大藪春彦のおすすめ作品10選|食事シーンが衝撃的？大藪春彦賞まで詳しく紹介

大藪春彦はハードボイルド先駆者のうちのひとりといわれる大人気作家です。ハードなアクションとタフな主人公の活躍が特徴的な作風で、シリーズものが非常に多く、大藪春彦が1996年に亡くなった後もファンが絶えません。

自らも豪快なライフスタイルで過ごしており、狩猟やスポーツカーをこよなく愛していました。小説の人物の中に大藪春彦の思考や意志がたくさん反映され、食事の豪快さにも注目が集まっています。

この記事では、大藪春彦について、その魅力と特徴・作品の選び方のヒント・おすすめ作品などをわかりやすく丁寧にご紹介していきます。ぜひ記事を参考に、大藪春彦のエンタメ性抜群のハードボイルド小説を堪能してみてください！

大藪春彦の作品には、自身の生き様や嗜好が如実に反映されています。作品の魅力のバックグラウンドである大藪春彦の考えや趣味などについて詳しくご紹介します。作品選びの参考にしてみてください。

大藪春彦は小説家であり、狩猟家でもあります。趣味が高じて職業にもなった形です。逸話として有名なのが、オーストラリアでバッファローを実に43匹も撃ち、「ハリー・ザ・キラー」との別名を持った過去があるそうです。

銃の扱いをよく知っているため、作品の銃撃戦なども詳細が描かれて迫力があります。

大藪春彦が書く小説の主人公は、アナーキズムな性格である場合が多いです。社会的権力に反し、個人の自由を尊重するタイプのキャラクターの背景には、大藪春彦の生い立ちが関わっています。彼は日本領だった時期の朝鮮で敗戦後に苦労を経験しました。

闇船で日本に帰り着くまでに経験したアンフェアさが、のちの作品に影響しています。

自身の趣味やライフスタイルがハードボイルド的ですが、性格は温厚で、とても家族想いで仕事熱心だったといいます。ただし、食生活に関しては、奥さんとふたりのすき焼きでも肉を3キロも用意するなど豪快でした。

高血圧持ちでも、ハマった食材はとことん堪能しきる気質の人間でした。

ここでは、大藪春彦の作品の特徴や魅力についてお伝えします。キーポイントになるのは「主人公の設定」「バイオレンス描写」「シリーズ化」「食事描写」の4つです。順番にご説明していきます。

大藪春彦作品の特徴のひとつであるのが、主人公のキャラクター設定です。多くの作品で主人公は非常、かつ反権力的です。専門分野にストイックで上昇志向が強い人物設定で、多くの読者を魅了しています。

主人公は男性がほとんどですが、中にはタフな女性がメインの小説もありますのでチェックしてみてください！

大藪春彦の文章は、心理描写が少なく情景描写がほとんどで、ハードボイルド小説そのものです。その気持ちよく乾いた文体の中で、銃・車に関してだけは濃厚で細密な書き込みをするスタイルです。男性的な性描写もあります。

全体的に、情を感じさせる文体ではありませんが、読者の頭に特定の情景を思い浮かべさせる力があります。

デビュー作でロングセラーにもなった『野獣死すべし』から亡くなるまでに、10ものシリーズ小説を書き上げています。大藪春彦のシリーズ小説は病みつきになる面白さで、繰り返し映像化されるなど、不滅の人気を誇っています。

暴力性とエンタメ性のバランスが秀逸なのも人気の理由のひとつです。

大藪春彦作品で話題を呼ぶのは、なんといっても食事の描写です。大藪春彦はハマった食材を狩猟を含めて突き詰めて味わう人柄なため、作品に登場する食事もかなり豪快です。ステーキを焼く場面は何度となく出てくる名場面です。

同様に、バターの塊やチーズ・ビール・ワインなども大胆に嗜む姿が描写されます。

ここでは、大藪春彦の作品の選び方のヒントをお伝えします。選びやすいヒントとして「シリーズ化」「長さ」「映像化」の3点があります。初心者でも楽しみやすい選び方を解説します。

大藪春彦の代表作品ともいわれるのが、各シリーズ化作品です。その中でも人気が高いシリーズについて詳細をご紹介します。どれも根強いファンがついており、長きにわたって愛されています。

