保坂和志の小説おすすめ15選｜【口コミ】芥川賞作家｜愛猫家としても有名

保坂和志は愛猫家として有名です。著作には、必ずと言っていいほど猫が出てきますし、猫を題材にした作品が多いです。作家には愛猫家が多いと言いますが、保坂和志の猫とのかかわり方は独特です。

猫をかわいがるだけでなく、ある意味では猫に尽くすといった方がいいくらいです。『ネコメンタリー』に寄稿した内容でも語っているのですが、食事の管理にはことさら気を入れており、その隙間に執筆しているような状態なので、長時間家を空けることはあり得ないのだ、と語っています。

一つ一つの出来事や日常を細かく描写し、猫との関わりやしぐさまでも目に浮かぶようです。猫好きの人はもちろんですが、特に猫に興味がない人にも保坂和志の描写力にハマってしまいます。この記事では、口コミとともにおすすめ作品をご紹介します。

保坂和志の小説は、書き言葉より、話し言葉に重きを置いて執筆しているので、句読点の打ち方も独得で、日本語の文法も気にしていないような文章に惑わされます。カフカやベケットに影響を受け、執筆の自由を実現している作家でもあります。

また、2020年5月に「保坂和志とシロちゃん」のドキュメンタリー番組が放送されました。愛猫シロちゃんに対して、尊厳まで持っているような愛情表現を見て、保坂和志作品へ興味を抱く人も増えました。

保坂和志の著書は穏やかな日常を淡々と書き綴ったものが多く、読者の感情も穏やかにさせる魅力があります。劇的な変化のかけらもなく、細かい描写の続く絶妙な文章力を体感できる作品を、6作品に絞って紹介していきます。

『季節の記憶』は何でもないが何かあるような、心を穏やかにする小説です。物語としてではなく、保坂和志の持ち味である細かい描写により、小説の中に一体となったような、同じ時間を過ごしているような錯覚を覚えます。

小説に登場している子どもの成長までもが身近に感じられ、一緒に見守ってる感じがする不思議な読書体験ができます。

『プレーンソング』は保坂和志のデビュー作です。ドラマチックな出来事がひとつも起こらなく、4人の登場人物を中心に、日常を細かい描写で彩り描いています。

この作品で描写の細やかさと猫が、作家保坂和志の代名詞として確立した、と言っても過言ではありません。続編に『草の上の朝食』もあります。『プレーンソング』は「冬の終わりから夏にかけて」草の上の朝食は「晩夏から晩秋にかけて」を背景としています。

『ハレルヤ』は保坂和志の飼い猫との生活をはじめ、4作が収録された短編集です。4作収録されているうちの1作品『こことよそ』は川端康成文学賞を受賞しています。

題名にもなっている『ハレルヤ』は1999年に保坂家にやってきた片目の猫、花ちゃんとの生活が描かれています。猫を溺愛する保坂和志の心情が細やかに描かれています。

冒頭から鮮烈な文章「．．．はっきり言って、今死んでいます」と亡くなってしまった猫を語り手にした『チャーちゃん』は、保坂和志が暮らしを共にした猫をベースにした絵本です。絵は造形作家の「小沢さかえ」が3年の歳月をかけて描いたそうです。

ペットロスに陥っている大人、兄弟のように過ごしてきたペットを見送った子どもたちの、死がもたらす喪失感を癒してくれる絵本です。

『カンバセーション・ピース』は保坂和志の代表作と言われています。3匹の猫を飼うために、家探しをする夫婦。家を中心に起こる出来事が、何の脈略もないようで繋がっていて、不思議な読書体験をする私小説のような小説です。

のんびりとした空気感と詳細な描写が織り交ぜられた、保坂和志ならではの秀作です。

1995年に第113回芥川賞を受賞した『この人の閾』は、一見すると何もない日常を描いているように見えます。地域で起こる何もない毎日がダラダラ過ぎている中を、虫眼鏡で覗き込むように詳細な描写で説明されているようです。

何でもない日常が、これも一つのドラマなのかと気づかせる筆力は、さすが芥川賞作家とうならせられます。

保坂和志はツイッターやホームページを利用して、オンラインで開催しているトークイベントの、告知などを行っています。2019年から隔月で「小説的思考塾」として、小説家を目指している人や、小説を書いている人のための、アドバイス的なトークイベントを行っているのです。

さらにツイッターや、ホームページで新刊情報も配信していますので、保坂和志の小説が気になる方は、こちらもチェックするのをおすすめします。

保坂和志はこれから小説家を目指す人、なかなか文章が上手くならずもがいている人に向けて、体験談や指南書として役立つ書籍も執筆しています。オンライン講座も開設していますが、繰り返し読んで学ぶために、書籍がいい方向けに厳選2冊をご紹介します。

2003年に刊行された『書きあぐねている人のための小説入門』は、いわゆる指南書とは一線を画す感じです。技術をどうのこうのと云うより流れのままにとの保坂和志の言葉は、他の「小説の書き方」書籍とは違いがあります。

保坂和志自身が常に実践しているのを書いているので納得しやすく、親近感を得て小説も読みたくなります。

『考える練習』は2013年に刊行されています。「考える」のがどれだけ大事か、常日頃から知識を入れるだけではなく、クエッションをもって考えた方がいいと納得させられる内容になっています。

正解を求めるのではなく、考え思考を巡らせるのが大事と教えています。思考力を育てるのはいかに大切かをいろいろな角度から解説しています。

猫が登場する保坂和志の小説は、多くの猫好きからも愛されています。自身の経験や友人知人の猫との関わりを描いた作品もありますが、実際の経験から書かれている小説は、状況まで目に浮かぶほど細かく描写されています。

そんな保坂和志の小説が好きな方には、下にご紹介している2作品『江國香織』『川本元気』著作品もおすすめです。

どこにでもありそうな日常の景色や、猫との関わりを詳細な描写で描いている保坂和志の小説。静かに淡々と読み進んでいるうちに、心の中がほっこりしてくる保坂和志作品に浸ってみてください。

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