【独学・初心者向け】司法書士試験の参考書・テキストおすすめ15選

「司法書士」は、相続や不動産の登記申請などを行う国家資格であり、日常生活におけるさまざまな問題を扱うため「くらしの法律家」とも呼ばれています。しかし、出題科目・範囲が広いうえ、試験合格者も一握りであるため、文系の国家資格のなかでは最も難しいといわれています。

そんな司法書士の勉強・試験対策に大活躍してくれるのが「参考書」です。司法書士試験で問われる民法・刑法・商業法などといった、法律に関する幅広い知識・試験用問題が掲載されているため、自分の学習スタイルに合わせて効率良く独学が可能です。

そこで今回は、司法書士の参考書・テキストの選び方を詳しく解説します。さらに、おすすめ商品を初心者向けなどレベル別で紹介します。試験の概要や合格ライン・おすすめの勉強方法なども解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。

そもそも司法書士とはどのような職業なのでしょうか？ここでは資格を取得したら何ができるようになるのか、紹介していきます。

基本的には、法律知識を活用した書類の作成・提出の代行を行う仕事です。仕事や生活をしていくうえで発生する法律的な問題に対して、相談に乗ったり解決したりする役割を担っています。

• 不動産登記・商業登記の申請書類の代行
• 裁判所へ提出する書類の作成
• 簡易裁判所における訴訟や調停などの代理（法務大臣から認定を受ける必要がある）

これから司法書士試験の勉強を始める初心者の場合は、「入門テキスト」で基礎固めをするのがおすすめです。実際の試験では複雑で専門的な法律がたくさん登場するため、法学の勉強が未経験の方にとっては、理解が難しい場合があります。

「入門テキスト」では複雑な法律がかみ砕いて解説されているうえ、イラストや表などで図解されているものも多いため、一般的な法律の参考書に比べると、比較的初心者にも取り組みやすい点が魅力です。

司法書士試験の基礎学習が終わった中級者であれば、それまで学習した知識をさらに定着させるためにも「基本問題」が掲載されているテキストがおすすめです。

基本問題が載っている本のなかには、問題の基礎となった法律・知識が解説やコラムとして掲載されているものが多いため、間違えた部分の復習にはもちろん、苦手分野の発見にも活用できます。

応用問題に挑戦する上級者や、試験への再挑戦を考えている方は「本試験対策ができる本」を使うのがおすすめです。

主に過去問や模擬試験用テキストなど、本試験と同様のスタイルで学習できる本を使えば、これまでの学習内容のおさらいや試験対策ができます。さらに、試験時の時間配分をどうするか・苦手分野は何かなどといった、今後の学習方針や作戦を立てるときにも役立ちます。

これから勉強を始める初心者の場合は、「単元別テキスト」を活用してみましょう。「単元別」とあるように、実際の司法書士試験で出題される各科目の内容・項目が丁寧に解説されている傾向にあります。

テキストによっては、頻出度別にまとめられているものも存在しています。そのため、今後他の問題集・過去問に取り組む前のウォーミングアップ・基礎固めにもぴったりです。

判例を使った問題の攻略をしたい場合には「判例集」がおすすめです。実際の試験において判例は、最高裁判所で決定した判決・争点を中心に出題されます。

判例集には実際の判例で採用された関連条文が掲載されています。学習時には判例集に掲載されている条文・関連する法律をしっかり読み込み、暗記しておくのが大切です。

択一問題を対策したい方には「選択式問題集」がおすすめです。司法書士の筆記試験において、午前の部・午後の部の両方で出題されるほど、出題数の多いスタイルといえます。

問題集にはマーク式のものが多く、テキストさえあれば何度も繰り返して挑戦できるため、各単元の基礎的な学習を終わらせたときのおさらい・総仕上げにもぴったりです。問題集で間違った箇所があれば、単元別テキストや判例集を見返してください。

多くの受験者が苦手意識を持つ記述式問題の対策には、「記述式問題集」がおすすめです。各分野・単元に合わせて作成された記述問題が掲載されているため、各単元の学習内容が定着したかどうかを確認する時にもぴったりです。

記述問題自体は、筆記試験の午後の部でのみ出題されており、出題数も2問程度と少ないですが、280満点中70点を占めるほど配点が高めに設定されています。そのため、合格ライン到達のためには専用の問題集でしっかり対策してください。

ある程度学習を進められたら「過去問」に挑戦してみましょう。過去問には、これまでの試験で実際に出題された問題が収録されており、特定の分野に限らず、幅広く出題されるため、模擬試験のような感覚で学習の総仕上げができます。

また、過去問の中には各問題の解説に加え、その年度に行われた本試験の受験者数・合格ラインなどの詳細なデータが掲載されている本も存在しています。そのため、「どれだけ知識が身に付いたかを確認したい」といった方にぴったりです。

「民法」は主に経済・財産などをはじめとした、私人間の法律関係について記載した基本法であり、数ある法律のなかでも日常生活に密接しているルールです。

そのため、司法書士試験においては、午前の部の択一式問題全35問のうち、約20問の高い割合を民法が占めており、本試験では最高の得点源となる科目といえます。

出題スタイルは主に条文・判例の2タイプであり、条文と実際の事例が関連しているため、しっかり対策をすればミスを防ぐのも可能です。同じ民法の問題でも特に物権・担保物権の分野は、司法書士の業務の1つでもある不動産登記と関連性が高く、出題数も多い傾向にあります。

「不動産登記法」とは、不動産に関するさまざまな権利を確認できる書類で、不動産の売買や相続で必要となる「不動産登記」のルールをまとめた法律です。1つひとつの内容が専門的なため、申請手続きの流れ・やり方をイメージしにくい初心者には知識が身に付きにくい科目といえます。

