辻仁成さんの小説のおすすめ10選|作風や人気の恋愛小説まで詳しく解説

マルチな才能を発揮する小説家、辻仁成さんをご存知でしょうか。元バンドマンで、現在は小説家以外にも映画監督や演出家としても活躍するシングルファーザーでパリを拠点に活動されています。

辻仁成さんが綴る言葉の数々は、繊細だけど力強い、不思議な力を持ち合わせており、心に深く染み渡ります。手掛ける小説は甘く儚い恋愛小説から、社会問題に切り込む人間ドラマまで幅広く、多くの人から支持を集めています。

辻仁成さんの小説を読んでみたいけど、何から読んだらいいかわからない、そんな方のために、辻仁成さんの小説の選び方をご紹介！ジャンルごとのおすすめや、映像化された作品などもご紹介していきますので、選ぶ参考にしてみてください。

辻仁成さんは1959年に東京で生まれました。1985年にロックバンドECHOESのボーカルとしてデビューし、4年後の1989年には作家としてもデビューしました。音楽と執筆の両方のジャンルで活躍します。その後も映画監督やYouTuberなど、活動は多方面にわたり、数々の才能を開花しました。3度の結婚をしており、女優の南果歩さん、中山美穂さんと結婚歴があります。現在は独身でパリを拠点に生活しています。

南果歩さんとの離婚が、辻さんの浮気が原因であると世間で話題になったこともあり、プレイボーイで自由人、といったイメージを持っている方も多いかもしれません。また、辻さんの作風から、ロマンチストな印象も伺えます。

現在の辻仁成さんは、パリで息子さんと2人暮らしをしており、お弁当まで作っている姿や、子育てに関する考え方を公開し、イクメンぶりが支持されています。趣味の料理はプロ並みの腕前で、フランスの食材を使ったおしゃれな料理も披露しています。

辻仁成さんといったら恋愛小説を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。ロマンチックで、胸がしめつけられるほど切ないラブストーリー、といったら辻仁成さんの右に出るものはいないでしょう。繊細で美しい、心情の描写や甘い言葉の数々は、男性が書いているとは思えないほどです。ですが、反対に男気あふれる、情熱的な作風もまた、辻さんの魅力でもあります。言葉を巧みに操り、読み手の心をゆさぶります。

辻仁成さんは、多くの作品を世に送り出しており、ジャンルもさまざまです。どれを読んだらいいか分からない、という方のために、おすすめの選び方をご紹介していきます。

辻仁成さんはデビュー作の「ピアニシモ」ですばる文学賞を受賞されています。いじめを受ける、中学生の男の子が大人になる過程を描いたストーリーです。重く悲観的なテーマですが、読み勧進めていくといい意味で裏切られるような、いろいろ考えさせられる作品です。青春とはなんなのか、辻さんらしい言葉で表現されています。

第116回芥川賞受賞作品「海峡の光」。芥川賞にふさわしい純文学です。物語の舞台は少年刑務所。ここで巻き起こる、男たちのドラマを描いています。登場人物の感情の描写がリアルで、主人公はもちろん、周りの人物の感情にも心を動かされます。読み進めるごとにどんどんひきこまれていく作品です。

フランスのフェミナ賞外国文学賞を日本で初めて受賞した作品が「白仏」です。辻仁成さんの祖父をモデルにしており、彼の厳しい時代を懸命に生きる姿がとても心に響きます。生きるとは何か、本当の死とはどういうことなのか、白仏とは・・・？人間の永遠のテーマである生と死について深く考えさせられる作品です。

辻仁成さんのやさしく流れるような文体と、ロマンチックなフレーズは、甘く切ない恋愛物語にぴったりです。主人公の気持ちがわかりすぎて、読んでいて胸が苦しくなることも。現実ではありえない、と思うような運命も、辻さんの言葉によってリアルに描かれます。大人の恋愛を楽しみたい方におすすめです。

辻仁成さんの小説は、社会問題や人間関係をテーマにしたものも多くあります。人間の心の深い部分が色濃く描かれており、深く考えさせられます。暗く、ちょっと重い内容も、どこかあたたかみが感じられるのが辻さんならではです。また、軽いタッチでさらっと書かれているため、読みやすい作品が多いのも特徴です。

辻仁成さんが得意とする作風に「コラボ小説」があります。違う目線から書き上げた２つのストーリー。両方読むことでわかることや、シンクロする部分があり、なんとも言えない魅力があります。江國香織さんとの作品「冷静と情熱のあいだ」は大反響を呼びました。その他、10年後に2度目のタッグを組んだ「右岸」、韓国作家孔枝泳さんとの作品「愛のあとにくるもの」があります。

辻仁成さんの作品は、2001年に「冷静と情熱のあいだ」2010年に「サヨナライツカ」が映画化され、どちらも話題を呼びました。また、菅野美穂さんが主演をつとめた「愛をください」は、脚本・監督を兼務し、さらに主人公がドラマ内で歌う楽曲の作詞作曲も担当。辻仁成さんならではのマルチな才能を生かした作品となりました。

辻仁成さんの作品は、エッセイもおすすめです。息子さんとのパリでの生活を綴った「パリの空の下で、息子とぼくの3000日」や「父ちゃんの料理」は小説家としての姿とは違う、父親としての辻さんを見ることができます。異国の地でシングルファーザーとして生活するのは大変な苦労もあったと思いますが、辻さんならではの考え方や独自の切り口で、日常をコミカルに表現されています。

辻仁成さんの、甘く繊細な言葉は心に深く染み渡ります。ちょっぴりセンチメンタルな気分の時や、人のあたたかさ・強さに触れたい時に、手にとってみることをおすすめします。出会えて良かったと、きっとそう思えるはずです。じっくりと「辻ワールド」に浸ってみてください。こちらもあわせてご覧ください。