【口コミあり】樋口有介の小説おすすめ8選｜人気の『柚木草平シリーズ』最新作も紹介

青春ミステリーや中年ハードボイルドを得意とする作家・樋口有介の小説は、幅広い層から愛されています。緻密なトリックはないものの、独自のセンスとユーモアのあるストーリーで読み物として面白く、本格好きからも普段ミステリーをあまり読まない方からも人気があります。

樋口有介は作家としてはかなり異色の経歴を持ち、さまざまな人生経験を経て執筆した作品は、他にはない味わいがあります。

この記事では、樋口有介の小説について解説しています。樋口有介の小説を選ぶポイントやおすすめ作品などをご紹介していますので、ぜひご覧ください。

樋口有介は、高校時代にたまたま家にあった小説を読んで小説家になる決意をします。大学に進学しますが中退し、世界各国を放浪したり劇団員や業界誌の記者など職を転々としながら執筆活動を続けるものの、なかなか芽が出ませんでした。

気の済むまで書いてダメならもう諦めようと山奥に籠り執筆していたところ、『ぼくと、ぼくらの夏』がミステリー大賞を受賞し作家デビューが決まります。しかし、純文学作家を目指していたためミステリーに疎くデビュー後必死に勉強したという異色の作家です。

フリーライターをしながら私立探偵もしている38歳の中年男性・柚木草平が主人公の『柚木草平シリーズ』は、樋口有介の代表作で、1990年からスタートし2019年に発刊された最終巻『うしろから歩いてくる微笑』が最新作です。

柚木草平の、普段は三枚目キャラなのにいざというとき頼りになるギャップが魅力の作品です。

樋口有介が山奥にこもって執筆活動をしていた頃、情報から遮断され必然的に自分と向き合う時間が多い生活を過ごす中、自分が心から書きたいのは純文学ではないと気付きます。そこで方向転換して自分が好きなジャンルで作品を書こうと取り組んだのがこの作品です。

樋口有介は情景描写に秀でた作家で、簡潔な言葉で頭の中に情景がはっきり見えてくるような巧みな筆致で、『風少女』では映画を一本見終わったかのような読後感を味わえます。

同級生の少女の死を事故死で処理する警察の判断に納得できない主人公が、少女の妹と共に事件の真相を探るミステリーで、ミステリー作品を映像化し謎解きをする推理バラエティー番組で取り上げられました。

樋口有介が1985年の日航機墜落事故の際に目にした、子どもたちが起こしたある出来事が元になっています。子どもの無知な行為というだけではなく、根底にそれを許す親や社会の問題があると伝えたくて、ある種の使命感にかられて書き上げた作品です。

予備知識として日航機墜落事件の情報を頭に入れておくと、より深くこの作品の真実に近づけます。

殺人罪で刑務所に服役した経歴を持つシングルマザーが主人公の物語です。弁護士事務所で表向きは事務員として働きながら、裏では依頼をさまざまな手段で遂行する調査員の顔を持っています。

離婚の慰謝料の調停と、ある殺人事件の調査を裏の顔で追っていくのですが、女性版のハードボイルドとしてワクワクする作品に仕上がっています。第66回日本推理作家協会賞にノミネートされた作品なので、気になる方はぜひ読んでみてください。

樋口有介は、『君に伝えたい本屋さんの思い出』『私がデビューしたころ』にエッセイを寄稿しています。『君に伝えたい本屋さんの思い出』は、ベストセラー作家60名が書店で決定的な一冊に出会ったときのドラマをエッセイにまとめたものです。

『私がデビューしたころ』は、ミステリー作家51名が作家を目指したきっかけや新人賞受賞までの紆余曲折などがエッセイにまとめられています。樋口有介という人物をより深く知りたい方におすすめです。

樋口有介は、作家として異色の経歴を持ち波乱万丈な人生を送ってきました。そんな樋口有介だからこそ書けるハードボイルド小説を、この記事を参考に選んでぜひ読んでみてください。こちらもあわせてご覧ください。