扇風機の仕組みを解説｜首振りの仕組みや構造・原理・電気が流れる仕組みも

暑い夏に大活躍する扇風機は昔から馴染みのあるシンプルな家電ですが、最近ではコンパクトな羽なし扇風機やタワー型扇風機、サーキュレーターなどを目にする機会が増え、どのように動いているのか、またどのような違いがあるのか気になる方もいますよね。

たとえば、外観が似ているため一見同じような使い方をすると思われがちなサーキュレーターですが、実は適切な用途が異なるため扇風機とは違う家電として取り扱われています。今回は、扇風機の仕組み・動く原理や回路の構造についてわかりやすく解説します。

この記事では、各タイプの扇風機の特徴や最適な役割について解説した上で、優れた使い勝手を持つおすすめ製品を紹介します。扇風機の首振りの仕組みについての解説など、子どもの自由研究にも使える内容なのでぜひお子さんとも一緒にチェックしてみてください。

ひと口に扇風機といっても、本体の形状や使い方によって呼ばれ方はさまざまです。最も一般的な扇風機は「リビングファン」羽根なしの扇風機は「エアマルチプライヤー」小型のものは「卓上扇」などと呼ばれて区別されます。

「タワーファン」は縦長にデザインされた扇風機で、設置スペースを取らないため狭い場所にも設置可能です。また、屋外で使用したい場合は持ち運べる「ハンディファン」も増えてきました。

自立型の一般的な扇風機をリビングファンといいます。基本的に、モーター・羽根・支持部などで構成され、モーターによって回転する羽根で風を発生させる仕組みです。羽根には回転方向に対して角度がついており、これによって風は前方に向かって広がりながら押し出されます。

首振り機能がある場合、羽根を回す水平軸の力を回路に組み込まれたウォームギアなどによって垂直軸に伝達しています。首振り機能使用時に異音がある場合は、内部が故障している可能性があるので注意してください。

タワーファンは、縦型の本体にシロッコファンが組み込まれた扇風機です。本体がスマートでデザイン性に優れているため、設置場所が広く取れない場合やインテリアとの調和を取りたい場合などにおすすめします。

シロッコファンは換気扇などによく使われるもので、プロペラファンと比較して静音性に優れ、風を送り出す力が強いのがメリットです。内部清掃ができないのが欠点でしたが、最近はファンを取り外してお手入れが可能な機種も登場しています。

羽根のない扇風機は、エアマルチプライヤーとも呼ばれます。中心に穴が開いており、どうやって風を出しているのか気になる方も多いのではないですよね。実は、羽根なし扇風機の羽根は本体に内蔵されています。

本体側面の穴から取り込んだ空気を羽根とモーターによって上部に送り、後方のスリットから吹き出して送風する仕組みです。送風の勢いによって風の通り道の気圧を下げ、周囲の空気を巻き込んで風量を確保しています。

扇風機と似ているため、同じものとして販売されがちなサーキュレーターですが、本来はまったく違う家電です。人に涼感を与えるのが目的の扇風機に対して、サーキュレーターは部屋の空気を攪拌することを目的とします。

サーキュレーターの羽には風切り羽根がついており、外に広がろうとする風を遮って直線的で強い風を作ります。風切り羽根に風が当たることで、扇風機より大きな動作音が伴うのが特徴です。また、サーキュレーターの風は直接当たるのには向いていません。

扇風機の首振りの仕組みを作るのに別のモーターが必要なイメージがありますが、実は羽根を回すモーターの後ろの軸に、ウォームギアを付けることで対処しています。普通の歯車に伝達して回転の速度と方向を変えてから、リンク機構に回転を伝えて首振りの角度を調整しています。

静止中に首振りつまみを持ち上げると、回転の伝達が止まるので首振り運動の停止が可能です。扇風機の首振りつまみは、羽根の後ろ側にある円筒の上側に搭載されている場合が多いです。

扇風機の一番の特徴である羽根。現在は、5枚羽根の機種が主流となっています。羽根の枚数は風の当たりの柔らかさに影響し、多いほど優しい風が得られます。羽根が多い方が涼しさを感じられるわけではありません。

羽根が多い機種ほど価格が上がり、回転させたときの音も大きくなりがち。クーラーと併用する場合は多扇タイプ、扇風機のみで使用する場合は3～5枚羽根の機種がおすすめです。また、強い風を作るのが目的のサーキュレーターは3枚羽根が主流です。

扇風機に使われているモーターはDCモーターとACモーターの2種類です。最近はDCモーターが注目を集めていますが、扇風機としての性能が必ずしも優れているわけではありません。

DCモーターは直流の電流によって駆動するモーターです。DCモーターを搭載した扇風機は、節電効果や風の当たりの柔らかさなどによって人気を高めています。本体の小型化が容易で、回転数を抑えられるので微風を得られるのがメリットです。

しかし、モーター自体の価格が高額なため本体が高くなるだけでなく、騒音が発生しやすいのがデメリット。また、コンセントの交流電気を直流に変換して使用するためエネルギー効率が悪く、実際の節電効果はあまり期待できません。

ACモーターは、DCモーターの扇風機が登場する以前から使われてきたモーターです。コンセントの交流電流をそのまま使用するためエネルギー効率がいいのが特徴。モーターそのものが安価なため、扇風機本体も比較的安く提供されます。

価格面では風量3段階切り替えの機種が低価格です。しかし、4段階以上の切り替えが採用されている機種であれば使われているモーターも高性能なため、購入後も不具合が起きにくく、長く使えます。

機種によっては、風量の調節や首振り機能の他にも便利な機能が搭載されている場合があります。小さなお子さんが本体に触れたときに誤作動を防ぐチャイルドロックや、オン・オフを時間によって設定できるタイマー機能が代表的です。

部屋の温度や湿度を感知して自動でオン・オフ・風量を調節してくれるハイスペックな機種や、遠隔で操作できるリモコンが付属する機種もあります。使用環境に合わせて最適な機能を備えた1台を選びましょう。

扇風機の仕組みを解説しましたが、理解できましたか。扇風機はクーラーやエアコンのように部屋全体を冷やせませんが、足元だけが冷えない・電力が少なく済むなどメリットもたくさんある魅力的な家電です。この記事を参考にして、暑い夏を快適に過ごせるお気に入りの1台を見つけてみましょう。