エアコンでの部屋干し方法を解説｜衣類乾燥モード・部屋干しモードの電気代は？

天日干しした清潔な衣服やシーツは、ふわふわして心地がいいものです。しかし、天候や立地などの理由で部屋干しせざるを得ないときもあります。天気や時間を気にせず洗濯ができる部屋干しは、便利な一方でさまざまなデメリットも存在します。

部屋干しは、洗濯物が乾くまでに時間がかかり、湿度も高くなるため生乾きのニオイや結露によるカビの発生が心配です。しかし、エアコンの冷房や除湿（ドライ）を活用すれば洗濯物を早く乾かせて、嫌なニオイや湿気対策にもなります。さらにランドリー機能がついたエアコンなら、もっと簡単に乾かせます。

この記事では、エアコンを使った部屋干しのテクニック・早く乾かすやり方・電気代について解説します。また、シャープやパナソニック、富士通の「ノクリア」など人気メーカーの部屋干しモード・衣類乾燥モードが搭載されたおすすめ商品も紹介します。

天日干ししたときと比べると、部屋干しは洗濯物が乾くまでに時間がかかります。その原因は、洗濯物から気化した水分によって室内の湿度が上がりすぎるからです。空気の量に対し気化できる水分量には限界があります。

そのため、密閉された室内では湿気の逃げ場がなくなり、洗濯物が乾きにくくなります。また、室内は風がないので空気が循環せず、洗濯物の周囲に湿った空気が停滞するため、なかなか洗濯物が乾きません。

部屋干しには冷房や除湿機能を使うのがおすすめです。

• 冷房：温度を下げるだけでなく湿気を取る効果がある。この仕組みは除湿機能にも利用
• 除湿：部屋の温度を大きく変えずに除湿のみを行いたいときに便利

ここでは、部屋干しに最適な2種類の除湿機能「弱冷房除湿」「再熱除湿」の特徴を解説します。

弱冷房除湿は、微弱な冷房をかけて室内の空気から水分を取り除く機能です。取り除いた水分は室外に排出され、乾いた空気は室内に戻ります。

乾燥した空気を部屋干しした洗濯物に当てると乾きが早くなるので、風が当たるように干しましょう。また、湿度が下がると涼しさも感じられるので、弱冷房除湿は暑い季節におすすめです。除湿機能について特集した下記記事もチェックしてみてください。

再熱除湿は、部屋の温度を下げずに除湿する機能です。水分を取り除いた空気を温めてから部屋に戻すので、寒さを感じにくく冬の部屋干しにも最適です。

一方で熱を使用するため、弱冷房除湿よりもランニングコストがかかります。再熱除湿機能を頻繁に使用する場合は、省エネ性能の高いエアコンを選ぶのがおすすめです。

部屋干しモードを搭載したエアコンをお持ちなら、部屋干しモードを利用しましょう。部屋干しモードとは、洗濯物を効率的に乾かせるよう自動で設定してくれる機能です。また、メーカーによってはプラズマクラスターイオンやナノイーなど、独自のイオンでニオイを抑える機能も搭載しています。

注意点として、部屋干し機能の名称は、シャープが「部屋干しモード」、パナソニックが「衣類乾燥モード」というようにメーカーによって異なります。部屋干し機能の内容についても同様です。部屋干し機能を搭載したエアコンを選ぶ際は、自分にとって必要な機能を備えているか必ず確認しましょう。

記事の後半では、部屋干し機能を搭載した各メーカーのおすすめエアコンを紹介していますので、こちらもぜひチェックしてくださいね。

寒い季節に部屋干しをするときは、暖房と扇風機を併用するのがおすすめです。冬場は再熱除湿を使用しても肌寒く感じることがあります。部屋干しのために無理をせず、暖房を使用しましょう。温度設定は20℃前後がおすすめです。

また、水分を多く含んだ空気は下方に溜まり、天井に近い場所の方が湿度は低くなります。暖房を使用する際はエアコンの風があたる場所に洗濯物を干し、扇風機の風を下に向けて湿気を飛ばすと効率良く乾かすことが可能です。

部屋干しをすると、空気中に湿気が溜まっているので、必ず10分程度は換気をしてください。湿気が多いと雑菌やカビ・ダニなどが繁殖しやすい環境になります。そのため、たとえ冬場であっても窓を開けて空気の入れ替えをするのをおすすめします。

洗濯物を密集させて干すと、重なった部分が乾かず生乾きになります。衣服と衣服の間にしっかり風が通ると早く乾くので、部屋干しをする時は間隔をあけて干しましょう。間隔は外で干すときよりも広めにし、こぶし2つ分（15cmほど）を目安にしてください。

また、風通りを良くするためには、洗濯物の重なりをなるべく減らすのもポイントです。タオルのようなものは2つ折りを避け、広げて干すと乾きやすくなります。

ジーンズやパーカーなどの厚手の服は乾きにくく、部屋干しをするとさらに時間がかかります。厚手の服も乾いた風をあてると早く乾かせるので、エアコンの直風があたる場所に干すのがおすすめです。また、ジーンズは裏返して筒状に干し、パーカーはフードを開いて干すと、エアコンの風が通りやすいので早く乾きます。

薄手の生地は厚手の生地よりも早く乾きます。厚手の生地は、厚手同士をまとめて干すと乾きにくいですが、薄手の生地と交互に干すと乾きやすくなります。湿気がこもらないように間隔をあけ、厚手と薄手を順に干しましょう。また、薄手の生地が乾いたら順次取り込むとさらに効率がアップします。