また、実際の試験では択一式問題・記述式問題の両方で出題され、筆記試験の午後の部において、択一式問題では16問、記述式が1問出題されるのが特徴です。

学習時には、できるだけ記述式問題から勉強を進めましょう。試験に再挑戦する方であれば、択一式問題から始めても問題ありませんが、初心者の場合は知識が断片的に定着してしまい、アウトプットが難しくなる場合があります。

「商業登記法」とは、商法・会社法の規定において登記すべき事項・手続きについて書かれた法律です。主に、株式会社などを設立する際に守らないといけないルールが掲載されています。

不動産登記法と同様、筆記試験の午後の部において、択一式問題・記述式問題の両方で出題されるうえ、出題数が約9問と多いため、司法書士試験では主要科目の1つに数えられています。

出題スタイルについても不動産登記法と似ていますが、初心者でも比較的対策が立てやすい科目です。条文をベースに、先例が数多く出題されるため、基盤となる条文をくり返し学習し、暗記しておくのが対策のコツです。

「有斐閣」は明治10年創業の出版社であり、主に法学・経済学・人文社会学を中心としたテキストを展開している点が特徴です。「ポケット六法」や、判例付きテキストなどといった、初心者～中級者にぴったりな、法律関連の参考書は司法書士試験対策でも活用できます。

「弘文堂」は、法科大学院・法学部を設置している大学などでも愛用者が多い、法律関連テキストを数多く展開している出版社です。特に筆記試験の午後の部にて出題される、民事訴訟法・刑事訴訟法などについては、専門の本や判例集なども展開されている点が特徴です。

判例については、筆記試験全体で出題される各法律の総仕上げとしても使えるため、これまである程度法律の勉強を進めてきた受験者にもおすすめします。

「LEC東京リーガルマインド」は、さまざまな国家・民間資格取得を目指す方をターゲットとした、資格・検定用テキストを数多く展開している資格取得支援予備校です。

司法書士試験においては、試験対策講座・模擬試験も開催されており、『合格ゾーンテキスト』シリーズをはじめとした、過去問が数多く展開されています。各テキストには、過去の試験データや合格率などの情報も収録されているため、より本格的な試験対策をしたい方にぴったりです。

本試験で扱う法律・条文は常に、法律の改正に合わせて変化します。同じ民法や商法などの法律を扱っている参考書であっても、テキスト内に掲載されている法律・条文が古いと、試験問題・解答の内容と勉強した内容に違いが出てしまい、ミスを誘発させてしまう場合もあります。

そのため、法律関連のテキストを購入する場合には、試験を受ける年度までの法律・条文の改正点がしっかり収録されている本から選んでください。

司法書士試験は法務省が運営する国家資格試験であり、年齢・学歴・経歴に関係なく、誰でも受験が可能です。また、一度不合格になっても、何度も挑戦が可能になっているため、しっかり対策をしてから挑戦できます。

実際の試験内容は大きく分けて、毎月7月の第1日曜日（または第2日曜日）に実施される「筆記試験」と、筆記試験合格者のみがその年の10月に受けられる「口述試験」の2つで構成されています。筆記試験は、午前・午後の2部制になっているため、頭の切り替えが大切です。

文系の国家資格のなかでも難易度が特に高いといわれているように、司法書士試験の合格率は3～4％です。年度によって合格のボーダーラインは変化しますが、最低でも全体の70％以上の点数を取らなければ、合格ラインに到達できません。

司法書士試験は科目数だけでなく、科目1つひとつの出題範囲も広いです。そのため、これから試験勉強を始める初心者の場合は「スモールステップ形式」を採用し、学習時のモチベーションを落とさないようにするのが大切です。

たとえば「今日は10ページまで勉強する」といった具合に、ページ数を基準に1日分の学習目標を立てましょう。さらに、1つの単元に絞って学習を進めたりすると、学習内容を定着させながら試験対策を進められます。

学習のテンポに慣れてきたら、1日に学習するページ数を増やしたり、別の問題集で学習内容の総仕上げをしたりするのもおすすめです。

学習内容の総仕上げとして過去問を使う場合は、取り組む前にタイマーやスマートフォンなどで制限時間を設定しておくのも大切です。実際の試験のうち、択一式のみの午前の部は2時間、択一式・記述式の両方が出題される午後の部は3時間の制限時間が設定されています。

司法書士試験では、限られた時間のなかで解答しなければいけないため、時間配分が何より重要です。そのため、過去問を解く時に本試験と同じ制限時間を設定しておくと、時間配分の計画・流れが作りやすくなるうえ、本試験と同じ感覚で取り組めます。

司法書士試験は、憲法や民法・商法・刑法などといった、さまざまな分野から出題されますが、実際には科目によって出題される問題数・配点の割合に差があります。

そのため、これから試験勉強を始める方は特に、出題数や配点の多い科目から挑戦し、合格ラインに到達するまでの学習を効率よく進められます。特に、民法や不動産登記法などは、本試験では落とせない科目といわれているため、しっかり対策しておきましょう。

この方法は、社労士や弁護士試験などといった、司法書士以外の国家資格の試験対策にも活用できます。以下に、司法書士以外の国家資格試験の参考書を紹介している記事を掲載していますので、ぜひこちらもご覧ください。

司法書士の試験対策に使える参考書は、今回ご紹介したテキスト以外にも数多く展開されています。これから司法書士試験の勉強を始める方・再挑戦をする方は、ぜひ今回ご紹介した選び方やおすすめの商品を参考にして、本試験合格を目指しましょう。