【口コミあり】田中慎弥の小説おすすめ10選 | 異色の経歴や芥川賞受賞会見が話題に？

人気小説家の田中慎弥は、感性や文章が鋭く文学に対してストイックな姿勢を見せています。数々の大きな文学賞を受賞する背景には、凡人には理解できないような田中慎弥の真面目さやこだわりが隠れています。

田中慎弥が一躍有名になったのは、芥川賞授賞式で「もらっといてやる」と言い放った頃からですが、それ以前から文学ファンの間では素晴らしい作家との認識があり、文学賞をいくつも受賞していました。

この記事では、田中慎弥について、作品の魅力・上手に作品を選ぶヒント・おすすめ作品・人気作品のあらすじなどをわかりやすくご紹介していきます。ぜひ記事を参考に田中慎弥のパワフルな文体と緻密な構成を楽しんでみてください！

田中慎弥は高校を卒業して33歳で新潮新人賞を受賞するまで、一度も働いた経験がありません。中学生の頃から亡き父親の蔵書から本を読みあさり、『源氏物語』は5回も通読しています。テレビ番組「情熱大陸」ではいまだに手書きで執筆をし携帯電話を所持していないと放送されます。

5度目のノミネートで受賞した芥川賞の会見では「もらっといてやる」と大胆な発言をし、さらに石原慎太郎に遠回しに皮肉を言ったため、世間はお祭り騒ぎにようになりました。

田中慎弥の小説の特徴は、迫力のある描写・鋭い感性からの視点・家族の血や荒々しさが挙げられます。ストーリーの濃さや痺れるようで生々しい文体には、思わず引き込まれてしまう力があります。家族をテーマにしたものも多くあります。

田中慎弥が特別視している文豪は、川端康成・谷崎潤一郎・三島由紀夫と、いずれも文章の美しさと力強さを兼ね合わせた魅力のある作家です。現代の流行にとらわれず自分の芯を持つ田中慎弥は現代の文豪であるともいえます。

田中慎弥の小説を上手に選ぶためには、キーポイントを意識するのが大切です。数ある名作の中から自分の好みの小説を選ぶには「文学賞受賞作」「ジャンル」「読み方」を重視してみてください。

田中慎弥には堂々たる受賞歴があり、名作ばかりです。デビューを決めた第37回新潮新人賞の受賞作は『冷たい水の羊』です。芥川賞候補作は『図書館準備』『切れた鎖』『神様のいない日本シリーズ』『第三記層の魚』で、受賞作は『共喰い』です。

その他、川端康成文学賞受賞の『蛹』・泉鏡花文学賞の『ひよこ太陽』もおすすめです。『切れた鎖』は三島由紀夫賞も獲得しています。

田中慎弥が書く小説の主なジャンルには、家族・野球・エッセイ・短編小説などがあります。家族にまつわる小説では、血のつながりの恐れ多さや生々しさが描かれています。短編小説は非常にウィットに富んだテーマになっています。

また、2020年に発表した『完全犯罪の恋』は、田中慎弥の初めての恋愛小説です。

田中慎弥の小説やエッセイを読むには、紙の本・電子書籍があります。紙の本は、ゆっくりじっくり読める読み方ですので、落ち着いて時間をかけて読みたい方におすすめです。一方、電子書籍は手軽に入手でき持ち歩きにも便利です。

電子書籍サービスにはAmazonや楽天KoBoなどがあるのでぜひチェックしてみてください。

ここでは、田中慎弥の人気作品のあらすじをご紹介します。人気作品はたくさんありますが、その中でも『共喰い』『神様のいない日本シリーズ』『切れた鎖』の3冊を厳選して詳細をお伝えしていきます。

『共喰い』は、芥川賞を受賞した名作です。主人公の高校生・篠垣遠馬と父親・円を中心に血のつながりの壮絶さが描かれています。遠馬は自分が、性交時にパートナーに暴力をふるう円の血筋を継いでいるのではないかと日々恐れていました。

円の愛人と3人で暮らす家も、遠馬の恋人との関係も、ギリギリながらも平穏を保っていましたが、ある日、遠馬は恋人に暴力をふるってしまいます。さらに、舞台である川辺の向こうに住んでいた女性が実の母だと気付いてしまいます。

川は作品のモチーフにもなっていますので、意識しながら読んでみてください。

『神様のいない日本シリーズ』は第140回の芥川賞候補であり、第6回の本屋大賞でも名を連ねている作品です。この小説は、父が息子に語りかけるといった変わった作風で書かれています。父は、いじめで引きこもりとなった息子に自分の少年時代について話しかけます。

父は大好きだった野球を諦め現在は就職していますが、その当時の話を息子にします。父が野球をあきらめざるを得なかった原因の父の父であり、母はそのせいで野球を毛嫌いするようになりました。

親子三代に渡るめくるめく家族模様がテーマになっています。

『切れた鎖』には、川端康成文学賞を受賞した『蛹』と『不意の償い』が収められており、3作をひとつとして三島由紀夫賞を獲得しています。この小説では女性の血筋の末恐ろしさが描かれています。

明治時代から続く名家の娘のひとり・梅代のもとに、娘の美佐子と孫の美佐代が出戻りで帰ってきますが、ほどなく美佐子は蒸発します。お屋敷の裏には、梅代の夫がたぶらかされ失踪した原因の教会が建っており、梅代と美佐代はふたりだけで忌まわしい土地に取り残されました。

ここから、名家の恐ろしい過去や梅代の記憶が混じり合いながら展開します。

田中慎弥の魅力は、小説だけでなくエッセイでも個性が出ている点にもあります。エッセイ集『これからもそうだ。』は、新聞や雑誌で掲載された田中慎弥のエッセイを集めた本です。田中慎弥がただの変わり者でないと理解できる作品になります。

内容は旅行記と日々の気付きなどで、彼の独特な日常を垣間見れる1冊なので、田中慎弥の思考が気になる方にとてもおすすめです。いろいろなエピソードには田中慎弥のこだわりの理由があるとわかります。

現代の小説家・田中慎弥について、作品の魅力や上手な選び方・おすすめ作品や人気作品のあらすじなどを詳しくご紹介しました。田中慎弥の作品をまだ読んでいない方も、ぜひ記事を参考にじっくりと現代の名作を楽しんでみてください！こちらもあわせてご覧ください。