【口コミあり】隆慶一郎の小説おすすめ8選｜『花の慶次』『影武者徳川家康』の作者

隆慶一郎は『影武者徳川家康』『一夢庵風流記』などのヒット作で有名な時代小説の第一人者です。テレビドラマ『鬼平犯科帳』の脚本家・漫画『花の慶次 ―雲のかなたに―』の原作者としても知られています。

隆慶一郎の斬新な作風は時代小説業界で大いに話題となり、デビュー作『吉原御免状』が直木賞の候補に選ばれたほどです。ほかにも名作は数多くあり、どの作品から読めばいいか悩ましいところです。

そこで本記事では、隆慶一郎のプロフィール・小説作品の選び方・おすすめ小説8選をご紹介します。盛りだくさんの情報をまとめましたので、ぜひ最後までご覧ください。

隆慶一郎は東京都出身の小説家です。東京大学在学中に学徒出陣によって兵役を経験。終戦後に復学・卒業を果たし、大学時代に師事していた小林秀雄が籍を置く創元社に入社しました。

1957年より本名・池田一朗の名前で脚本家としてデビューし、主にテレビドラマ・映画の脚本を手がけ、1959年にはシナリオ作家協会賞を獲得しました。1984年に隆慶一郎のペンネームで初作『吉原御免状』の連載を開始、晩年までの5年間を小説家として過ごしました。

1986年発表の時代小説『吉原御免状』は隆慶一郎のデビュー作です。主人公の松永誠一郎は、二刀流の剣豪・宮本武蔵に育てられた青年剣士です。誠一郎は武蔵の遺言に従って色里・吉原に赴きます。

吉原で明かされる徳川家康の秘密、裏柳生と呼ばれる暗殺集団の存在、そして自身の出自。これらの大胆な舞台設定は、歴史考察に優れた教育者である故・村岡素一郎の影響を受けたものでした。本作は初作にして直木賞の候補に選出されています。

『一夢庵風流記』は、加賀藩の武士・前田慶次郎の風変わりな生き様を描いた時代小説です。前田慶次郎は加賀藩の祖・前田利家の家系に当たり、前田利家の兄・利久の養子でした。

慶次郎の豪放な立ち振る舞いと機知に富んだ痛快な発言は、年齢・性別・立場を超えて多くの人を魅了し「天下御免の傾奇者」の評判を獲得しました。なお、原哲夫作画の人気漫画『花の慶次―雲のかなたに―』は本作を漫画化したものです。

『かくれさと苦界行』は『吉原御免状』の続編です。吉原の惣名主となった松永誠一郎と吉原の民に、再び裏柳生の手が迫ります。本作の見どころは裏柳生を率いる幕府の重鎮・酒井忠清の野心と、裏柳生の美しい刺客・お小夜です。

中でも敵同士であるお小夜と誠一郎の複雑な愛憎劇は前作にない要素であり、隆慶一郎の作風に新たな魅力を吹き込みました。

『死ぬことと見つけたり』は1990年に発表された時代小説です。武士道の名著『葉隠』の一文を引用した題名は、本作で描かれる武士たちの生き様を表したものです。

内容は江戸・寛永時代における鍋島藩士の物語で、幕府からの藩取り潰しに対抗するべく決死の覚悟で奔走した日々を描いています。なお、本作の最後には作者・隆慶一郎が急逝したため、絶筆の一文が記されています。

作品を個別に購入するのではなく、全作品を一度に揃えたい方には『隆慶一郎全集』が適しています。古い作品は新品で入手できない場合があるため、代替品としてもぴったりです。

全集のさまざまな作品を試し読みし、気に入ったものは本格的に読み始めるといった読み方もOK。『隆慶一郎全集』は1996年刊行分・2009～2010年刊行分の2つがあり、今から購入するなら2009～2010年版がおすすめです。

漫画の中には隆慶一郎原作の作品があります。『花の慶次 ―雲のかなたに―』は、先にご紹介した『一夢庵風流記』を漫画化したもの、『影武者 徳川家康』は隆慶一郎の同名小説を漫画化した作品で、いずれも作画は『北斗の拳』で有名な原哲夫です。

ちなみに「花の慶次」こと前田慶次郎は、パチンコ台のキャラクターとしてもおなじみです。ネット広告にもしばしば登場しており、内容を知らない方でも単行本の表紙を見ればピンとくること請け合いです。

隆慶一郎の魅力の1つとして、遠景描写の巧みさを挙げる声が少なくありません。小説家が不得手とされがちな遠景を描けるため、作品の世界観・奥行きを丁寧に説明できるのです。本記事を参考に、ぜひ隆慶一郎の小説を読んでみてください。こちらもあわせてご覧ください。