～140％前後である点からもエコの点で劣ってしまう部分は明らかです。マルチエアコンの省エネ性能は通常のエアコンより劣るので、電気代の負担が大きくなります。

マルチエアコンは、複数の室内機と室外機を接続する必要があります。室外機専用で使える電源がある場合は問題ありませんが、ない場合は別途工事が必要です。家の景観を損ねないように配管を隠して設置することや、万が一不調の場合は配管の洗浄が必要になるケースも見受けられます。

室内機の設置場所によっては長い時間を費やしたり、配管だらけになってしまったりする場合もあります。さらに工事が大掛かりになり、工事費用も大きくかさんでしまうのがデメリットです。また、買い替え時のコスト負担も大きいです。

マルチエアコンか通常のセパレートエアコンのどちらがいいか迷った場合、特別な使い方でなければセパレートエアコンがおすすめです。マルチエアコンは室外機の設置場所に困らないメリットがある一方で、機能性や省エネ性能が低く、工事に費やす時間やお金の負担が大きいなどデメリットが目立ちます。

また、故障したときのリスクも大きいので、一般的な使い方であればセパレートエアコンを選ぶ方がいいです。

パナソニックが提供する設置プランはナノイー搭載マルチ・フリーマルチの2種類です。どちらも機器と部屋の清潔さにこだわっています。また省エネで施工しやすいのも特徴です。

ダイキンは空調機器の専門メーカーです。ダイキンが提供する設置プランは、マルチパック・ワイドセレクトマルチ・システムマルチ・システムマルチ（ココタス接続モデル）の4種類です。エアコンだけでなく、床暖房を繋げられるプランもあります。

ダイキンには契約を結んでいる販売施工店「ダイキンプロショップ」があります。ダイキンのマルチエアコンを導入すると決めたら、お住まいの地域に店舗がないか探してみてください。

日立は「システムマルチが提供するマルチエアコンの設置プラン」のみです。室外機は2台用と3・4台用の2種類から選べます。

室内機のレパートリーは壁掛け用・壁埋め込み用・天井埋め込み用・フリーダクトの4種類です。日立は業務用のプランも提供しています。店舗やビルに業務用エアコンを導入したい人は検討をおすすめします。

三菱電機が提供するマルチエアコンの設置プランは「システムマルチ」のみです。1台の室外機に繋げられる室内機は1～5台ですが、室内機の種類が豊富で施工も短期間で終わります。

また、三菱電機は2020年2月にAI搭載の業務用マルチエアコンを発売しました。こちらはAIがエアコンを起動するのに最適な時間を自動で設定します。省エネでありながら快適な空間を実現可能です。

マルチエアコンを設置すると決めたら、室内機が何台必要か確認しましょう。マルチエアコンは1台の室外機に繋げられる室内機の数に制限があります。

またどんな室内機が適切かは、部屋の使用目的によって変わります。必要な台数を確認する際に「この部屋にはこのタイプのエアコン」のように室内機の種類を一緒に決めておくのがおすすめです。

マルチエアコンの設置を申し込むと、見積もり作成のために業者が実地調査に来ます。設置費用の見積もりだけでなく、エアコンの搬入経路・設置場所・使用用途・環境をチェックして設置の可否を判定し、適切なプランや商品を提案するためです。

業者にもよりますが、見積書の完成は調査から1～3日程度かかります。見積書が自宅に届いたら書面をよく確認してください。内容に納得できたら契約となり、それから取り付け工事日を決めていきます。もし、近所に見積もり費用は無料の業者があれば、そちらへの依頼も検討してください。

現在マルチタイプのエアコンを使っている場合、買い替え・交換は簡単にできます。使用中の配管・電源がそのまま使えるので費用も安く、工事も1日程度で終わる場合がほとんどです。

新しいマルチエアコンは旧型に比べて機能・節電性能が格段にアップしています。電気代が安くなるうえ、気流の自動調整で効率アップ。さらに加湿・床暖房・自動洗浄などの新機能も付けられます。費用でも快適さでもお得なので、買い替え・交換は早目がおすすめです。

マルチエアコンには屋外電源と長い配管が必要です。今まで一般的なエアコンだった場合はこれらを新たに設置する工事が必要になるので、設置費用がかかる場合があります。

一般的なエアコンの室外機は室内機の近くにあるコンセントから給電しますが、マルチエアコンは室外機の方から給電するので屋外用コンセント（単相200V）が必要です。設置には5,000円程度かかります。

現在マルチエアコンを使っていて、室内機を増設したい場合は増設する室内機のスペックに気を付けましょう。今使っている室外機に対応していなければ、その室内機は取り付けられません。

また、室外機の接続可能台数が足りない場合も、室内機の増設は不可能です。マルチエアコンを初めて設置する際は、1台分ぐらい余裕がある室外機を選んでおくのがおすすめです。

マルチエアコンはネット通販にはほとんど出回っていません。大手家電量販店でもカタログを置いているだけの店舗がほとんどです。マルチエアコンの購入と設置は、メーカー認定の販売施工店やエアコン専門店に依頼してください。

居住地に近いところにあるお店を探してください。エアコンメーカーによっては公式ページで提携している業者の一覧を公表している場合もあります。心当たりがない場合や近所にない場合は、ネット検索やメーカーへの問い合わせがおすすめです。

一般的なエアコンの電源は100Vですが、マルチエアコンは200Vです。そのためマルチエアコンはどうしても電気代が高くなります。実際の商品で電気代を計算したので参考にしてください。計算式は「期間合計×2.7円（1kWhあたりの電気代）」です。

マルチエアコンは6~7畳と7~10畳2部屋分です。一般的なエアコンなら、2台使ってもその電気代はマルチエアコン2台より安くなります。現在マルチエアコンを使っていて室内機の増設を検討している場合は、一般的なエアコンを選ぶのもおすすめです。エアコンの電気代については、以下の記事でも解説しています。

日本でマルチエアコンを導入している一般家庭はほとんどありせん。しかし、実際に導入した方の意見はネットで探すと見つかります。よくある口コミの内容は以下のようなものです。

• 新築の家に設置したときは喜ばれるが、年月が経って入れ替えるときはやめたいと後悔する人が多い
• 配管の仕込み工事でトラブルが起きて後悔した
• 室外機のデザインが格好悪い
• 真夏や真冬に室外機が故障して大変だった

マルチエアコンは室外機が故障するとすべての室内機が使えなくなります。取り換え工事をする場合はエアコンなしで快適に過ごせる春や秋に日程を決めましょう。

マルチエアコンは室外機が1台で済むので、都会の住宅に向いています。しかし、日本の住宅は設置が難しいケースが多く、電気代も高いのが事実です。エアコンはメリットとデメリットをよく考えて、適切なものを選びましょう。