中小企業診断士テキストのおすすめ21選｜独学に参考書・問題集など【過去問付きも】

中小企業診断士は、サラリーマンが取りたい資格のNo.1だといわれています。その一方で、中小企業診断士は取るのがむずかしい難関資格のひとつとして知られています。資格予備校へ通うか、せめて通信教育を受けるかしないと試験に合格しないといわれています。

それではコスト面で大変です。中小企業診断士は本当に独学だけでは無理かというと、決して不可能ではありません。しかし、たゆまぬ努力といい教材・参考書で勉強し、過去問の演習を重ねることが合格するためには必要不可欠です。

ここでは中小企業診断士テキストの選び方やおすすめの本を1次試験用・2次試験用に分けてご紹介します。評判とわかりやすさ・掲載内容が新しいかどうかを中心に選びました。どのような本がいいか、選択を迷われてる方は参考にしてください。

中小企業診断士とは「中小企業を支援するため経営診断又は助言を行う」唯一のコンサルタントの国家資格です。資格を取得するためには、年に1回8月に開催される1次試験（マークシート）と、1次試験合格者に課される2次試験(筆記試験と口述試験）に合格しなければなりません。

口述試験は合格率99％といわれていますが、1次試験と2次の筆記試験はかなりの難関です。2次試験に合格後は、3年以内に15日以上の実務補習を受けるか15日以上定められた実務に従事すると、中小企業診断士として登録されます。詳しい内容は下記のサイトをご覧ください。

中小企業診断協会の公式HPによると、令和3年度の中小企業診断士試験ではストレート合格する確率が約6.5%でした。近年の合格率は4～6％ととても低く、一般的には独学での合格は難しいとされています。

独学が難しいと言われる理由は、試験範囲が広く、合格には1,000時間程度の勉強時間が必要とされている点が主に挙げられます。

中小企業診断士の独学が難しいとされる主な理由

• 合格率が低い（約4～6%）
• 2次の記述式試験は特に難易度が高い
• 試験範囲が広い
• 試験範囲の網羅には1,000時間の勉強時間が必要で、時間の確保が難しい
• 1次試験の科目合格制度には有効期間があり、スケジュール管理が難しい
• 法改正に対応した最新情報が必要

メインテキストは慎重に選びましょう。受験生の中には1種類のテキストを少し試して、また別のテキストを少し試す…を繰り返す方もいます。相性を試すために必要な行為だといえばそれまでですが、それをいつまでも繰り返すのは、時間とお金のムダです。

メインテキストはTACの「スピードテキスト」シリーズが独学の定番といわれています。しかし、もちろん他のシリーズの方が使いやすいと感じるのなら、そちらで構いません。どんなメインテキストであっても徹底的に使い込めば結果は同じです。

万が一内容に不満足な部分があったとしたら、サブテキストで補います。大切なのは「メインテキストのセットを決めたらその1種類を最後まで使う」点です。

中小企業診断士の経済学・経済政策は、簡単な数式さえ理解できれば解ける問題が中心です。詳しい専門書を最初から最後まで読み通す必要はありません。まずメインテキストを読み通して、演習問題を解いてみましょう。どうしても理解できない部分が出てきたら、入門書をサブテキストにして再度確認します。

財務・会計は計算問題が多いです。そのため、計算が苦手な人、数字アレルギーの人にはこの科目は苦痛以外の何物でもありません。そして財務・会計を得意科目にするには、とにかく計算問題を解くよりほかに手段はありません。

まず、メインテキストの演習問題を解いた後は過去問題に挑戦してみましょう。それでも相変わらず苦手なままだったら、計算問題がたくさん載っているサブテキストで問題をどんどん解いてみます。「習うより慣れろ」です。この問題に限り、理解は後からついてきます。

運営管理の科目は、大きく分けて店舗管理と生産管理に分かれます。この2つを比べると、店舗管理より工場の生産管理を苦手とする受験生の方が圧倒的に多いです。お店は身近なところに存在しているのに対して生産現場に入った人はそれほど多くないからだと思われます。

そこで、運営管理の科目の場合、サブテキストとして工場現場の生産管理を扱ったわかりやすい入門書を追加してみるのをおすすめします。

企業経営論は、中小企業診断士の核となる科目です。受験生の中にも、この科目への興味がきっかけになって、中小企業診断士の資格に挑戦する決心をした方もいるかもしれません。

この科目に関してわかりづらいと感じる受験生はそれほど多くないと思われます。したがって、メインテキストで勉強をした後は、応用力をつけるために過去問題を多く解いてみるのをおすすめします。

経営法務の範囲は広いです。しかし特によく出題されるのは、会社法と知的財産権の部分です。中でも、会社法を苦手とする受験生の方が多い傾向にあるので、個人差はあるものの、会社法に関してはわかりやすいサブテキストを用意しての勉強をすすめます。

もちろん、知的財産権をはじめとする経営法務のほかの部分も、メインテキストを使ってしっかりと勉強するのを忘れないようにしましょう。

経営情報システムが必要とする技術レベルは、ITパスポート試験が要求するレベルよりやや高いくらいです。ITパスポート試験は情報処理技術者試験の入門レベルの試験です。その他はプロジェクト・マネージメント等、企業経営論で扱う問題の応用です。

メインテキストの経営情報システムの箇所では、ページ数の関係でIT用語の説明を割愛する傾向があります。そのため経営情報システムが苦手で、メインテキストがよくわからない場合には、ITパスポート試験の参考書をサブテキストとして活用するといいのです。

中小企業経営・政策の勉強に、おすすめのテキストはありません。なぜならこの科目の問題は、その年の最新の中小企業白書や小規模企業白書などをもとに作成するので、最新情報が掲載されたテキストがないからです。

