【切れ味抜群】堺打刃物の包丁おすすめ9選｜堺包丁の有名ブランドは？家庭用も

堺打刃物とは刃物の三大産地の一つ大阪府堺市や大阪の中心地域で作られる刃物の総称です。「打刃物」とは職人の手により何度も叩いて作られる技法から名づけられました。しなやかさと欠けにくさを併せ持ち、切れ味に優れた包丁です。

機能性の高いこの包丁は、実は国内の約9割を超える料理人が使いっていると言われています。現在では外国にも輸出され中国、韓国、オーストラリアなど世界30カ国で支持されています。

今回は堺打刃物の良さ・使いやすさ・有名ブランドを徹底解説します。家庭用など堺打刃物のおすすめ包丁も紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。

600年の歴史があり堺の地で職人により伝承されたのが堺打刃物です。その昔、仁徳天皇陵などの古墳の土木工事のために鍬や鋤を製造する職人が集められました。その後もこの地で金属加工技術は向上し、16世紀の鉄砲伝来時には鉄砲を生産しています。

庶民の間でたばこが広がると葉を刻む包丁の製造が盛んに。石を割るほどの鋭い切れ味と江戸幕府により認められ、「堺極」の極印付きの包丁が全国へと販売されました。現在ではプロの料理人により支持を集めていて有名です。

堺打刃物と堺刃物は製造工程が大きく異なります。堺打刃物は堺の鍛治職人と研ぎ職人が分業して製造しているのに対して、堺刃物は土佐・関・福井などの地域で製造したものを堺で製造している刃物です。品質に明らかな違いがあるので、しっかり確認して購入しましょう。

包丁には金型を打ち抜いて機械で成形するものと、堺打刃物のように職人の手によって製造される「打刃物」があります。堺打刃物は材料に柔らかい鉄と鋼を使い、真っ赤になるまで炉で熱して金槌で何度も叩きます。粘り強さと耐久性があり切れ味がいいのが特徴です。

堺打刃物の良さは、食材の旨味が外に逃げずにいただける点。鋭利でスパッと鮮やかに切れるため、食材の切り口は滑らかなものに。やわらかいお刺身も細胞膜を壊さずにスムーズに切れ、食材の刃離れもいいのでイライラしません。生のお魚をそのまま味わうように、素材のよさを堪能する日本の食文化に合った包丁となっています。

堺打刃物はその高い品質を守るために、専門の職人により分業で制作される伝統的な作り方が守られています。昭和57年に経済産業大臣指定の「伝統工芸品」となりました。似た名称の「堺刃物」には他の地で加工して堺で仕上げを行ったものもあります。

堺打刃物の製造工程は3つあり、「鍛冶」「刃付け」「柄付け」です。すべての工程を一人で行うのではなく、それぞれを担当する職人が違うため、一つの技術を高められます。分業なので他産地とは一味違う高い品質を保っています。

包丁の基本となる「地」を作る作業です。鉄と鋼を接着して真っ赤になるまで熱し、ハンマーなどで叩いていきます。「荒たたき」では冷めた地金を何度も叩き切れ味を高めます。

「泥塗り・焼き入れ」では包丁に泥を塗って800℃まで熱した後に水に入れて急冷します。職人の経験と技術が必要な作業です。一度冷ました包丁を熱する「焼き戻し」により包丁に粘りがでて欠けにくくなります。

研ぎ職人により刃を研いだり研磨したりして刃を鋭利にします。「荒研ぎ」は荒く研いで刃先を薄くし、角度を決めて形を整えます。「平研ぎ」で包丁の平らな部分を研ぎます。刃先を研いで刃を付ける作業は「本研ぎ」です。

裏面を研ぐ「裏研ぎ」などを経て「ぼかし」の工程により美しい艶と波紋をだします。優れた切れ味は歪みのない形状により生まれるため、細やかな調整が必要です。

最後は刃に柄を付けていきます。柄付けを行うのも専門の職人です。油ひきをして錆止めを施し、包丁の中子と柄の内部を熱したら、柄に中子を挿し込んでいきます。柄の底を木槌で叩いていくと自然に入っていきます。重心のバランスを整えられるのが熟練職人の証です。まっすぐに挿し入れて、歪みが生じないようにします。

たくさんの工程を経て丁寧に作られる堺打刃物ですが、どれを購入するべきか悩みますよね。そこで、素材・刃の付き方・デザインの3つの観点をご紹介します。ご家庭の用途にぴったりな1本を探してくださいね。

鉄に炭素を加えた炭素鋼の刃物は、優れた切れ味が長く続きます。鉄は炭素の量が多いほど硬くなり切れ味がよくなります。しかし、使い方を誤ると欠けやすく錆びやすいのが特徴です。洗った後に包丁のふき取りが必要となります。

