電気ケトルの仕組みと構造を解説｜コードレスの仕組み・電気ポットとの違い【原理は？】

電気ポットと入れ替わるように主流になってきた電気ケトル。おしゃれなモデルやコードレスタイプも多く出て来て、最近はさらに人気となっています。電気ケトルは電気ポットよりもコンパクトな印象がありますが、具体的にはどのように異なるのでしょうか？

仕組みとしては、電気ケトルは電気で加熱するやかんです。電気ポットは水を沸騰させたあとも長時間高温で保温できる構造ですが、電気ケトルは使う水を使う分だけ素早く沸かす構造になっています。

容量も電気ポットよりも少なく、500ミリリットル以下のモデルから多くても1.5リットル程度までのモデルがほとんどです。そのため、一人暮らしから3人暮らしまでの少人数家族にはぴったりです。電気ケトルの原理・機能・スイッチが切れる仕組み・主要メーカーを紹介します。

象印

タイガー

ティファール

上記は電気ケトルを扱う主なメーカー3社の比較を表にまとめたものです。電気ケトルの沸騰時間は3メーカーとも1Lで約5分のため大きな違いはありませんでした。

タイガー製品に注目して電気ポットとの違いに目を向けると、電気ポットは単純計算した場合1L沸かすのに約10分に対し、電気ケトルは1L沸かすのに約5分。電気ポットの沸騰時の消費電力は700Wで、電気ケトルは1300Wのため同じ量のお湯を沸かす際、消費電力が高い電気ケトルのほうが早く沸かせると分かります。

また、電気ポットは少量を沸かすのに向いていない点が不便です。一人暮らしや1回に使うお湯の量が少ない場合はやはり電気ケトルの方が便利ですね。

電気ケトルの発熱の仕組みはどのようになっているのでしょうか。沸騰時間が早い理由や出力量なども見てみましょう。

電気ケトルは電気でお湯を沸かすやかんのようなアイテムと考えていいです。電気ケトルの熱源は、ケトル本体の底にあります。電気ケトルは本体とは別に電源プレートと呼ばれるプレートがあります。

電気ケトル本体を、電気でヒーターを発熱させる電源プレートの上に設置すると水が加熱されて沸騰する仕組みです。また、ほとんどの電気ケトルは、沸騰すると自動でスイッチが切れる沸騰検知器がついています。沸騰感知にはバイメタルが使用されています。

電気ケトルの消費電力は700W～1400Wと高い傾向にあります。沸騰時間が電気ポットと比べると早いのも、この高い消費電力のおかげです。

消費電力が高いほど沸騰時間が早くなるため、700Wと1400Wの機種ではカップ1杯分の水を沸騰させるのにかかる時間が1分近く異なる場合もあります。一般的に電気ポットの消費電力は電気ケトルよりも低いですが、保温時間の消費電力を考えると電気代は電気ケトルの方がお得です。

電気ケトルには通常電気ポットのように長時間保温できる機能はありません。基本的に、保温機能がついていても沸騰後15分～60分までの短時間の保温用です。しかし、60分もあればお茶やコーヒーの2杯目も再沸騰させずに飲めるため便利です。

また、数は少ないものの保温温度が設定できるモデルや、電源プレートに置いたままならずっと保温できるモデルもあり、電気ポットのように使えるタイプもあります。

蒸気レス機能は、電気ケトル本体から蒸気がでない構造になっている電気ケトルです。電気ポットや電気ケトルは熱い蒸気が出てしまいます。小さいお子さんは危険性がわからず触ってしまい、やけどする危険もあります。

蒸気レス機能があると、蒸気が外にでないため火傷の心配がなくなります。また、蒸気が出ると設置場所や家具へのカビなどが心配な方もいると思いますが、蒸気レス機能があれば設置場所にも困らずより快適に使えます。蒸気レス機能については以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。

多くの電気ケトルは沸騰を感知すると電源OFFになるため、カルキ抜き機能はありません。しかし、一部の電気ケトルではカルキ抜き機能として、沸騰を検知した後もお湯を沸かし続けるものもあります。カルキ抜きをするとお茶やコーヒーをよりおいしく入れられます。

少量のお湯を短時間で沸かせる電気ケトルですが、熱湯を扱うため危険な面もあります。一部の電気ケトルに付いている安全機能をご紹介します。小さいお子さんやペットのいるご家庭には特におすすめの機能です。

沸騰したお湯が入っている電気ケトルを倒してしまうと火傷の危険性があります。「転倒時お湯漏れ防止」機能が付いている電気ケトルでは、お湯の注ぎ口をロックできるため転倒しても安全です。小さいお子さんやペットがいるご家庭では、この機能に注目して商品を選ぶのをおすすめします。

水が全く入っていない、量が少ない状態で電気ケトルの電源を入れてしまうと、電気ケトルが故障してしまう可能性があります。これを防ぐための機能が「空焚き防止機能」です。意図せず電源に触れてしまったり、お子さんが間違えて押してしまったりしても安心です。

電気ポットや炊飯器でも人気の「象印マホービン」。象印マホービンの電気ケトルの特徴は、安全機能の充実さです。多くのモデルに転倒流水防止機能や空焚き防止機能が付いていて、蒸気レス構造のモデルを多く扱っています。

また、外側がプラスチックで内側がステンレスの本体二重構造で保温はしっかりとしながら、外側は熱くなりにくい優れた構造の電気ケトルも数多く作っています。

沸騰後1時間は90度の温度で保温ができる保温機能も、象印マホービン商品の優れた点で、全体的に機能面はとても充実していると言えます。

タイガー魔法瓶からは「わく子さん」シリーズという電気ケトルが発売されています。わく子さんシリーズは、象印と同じように機能面で優れています。転倒流水防止機能や、空焚き防止機能の他に蒸気レス機能や、本体が熱くならない本体二重構造を見ても、象印とあまり変わりません。

価格の点では象印の電気ポットで7千円～9千円の商品が多いところ、タイガーの商品は4千円台からラインナップがあり、全体的にやや安い傾向にあります。

ティファールも電気ケトルで人気のメーカーです。ティファールの電気ケトルの特徴は種類の豊富さです。主にコンパクトなタイプ・安全機能が充実したタイプ・デザイン性の高いタイプ・温度調節ができるタイプの4つに分かれています。

また、デザインにもこだわっており、シンプルで飽きのこない商品が多いのも魅力です。そのため、数多くの商品の中から価格・機能・デザインを考慮して自分に合う商品を見つけやすいと言えます。

電気ケトルと電気ポットの一番の違いはは保温性です。電気ポットは沸かしたお湯を保温しておいて、使いたい時にすぐに使えます。それに対し、電気ケトルは保温機能がないものが多く、その場で素早く沸かして使いたい分だけ使うといった形になります。

また、容量にも差があり、基本的に据え置き型である電気ポットの方が容量が多いです。電気ケトルの場合は沸かした後に持ち上げて注ぐのであまり大きい容量のタイプはありません。それぞれ一長一短ですが、お湯を使う頻度によって使い分けるのがおすすめです。

より電気ポットの構造のについて詳しく知りたい方は、ぜひ次の記事を参考にしてみてください。

電気ケトルは使いたい分だけ短時間に沸騰できるメリットがあります。保温機能が付いているモデルなら、2杯目のお茶やコーヒーも再沸騰させることなく使用できてとても便利です。忙しい朝に短時間で飲み物を用意したい方や、インスタントスープなどをよく飲む方は、ぜひこの記事を参考にしてお気に入りの1台を見つけてください。