それならこれらの白書を購入して、あるいはインターネットで読めばいいと思うかもしれませんが、読むべき白書の量が膨大のため、かなりの時間の無駄が発生してしまいます。

唯一効果的なのは、年が明けてから開催される模擬試験をたくさん受験して、中小企業経営・政策の予想問題を多く解くことです。また特に中小企業政策の場合、過去問題の焼き直しの場合も多いので、過去問題を繰り返し解いてみるのもいい考えです。

中小企業診断士2次試験の解答は、試験本部から発表されません。したがって、たとえ大手予備校が模範解答を発表したとしても、それが的を射たものになってるかどうかの保証はありません。そこで一番確実なのは、当日の答案とそれが合格しているか不合格だったかの確認、また内容の分析です。

同友館の「ふぞろいな合格答案」シリーズは、それを毎年実践し続けているので、2次試験を受ける方は、まずそれを手に入れて読むべきです。「ふぞろいな合格答案」と過去問題集にしっかり取り組むのが、中小企業診断士の2次試験に合格するための、最も正統的な方法だといえます。

「予算の都合で中古のテキストを手に入れて、中小企業診断士の勉強を…」と考えている方がいたら、その計画は中止をおすすめします。なぜなら、中小企業診断士のテキストには、新しい年の試験に対応するため、毎年内容が更新されているからです。

特に中小企業白書をはじめとするその年の白書類から出題される「中小企業政策」、毎年法律の変更に対応しなければならない「経営法務」は、去年の正答が今年の誤りになる可能性すらあるので、必ず最新のテキストを使うようにしましょう。

技術の進歩が著しい「経営情報システム」に関しても同じです。1年で最新の技術動向や用語ががらりと変わってしまう可能性があります。その他の科目に関しては、やむを得ない場合、1〜2年前のものなら中古のテキストを使っても大丈夫かもしれません。

一口に中小企業診断士のテキストといってもさまざまな出版社から数多くのテキストが出版されています。ここでは2つのおすすめ出版社と具体的なテキストについて紹介しますので参考にしてください。

ひとつめのおすすめ出版社はTAC出版です。こちらはさまざまな資格試験のテキストを出版しており、特に独学者向けにわかりやすさが重視されている「みんなが欲しかった」シリーズは人気があります。

もちろん「みんなが欲しかった中小企業診断士2023」のテキストも出版されていますのでぜひチェックしてみてください。また、「中小企業診断士 2023年度版 最速合格のためのスピードテキスト」のように分野別のテキストもありますので弱点克服をしたい場合におすすめです。

同友館は中小企業診断士の過去問を科目別に出版しています。膨大な学習範囲・学習内容を誇る中小企業診断士試験のすべてを完璧に学習していくのは多くの人にとっては難易度が高く、時間もかかってしまうので難しいです。

同友館の問題集であれば10年分の過去問が論点別・重要度順に掲載されているので、効率よく頻出問題の演習が可能です。合格をするためにはテキストでのインプットと過去問でのアウトプットを両軸で駆動させる必要があります。

中小企業診断士の1次試験のテキストすべてを毎年買い直しする必要はありません。基本的に1年、2年程度で学習内容が大きく変わることはないからです。ただし「中小企業経営」「中小企業政策」は最新の中小企業白書や頻繁に行われる法改正から出題されるので買い替えがおすすめです。

2次試験のテキストに関しては毎年買い直しをしましょう。1次試験と違い1年で出題内容が大きく変わる可能性がありますので、最新版のものを手にしておくのをおすすめします。

中小企業診断士の独学での習得はかなり難しいですが、独学での合格を目指す方は勉強方法が重要になります。合格には約1,000時間の勉強が必要とされ、1年間毎日取り組むとしても1日約3時間の勉強時間を確保しなければなりません。

時間短縮には、勉強を進める順番も大切です。時間が経つと忘れてしまう暗記科目は後にして、理解力が求められる科目から取り組むのがおすすめです。一般的には、以下の順番での勉強が推奨されています。

1. 企業経営理論
2. 財務・会計
3. 運営管理
4. 経済学・経済政策
5. 経営情報システム
6. 経営法務
7. 中小企業経営・中小企業政策

中小企業診断士の勉強を独学で進めるのが難しい方は、通信講座も検討してみましょう。独学と違い、モチベーションも保ちやすくなります。通信講座を受講する主なメリットには、

• PC・スマホなどで時間・場所を気にせず勉強できる
• 効率的なカリキュラムが組まれている
• テキストが充実している
• いつでも質問できるサポート体制がある
• 通学が必要なく、仕事・家庭と両立できる

などがあります。通信講座の選び方としては、

• 合格実績
• 教材が自分に合っているか
• サポート体制が整っているか

といった点を重視すると安心です。

テキストを使っての勉強だけでなくネット上にある無料問題も活用すれば、合格への可能性はさらに高まります。オンラインで過去問を解けるサイトやPDFデータで過去問がダウンロードできるサイトなどがありますので活用しましょう。

中小企業診断士の資格を無事取得した後も、勉強をそれで止めて満足するわけにはいけません。たとえば新しい資格を取得してみてるのもおすすめです。新しい資格を付け加えると、中小企業診断士としてよりワイドにダイナミックに活躍ができます。

以下に、おすすめの資格取得用テキストを紹介したリンクを示しています。興味のある方はぜひご覧ください。

中小企業診断士は難関資格として有名ですが、独学でも決して取得は無理ではありません。いいテキストを選んでそれを徹底的に使い込めば、資格取得に確実に近づきます。自分の実力に見合った、相性のいいテキストを選んでがんばりましょう。