神林長平の小説おすすめ12選！SF作家として高い評価｜新刊も紹介【口コミあり】

神林長平は第三世代と評されるSF小説家です。旋律のようにきれいな文章と独自の世界観で「言葉」や「機械」などをテーマにした作品を多く発表して読者を楽しませくれています。SFファンから圧倒的な支持を受けている小説は短長編にかかわらずどれも人気です。

工学系SF作家とも称される神林長平の作品はシリーズものも多く、第1巻を止み始めると完結編まで読まずにはいられない読者は少なくありません。業界関係者からの評価も高く多くの賞も獲っているのも特徴です。

今回はそんな神林長平についてプロフィールや手始めに読むべき作品の選び方などについて紹介します。また神林長平のおすすめの作品だけでなく、多くのファンが好んで読んでいる他の作家の作品も見てみましょう。

神林長平は1953年に新潟県で生を受けます。国立の長岡工業高等専門学校を卒業後は、家族には大学に入るための勉強をすると言って内心ではひとりでできる作家を目指していました。ところが文章や漢字で悩んでしまいます。それでも「狐と踊れ」で1979年のハヤカワ・SFコンテストで佳作に入選して作家デビューをはたしました。

『敵は海賊・海賊版』・『グッドラック　戦闘妖精・雪風』などで何回も星雲賞を受賞しただけでなく、『言壺』ではSF大賞も獲得しています。また神林長平は日本SF作家クラブの第11代会長を務めていました。

地球以外でも異星人や異生物と共存するようになった未来では、凶悪な星間犯罪も増加していて「海賊」と呼ばれていました。それを取り締まる組織である広域宇宙警察の対宇宙海賊課は通称「海賊課」とも称されます。

シリーズは「海賊課」に所属するラテルとアプロが超法規的な権利を駆使して「海賊」たちを壊滅させようとするいくつかの物語から構成されています。

[敵は海賊シリーズ]

• 敵は海賊・海賊版 
• 敵は海賊・猫たちの饗宴 
• 敵は海賊・海賊たちの憂鬱 
• 他

人類は超空間通路から飛来する謎の異星体「ジャム」の侵攻を受けてしまう。それを撃退するために惑星フェアリィに基地を作って地球を守っていました。フェアリィ空軍は戦いでの損失でエリートを失い社会不適合者を戦闘員にするようになります。

そんなブーメラン戦隊に所属する深井零は愛機であるスーパーシルフの「雪風」と一緒に戦闘に明け暮れていました。ところが指揮官のジェイムズからは高性能な戦術戦闘電子偵察機スーパーシルフと深井零の行動に疑問を持つようになってきます。

[戦闘妖精・雪風シリーズ]

• 戦闘妖精・雪風
• 戦闘妖精・雪風〈改〉部改稿。
• グッドラック 戦闘妖精・雪風
• アンブロークンアロー 戦闘妖精・雪風
• アグレッサーズ 戦闘妖精・雪風

月と地球の間に勃発した戦争で地球が荒廃して人類の危機を迎えてしまいます。地球を再生するには250年の期間が必用だったため、人類は冷凍睡眠の状態で待機するためにテラフォーミングによって居住可能になった火星へと移住します。

シリーズでは地球から火星への旅立ちや帰還と火星での様子などが描かれていますが、公開は「帰還」が最初で「旅立ち」の順番となっていました。

[火星3部作シリーズ]

• あなたの魂に安らぎあれ
• 膚の下
• 帝王の殻

シリーズものの印象が強い神林長平ですが、長編小説も多く書き上げています。そんな中でファンからの支持を集めているのが『天国にそっくりな星』です。

地球上では太陽光が原因の奇病である日陰症によって活動出来ない人々が増加します。そんなときに発見された惑星ヴァルボスは影が出来ない不思議な惑星だったため、主人公で私立探偵の坂北天界と玲美が移住していく物語です。

[神林長平の長編小説]

• 天国にそっくりな星
• 魂の駆動体
• ぼくらは都市を愛していた
• 七胴落とし
• ラーゼフォン 時間調律師
• 他

神林長平は短編連載物も多く公開していますが、先ずは読んでみたいのが『言壺』です。設定は人工知能が搭載された万能著述支援用マシン「ワーカム」との葛藤が描かれていて、世の中が便利になると人間本来の創造性が損なわれるのを考えさせられます。

9編連作となっている『言壺』は第16回日本SF大賞を受賞しました。人工知能との知恵比べが繰り広げられる内容は身近な近未来を楽しませてくれます。

[神林長平の短編連載作品]

• 言壺
• プリズム
• 今宵、銀河を杯にして
• 完璧な涙
• ライトジーンの遺産
• 他

神林長平の作品はいくつかがアニメ化されています。主だったものは『戦闘妖精雪風』や『ラーゼフォン』や『敵は海賊〜猫たちの饗宴〜』などです。

『敵は海賊〜猫たちの饗宴〜』は、それぞれが前後編となっている『猫じゃらし作戦』・『猫かぶり前哨戦』・『猫いらず大騒動』が制作されています。ところがこの3作は監督が異なるばかりか違う制作プロダクションでアニメ化されている特徴を持っています。

ちなみに作品順の監督は「山田勝久」・「貞光紳也」・「やまざきかずお」で制作プロダクションは「マッドハウス」・「IGタツノコ」・「、渡辺プロモーション」です。

神林長平のSF小説ファンの中には、同じ第三世代の作家である大原まり子や草上仁の作品も好んで読む人が少なくありません。

大原まり子は女流SF作家が少ない中で独特の世界観をつらぬいた作品を世の中に送り出してくれています。宇宙作家クラブの会員でもある草上仁は奇想天外のストーリー展開の短編やコミカルな読みやすい長編が特徴的です。

大原まり子が日本SF大賞を受賞した『戦争を演じた神々たち』や草上仁が星雲賞を受賞した『くらげの日』なども読んでみてください。

多くの作品がある神林長平のSF小説はどれもが独特の感性にもとづいて描かれています。初めての人は馴染みやすい『火星三部作』シリーズなどを読んで、神林長平ならではの世界観を感じ取ってきれいな文章も楽しんでみてください。また下記の記事も参考にしてみてください！