瀬戸内寂聴の小説おすすめ25選｜名言多数！説法しながら書く恋愛小説とは

2021年、99歳でその波瀾万丈の生涯を終えた瀬戸内寂聴。尼僧として唱えるユニークな説教には説得力があり、彼女の教えを求めて多くの人が足を運びました。あの愛嬌たっぷりの優しい笑顔も、印象に残っているかたは多いのではないでしょうか。

一方で、瀬戸内寂聴には、「人気作家」というもうひとつの顔もありました。女性の視点から綴られた正直な内容に、世間から賛否両論を呼んだことでも有名。その背景には、彼女の壮絶な人生が関係しています。

こちらでは、瀬戸内寂聴の心に響くおすすめの小説をピックアップ。彼女の人生や名言などもあわせてご紹介していきます。何かに行き詰まったときは、瀬戸内寂聴の声に耳を傾けてみましょう。

そもそも、瀬戸内寂聴とはどんな人物なのでしょう。小説を読み始めるまえに、彼女がベストセラー作家、そして尼僧として歩み出すまでの人生を知っておきましょう。

瀬戸内寂聴の半生は、あのチャーミングな笑顔からは想像ができない壮絶なものでした。三谷家の次女として誕生した晴海(本名)。20歳で見合い結婚し、翌年には女の子を出産しました。しかし、25歳のとき、夫の教え子と不倫関係をもってしまいます。

夫と娘をおいて家を出た彼女はひとり上京。ペンネーム「三谷晴美」として小説家を目指し、孤独な執筆活動を始めました。瀬戸内寂聴さんの小説には、この実体験を描いた自伝的な作品も多々あります。

コツコツと執筆活動を続けた瀬戸内寂聴。その実力が評価され、雑誌の掲載や入選を経て、1956年に晴れて処女作「痛い靴」とともに小説家デビューを果たしました。

その後、次々と作品を生み出したものの、1958年に発表した「花芯」で過激な官能表現を批評されてしまいます。批評家には「子宮作家」という差別的なレッテルも貼られ、依頼も激減。華々しい作家デビューとは程遠いスタートでした。

作家として活動をしながらも、瀬戸内寂聴は妻子持ちの作家と不倫関係にありました。しかし、その関係を清算するため、さらに文学を深めるために出家を決意。1973年、岩手県平泉町にある中尊寺にて得度を受けます。

「寂聴」という法名で、その後1987年には東北天台寺の住職に。執筆活動は続けながらも、出家者の義務は「法話」とし、頻繁に法話会を開いたことは有名な話です。その人気は、海外からの聴聞客が訪れるほどのものでした。

平凡とはいえない険しい人生を歩んできた瀬戸内寂聴。そんな彼女が書く小説には、自ら体験した泥沼の男女関係や修羅場を赤裸々に綴った作品が数多くあります。その生々しい女心の描写に、共感する女性は少なくありません。

また、彼女の人の心を引きつける思想や人生観も魅力のひとつ。恋愛はもちろん、仕事や家庭の悩みで立ち止まったとき、瀬戸内寂聴の正直な言葉を求めて小説を手に取るかたもいることでしょう。

1000を超える瀬戸内寂聴の小説やエッセイのなかで、代表作となった作品をご紹介します。彼女の生き様が描かれた印象的な作品ばかりなので、ぜひチェックしてみましょう。

瀬戸内寂聴の名言がたっぷり詰まった一冊。「悩みを抱え眠れない夜、心慰めてくれる本があったらどれだけ救われるだろう」という、瀬戸内寂聴の思いから誕生しました。

また、彼女の優しく穏やかな語り口調がそのまま綴られ、心を落ち着かせたいシーンにもおすすめです。不安やストレスに押しつ潰されそうなかたは、この本をカバンに忍ばせておきましょう。

女性の内に秘めた「性」を描いた、こちらも瀬戸内寂聴の作家人生を表すのに欠かせない一冊です。発表当時、「ポルノ小説」と批判された彼女の傑作5作品を収録。それぞれ違う立場におかれた女性たちの性愛を赤裸々に表現しています。

