太宰治賞作品おすすめ15選｜2025年受賞作紹介！受賞作品の傾向も解説

純文学が好きだけど多すぎてどれを選べばいいか分からないと思っている方におすすめなのが、太宰治賞受賞作品です。太宰治賞は、公募型の純文学の新人賞。芥川賞や直木賞ほど知名度はないので、どんな作品が選ばれているのかわからない方も多いはずです。

知名度は高くなくても、太宰治賞は読書家からは注目されている賞です。しっかりした選考基準によって選ばれた独自性のある作品ばかりなので、心を動かされるに違いありません。

この記事では、おすすめの太宰治賞作品を紹介します。あらすじを読んでみて、気になった作品はぜひ、手に取ってみてくださいね。

太宰治賞とは、1964年に筑摩書房が創設した、小説の新人賞です。一時中断していたものの、三鷹市との共同開催で復活しました。

一次選考、二次選考、最終選考と進み、候補に残った作品は決定次第、筑摩書房ホームページに掲載されます。第39回の太宰治賞は2022年12月10日まで応募可能で、2023年5月に発表予定です。

太宰治賞の応募作品は未発表の小説に限ります。ただし、同人雑誌など、応募締め切りの年中に商業目的ではない形で発表されたものは選考の対象になります。

枚数は400字詰め原稿用紙50から300枚と幅広く、一人当たりの可能な応募数は2篇までです。ジャンルは不問、参加資格、参加費はありません。

太宰治賞に選ばれる作品の傾向としては、ストーリーの面白さより人間の心情を深く描いた、完成度の高い作品が多い点が挙げられます。日常を違う視点から描くなど、既存にとらわれないオリジナリティも受賞のポイントです。

幅広い年齢の作者が求められていて、太宰治賞から排出された作家の中には著名な人も多くいます。

2022年の太宰治賞は、野々井透さんの『棕櫚を燃やす』。1478編の中から選ばれ、記念品と副賞の100万円が贈呈されました。

姉と妹、父親の家族3人で暮らしていたが、父親が病に侵され余命1年と宣告。どうしても変わっていってしまう日常や家族の関係を繊細に描いた作品です。

おすすめの太宰治賞作品を、あらすじとともに紹介していきます。どの作品も登場人物が特徴的で心に刺さるものばかりですよ。

2018年に太宰治賞を受賞した錦見映理子の作品です。

ピンクの洋服に身を包み、誰に何といわれようと自由に生きる家庭科の先生。友人からの恋心に戸惑う主人公の少女。さまざまな視点から描かれ、人間関係に戸惑いながらも堂々と生きる少女たちに勇気をもらえます。

2010年に太宰治賞を受賞した、今村夏子の作品。

主人公は、純粋で思ったことをすぐに口に出してしまうあみ子という少女。父と継母、兄との暮らしの中で、そのまっすぐな性格ゆえに家庭や友情が崩壊していきます。そんな中でもお構いなしにたくましく生きるあみ子とまわりの人々の感情を描いています。

2013年に太宰治賞を受賞した、岩城けいの作品。

アフリカから難民としてやってきた女性が、夫の転勤で移住した日本人女性などさまざまなクラスメイトたちと出会い、支えあいながら成長していく物語。言語や人種の違い、境遇を言い訳にせず、たくましく生きていく登場人物の姿に心を打たれるストーリーです。

1973年に太宰治賞受賞を受賞した、宮尾登美子の作品。

家庭を顧みない夫、病気を持つ長男、奔放な次男に振り回されながら必死に生きていく主人公。他の女性と夫との間に生まれた赤ん坊を引き取り、愛情を注ぐうちにかけがえのない存在となっていくという、悲しさや憎悪のなかにも希望を描いた、女性の半生を描き切ったストーリーです。

2005年に太宰治賞を受賞した、津村記久子の作品。受賞時の『マンイーター』を改題して小説化されました。

社会の実情を知り、児童福祉担当の公務員になると決めた主人公。自分自身も弱い存在なんだと認識しながら、困っている人がいればすぐに助けに行きます。懸命に生きていく主人公に勇気をもらえます。

太宰治賞受賞作品の中には映像化されたものもいくつかあります。

第21回太宰治賞受賞の『君は永遠にそいつらより若い』は2021年に映画化されています。佐久間由衣と奈緒、二人の若手俳優が、何気ない日常の中で社会の闇と対峙する大学生を演じています。

第26回太宰治賞の受賞作『こちらあみ子』は2022年7月に映画化。主役に抜擢されたのは、オーディションで選ばれ、演技派未経験の大沢一菜。純粋で奔放ゆえに周囲の人と衝突するあみ子という一癖ある役を生き生きと演じています。

このように、太宰治受賞作品は、個性的な主人公の視点から、生き方そのものを考えさせられるものが多くあります。既存にはないようなストーリー性も持っているので、ありきたりな小説には飽きてしまったというかたは、ぜひ太宰治賞作品を読んでみてください。

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