一方、炭素鋼にクロームを加えたステンレス鋼は、切れ味は劣るものの錆びにくく家庭用として扱いが簡単です。こまめなふき取り作業を面倒に感じる方にはステンレス鋼の包丁をおすすめします。切れ味を求めるのか、扱いやすいものがいいのかで素材を選ぶといいです。

江戸時代の元禄の頃に生まれた片刃は堺打刃物の特徴の一つです。刀と同じく刃の片側だけを研いでいます。世界ではあまり見られない独自の形で、野菜を切りやすく魚を捌きやすいのが特徴です。和食を調理しやすくプロの料理人に向いています。

両刃は刃の両側を研いでいる形状で洋包丁によく見られます。明治時代に入ってきた三徳包丁や牛刀包丁などが代表です。堺打刃物でも採用されています。真上から見ながら切る際に切りやすく、普段に家庭用で使うなら両刃がおすすめです。

刃に施された模様で選ぶのも一つです。刃の部分に墨流しの模様が入ったもの、槌目仕上げをしたもの、縦模様が入ったものなどがあります。また、刃自体を黒く仕上げた製品もあり、キッチンをスタイリッシュに彩ります。柄も白い木肌のものからダークブラウンのもの、漆で仕上げたものまで、バラエティに富んでいるのでデザインで選んでもいいですね。

堺打刃物の包丁選びに迷った際には、人気ブランドの商品から選んでみるのもおすすめです。ここでは堺包丁で有名な堺孝行と中川打刃物の特徴について解説するので、ぜひ参考にしてください。

• 堺孝行：堺打刃物を代表するブランド。100を超える国に輸出していて、プロから選ばれている商品ばかり。ラインナップも豊富なので、用途に合わせて最適な包丁が見つかります。
• 中川打刃物：白木刃物で16年間修業した中川悟志氏が2021年に設立したブランド。伝統的な技術を継承し、高品質な包丁を作っています。

堺打刃物はこまめに研ぐと、優れた切れ味が持続します。また、錆びやすい炭素が含まれているので、放置は厳禁です。買ったばかりの鋼の包丁は錆が出やすいため、定期的なメンテナンスを心がけるといいです。

普段のお手入れでは中性洗剤を使って汚れを落とし、乾いた布で水分をふき取ります。もし錆が現れてしまったら、スポンジの片面に付いている研磨剤入不織布で、すぐに落としておきます。錆びたまま放置すれば鋼が腐食し、刃こぼれの原因になるので気を付けましょう。

大阪府堺市で堺打刃物を販売するお店を3店舗ピックアップしました。

• 青木刃物製作所
• 堺刀司包丁歴史資料館
• 道具屋 和田商店

青木刃物製作所は、刃物専門店や百貨店など以外に海外にも商品を卸しているお店です。堺刀司包丁資料館では販売とともに歴史も学べ、自宅の切りにくくなった包丁も研いでくれます。道具屋和田商店にはオンラインショップが開設されています。

堺打刃物の本格的な切れ味を、包丁以外で味わえるアイテムとしておすすめなのがペーパーナイフです。伝統工芸士が和包丁と同じ製造工程で仕上げており、鍛冶師によって一本一本鉄を打ち固めて作られています。

鋭い切れ味で「邪を払い、先を切り開く」といわれ、縁起物としても知られています。出産・新築祝など、新たな門出へのプレゼントとしても重宝されます。

堺打刃物はネットでも購入が可能です。しかし、作り手の想いや製造工程を直接に見たり聞いたりすれば、より堺打刃物のよさを実感できます。用途によって最適な包丁は異なるもの。お店のスタッフの方と相談しながら選べば、ぴったりな一本を探せるメリットもあります。

堺刃物ミュージアムは「CUT」は、堺伝統産業会館の2階にあります。展示されているのは歴史・包丁の製造工程・使う道具などです。家庭用・プロ用を問わず豊富な種類の刃物を購入できる「TAKUMISHOP」もあります。職人の銘が刻まれた包丁も手にできますよ。刃物を作る様子を見学でき、包丁のお手入れについて相談も可能です。

堺刃物ミュージアム「CUT」以外にも工房で作っている様子を見学したり体験したりが可能な場所があります。

• 伊野忠刃物製作所（包丁研磨の実演、研ぎの本刃付け体験）
• 榎並刃物製作所（和包丁の製造の実演、体験あり）
• 森本刃物製作所（研ぎ工程の実演、研ぎの体験あり）

この3工房に関しては見学は無料です。ただし体験は費用が掛かり、事前の予約が必要です。より包丁への愛着が深まりますね。

堺打刃物が料理人に愛されているのは機能性に優れているからです。堺の販売店や工房を訪ねれば、その切れ味を試せます。ご自宅での料理に使えば、毎日のお料理の味わいも変わるので、検討してみましょう。

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