歪んでいるのにどこか繊細な世界観は、瀬戸内寂聴がもつ美しい言葉で綴られているから。作品の中で、女性として共感できる心情を見つけられるかもしれません。

瀬戸内寂聴と親交のあった作家や著名人の人間模様を描いた作品です。「この作家はイケメンだった」「この人は意地悪だった」など、まるでカフェで雑談をしているかのような「ここだけの話」が続々。人脈のある彼女だからこそ得られる情報が集められています。

また、話に登場するのは、島崎藤村、川端康成、三島由紀夫、岡本太郎といった大物ばかり。教科書にはない彼らのリアルな人柄を感じることができるでしょう。

「婦人公論」で掲載された瀬戸内寂聴の対談・インタビュー・エッセイから厳選したものを収録した一冊です。対談のなかには、「STAP細胞」で世間を騒がせた小久保春子さんや美術家の横尾忠則さんも登場。雑誌のように気軽に読み進められます。

悔いなく生きるコツや人生をやり直す方法など、立ち止まったときのよりどころになる名言が満載。誰かに背中を押してほしいときにおすすめです。

女流文学賞受賞作品「夏の終り」をはじめ、5篇を収録した瀬戸内寂聴の代表作。2012年には映画化され、多くの人の反響を呼びました。ストーリーは、作家との不倫関係を描いたもの。彼女自身の実体験が織り交ぜられ、リアリティがあります。

また、思わず引き込まれてしまう個性豊かな登場人物も魅力。ドロドロなのに品のある綴りで、どこか清々しさを感じるでしょう。

瀬戸内寂聴は生前、多くの名言を残したことでも知られています。そのあたたかい言葉に背中を押された人も多かったのではないでしょうか。こちらでいくつかご紹介します。

明日のことはわからないからこそ、今できることはいまする。好きだと思ったらすぐに気持ちを伝えるべきと瀬戸内寂聴は言います。これは恋愛だけでなく、すべてにおいて当てはまることです。

常に全力で切に生きることの大切さに気付かされます。波瀾万丈な人生を送ってきた彼女だからこその説得力のある名言。コラム「今日を生きるための言葉」に掲載されています。

訪れてくる相談者の多くに、瀬戸内寂聴はよくこの言葉を贈っていたといいます。人間がもつ「忘れる力」は、辛いことから逃げるために与えられた能力。嫌なこともいつかは忘れられると彼女は説きます。

いつも前向きで笑顔を絶やさなかった瀬戸内寂聴らしい名言ですね。この言葉で救われた人の数は計り知れません。

「どうせ死ぬんだから、楽しくないとつまらないじゃない」。これが瀬戸内寂聴の口癖でした。人生は1度きり。だから、苦しいこと・辛いことばかりじゃ生きがいがないと彼女は言います。

自分に厳しくストイックであることが美化されがちな世の中。この名言は、肩の力を抜いてくれる彼女の優しさがあります。また、「内緒の喜びの方が楽しいですよ」と、チャーミングなアドバイスも添えていました。

瀬戸内寂聴と作家井上光晴の不倫を、実の娘である井上荒野が綴った恋愛小説。映画化も決定し、いま話題となっている作品のひとつです。「愛という言葉を持ち出せば、すべてが許されるのだろうか」。そんな、複雑な思いが描かれます。

娘の立場だからこそ見えた、不倫する女性とされた女性の心理描写は圧巻。衝撃的な内容でありながら、さまざまな愛のかたちや女性の強さを思い知らされます。映画を観るまえにこちらを読むのもおすすめです。

瀬戸内寂聴の「66歳差の美人秘書」と注目を集めた瀬尾まなほ。いちばん近いところでその生き様を見つめてきた彼女は、瀬戸内寂聴から受け継いだ言葉をいくつかのエッセイにしてまとめています。

ときには母娘のように、またときには女友達のように過ごしてきたふたり。強い信頼関係で結ばれているからこその愛情深さが感じられます。これまで知らなかった瀬戸内寂聴の新たな魅力を発見できるでしょう。

瀬戸内寂聴の小説は、不倫や性をテーマにしている作品が多く、批判されることも多くありました。でも、著書に記された言葉の一つひとつに彼女のやさしさや繊細さ、あたたかさが感じられます。迷ったときは、瀬戸内寂聴の言葉に触れてみてください。

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