部屋干しをする時に大量の洗濯物を一気に干すと、湿度が急激に上がって乾きにくくなります。エアコンの除湿機能だけでは乾くまでに時間がかかることもあるので、部屋干しをするときは少しずつ洗濯してください。余裕をもって干せば1つ1つの乾きがよくなるので、何回かに分けてしっかり乾かしましょう。

洗濯物は風が当たると乾きやすくなるので、扇風機やサーキュレーターを併用して部屋干しするのがおすすめです。除湿された風を効率よく当てて湿気を吹き飛ばすので、エアコンだけで部屋干しするよりもカラッと乾きます。

また、扇風機やサーキュレーターは設置場所によっても効率が変わるので、そのことについて解説した下記記事もあわせてチェックしましょう。

部屋干しにも便利なエアコンですが、本来は室温をコントロールするための家電です。室温管理の目的で使用している時は、部屋干しをする・しないに関わらず電力を使っているので、新たに乾燥器を使用して乾かすより電気代の節約になります。

除湿モードの電気代（1時間）の相場は、弱冷房除湿が約4円・再熱除湿が約15円。また、部屋干しモードは約4円です。ただし、メーカーや対応畳数によって電気代は大きく異なります。

電気代を節約するには、先ほどご紹介した「早く乾かすためのコツ」を実践したり、省エネ性能の高いエアコンに買い替えたりしましょう。

部屋干しをすると湿度が上がるため、じめじめして不快に感じることも。また、湿気の多い空気や結露を放置すると、ダニ・カビが発生する原因になります。

部屋干しをした後は窓を開ける・換気扇を回すなど、十分な換気をしてください。また、エアコン使用中に窓を開けるとエアコンの除湿効率が下がるので、運転を終了してから換気しましょう。

フィルターがホコリや油で目詰まりすると、エアコンの運転効率が悪くなります。また、フィルターが汚れた状態で多湿になると、雑菌やカビが発生しやすいです。部屋干し後には湿度が高くなるので、フィルターは定期的に掃除しましょう。

エアコンは天井に近い位置にあるので掃除が負担になりがちですが、最近では自動フィルター掃除機能付きのモデルも販売されています。手軽に清潔さを保てるので、部屋干しを頻繁にする方は検討してください。下記リンクでおすすめ商品をご覧いただけます。

シャープの部屋干しモードは、部屋干しする洗濯物を効率よく乾燥してくれる便利な機能です。部屋の温度と湿度を判断して、暖房運転と除湿運転をうまく組み合わせ、洗濯物が乾きやすいように制御する仕組みになっています。また、イオンのチカラで気になる部屋干しのいやなニオイも抑えることが可能です。タイマー設定も可能です。

パナソニックのエアコンで部屋干ししたい場合には、「衣類乾燥モード」が搭載された商品がおすすめです。この「衣類乾燥モード」は室内に干した洗濯物を乾かすのに最適なモードで、カラッと洗濯物を乾燥してくれます。それに加えて、パナソニック独自の「ナノイーX」効果により、よくある生乾きのイヤなニオイも脱臭可能です。

日立のエアコンには、ランドリー除湿モード（カラッと部屋干しモード）が搭載されている商品があります。このモードは、部屋干しの洗濯物を感知すると、集中的にその部分の除湿を行って乾燥しやすくする機能です。また、寒い地域や冬など室温が低い時には、暖房運転と組み合わせながら運転する優れものです。

エアコンで人気の高いダイキンにも、部屋干しに最適な機能が搭載されたモデルが販売されています。「へや干し（ランドリー）運転」モードでは、室内や屋外の温度に応じて「除湿」「冷房」「暖房」の中で最適なものを選択。部屋干しの洗濯物が一番乾きやすい温度にしてくれる優れたモードです。注意点として、お部屋に人がいないときに使用するようにしましょう。

富士通のエアコンにも部屋干し機能がついています。富士通のエアコンで人気のノクリアには、部屋干し機能にあたるランドリーモードが搭載されたモデルがあります。ランドリーモードは外の気温が20°C以上の場合は、冷房の強弱を組み合わせて洗濯物を乾かします。

外の気温が20°C以下であれば、暖房運転で部屋を最初に暖めてから、冷房の強弱を組み合わせて洗濯物を乾かす仕組みです。室温・湿度・風量が自動運転になるため、部屋に居ない時にランドリモードを設定するのがおすすめです。

エアコンを活用して干し方を工夫しても生乾きのニオイが気になる場合には、部屋干し専用の洗剤がおすすめです。通常の洗濯洗剤よりも高い洗浄力と抗菌性があるので、雑菌の繁殖を防ぎ生乾きのニオイを元から抑えます。

部屋干では天日干しのような殺菌効果が得られないため、洗剤の力で補ってください。また、洗剤を変えても生乾きのニオイがするときは、洗濯槽の汚れが原因だと考えられます。定期的にお手入れすることが大切です。

エアコンの他に効率良く洗濯物を乾かすには、浴室乾燥機・除湿機・衣類乾燥機を使うのが効果的です。各乾燥方法のポイントを下の表にまとめました。

今回ご紹介したようにエアコンの部屋干しモード・ランドリーモードを活用すれば、スピーディーかつ快適に洗濯物を乾かせます。天候や時間に左右されずに洗濯ができて便利なので、干し方のコツをしっかり押さえて快適に部屋干ししてくださいね。