デビュー作でもある『野獣死すべし』の主人公・伊達邦彦シリーズは有名です。復讐を行動原理として個人犯罪も厭わない主人公のストーリーは、第5作目からは国家的なエージェントを敵にするストーリーへと移行します。

1951年に最初の映像化がされ、1980年にも松田優作主演で再度映像化されています。

ハイウェイ・エアウェイ・ハンターシリーズでは、西条秀夫という名の警視庁直属の秘密捜査官が主人公です。暴力団組織の悪行を阻止・地下組織の武器強奪・中国マフィア・イスラエルの秘密組織・ソ連の最高機密集団との命を懸けた奮闘が見ものです。

国内にとどまらず、海外の組織へ挑戦するスケールの大きなストーリーです。

『汚れた英雄』シリーズは、孤高のバイクレーサー・北野晶夫がマシンの最速のこだわりを見せるストーリーです。このシリーズは「野望編」「雌伏編」「黄金編」「完結編」の4部作になっており、実在のレーサーも登場します。

映像化では作品の一部しか描けなかったものの、スタントの実際の走りが迫力満点です。

『女豹』シリーズは、レアな女性主人公の物語です。女性殺し屋であるエミ―は、レズビアンでサディストですが、女性としての魅力が溢れるキャラクターです。女の武器をも手段として使う非情さは、大藪春彦作品のカラーを維持しています。

ただ、エミーの目的は富や名声ではなく、自身の快楽である点がそれまでとは違います。

その他のシリーズには主人公がサラリーマンの『蘇る金狼』シリーズや、F1を舞台にした『アスファルトの虎』シリーズなどがあります。『アスファルトの虎』シリーズは、大藪春彦の最長作品であり、ハードボイルド素材が詰め込まれています。

その他には『掟』シリーズ・『処刑』シリーズ・『ウェポン・ハンター』シリーズがあります。

大藪春彦のシリーズ作品はすべて読破しようとすれば冊数がありとても時間がかかりますが、1冊で販売されている単独の小説も多々あります。長編も短編もあるので、お好みの長さの小説を選べます。

長編小説は、独自の派手なアクションシーンの他、人間関係の面白さなども十分に味わえるのでおすすめです。大藪春彦の小説はスケールが大きいのも特徴のひとつで、長編を1冊読み終えれば自分の世界が広がったかのような感動を楽しめます。

代表作には『野獣都市』や『裁くのは俺だ』などがあります。

大藪春彦の短編小説は、短いながらもスリルを楽しめるのが特徴です。使う言葉選びに刺激性があるため、短編は心に刺さるようなパワーを持っています。短編集では、お好みの時間に合わせて作品を読み進められます。

おすすめの短編集は『殺し屋たちの烙印』『日本ハードボイルド全集』です。

大藪春彦の小説は、数多くの映画の原作となっています。また『弔いは誰のために』『復讐の弾道』は漫画の原作になっています。映像化の特徴は、年数が経ってからさらに新しい作品が撮られる点で、大藪春彦の小説がいかに映像化に向いているかが伺えます。

小説を読むより先に映画や漫画で読むのも作品に接するいい機会になります。

大藪春彦賞は、1999年を初回として、2022年で第24回となるハードボイルド小説・冒険小説の文学賞です。徳間書店が後援しており、賞金は300万円と他の文学賞と比べても高額です。大沢在昌や馳星周などが選考委員を務めています。

2017年からは大藪春彦新人賞が設置され、新人作家の登竜門ともなっています。

大藪春彦は三島由紀夫・太宰治の愛読者だったそうで、密かに熱心な大藪春彦ファンだった三島由紀夫とは、1968年に対談を果たした際に大いに盛り上がりました。ただ、三島の対談中に大藪春彦がしきりに太宰治の作品の良さを語っていたため、三島は思わず表情を曇らせます。

三島は太宰とは仲が悪かったのが原因で、いまでは貴重なエピソードとなっています。

大藪春彦の人柄や作品に関する情報を、詳しくご紹介しました。大藪春彦のライフスタイルは、作品同様、ワイルドで豪快でした。ぜひとも記事を参考に、スケールの大きな世界観とハードボイルドな作風を楽しんでみてください。

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