【雪山登山】チェーンスパイク4選｜アイゼンとの比較も【グリベル・モンベルなど】

雪山での登山の必需品といえばアイゼンです。しかし、登山を始めたいと思っても装備を揃えるのに費用がかかり、なかなか手が出せない方もいますよね。12本爪アイゼンも高いため、まだ登山を続けられるかわからない状態で購入するのは気が引けてしまいます。

そこでおすすめなのがチェーンスパイク（チェーンアイゼン）です。チェーンスパイクはアイゼンと比較すると安価で手に入るうえ、初心者が練習で行う登山には十分対応できる性能をもっています。

この記事では、チェーンスパイクとアイゼンの違いをはじめ、チェーンスパイクのメリットや活用法、モンベル・グリベルなどのおすすめメーカーやおすすめのチェーンスパイクをご紹介します。

チェーンスパイクと軽アイゼンは、どちらもあまり雪が深くない場所で使用します。チェーンスパイクと軽アイゼンの大きな違いは、爪の大きさです。小さな爪がたくさん付いているチェーンスパイクに対して、軽アイゼンは爪の数は4～6本と少ないものの爪が大きいのが特徴です。

また、軽アイゼンは土踏まずの部分に集中して爪が付いているため、足裏全体をつけて歩く必要がありますが、チェーンスパイクは全体に爪があるため普段通りに歩けます。

チェーンスパイクと軽アイゼンの違いをまとめました。

軽アイゼンやアイゼンは主に冬山登山で使われるアイテムですが、チェーンスパイクは冬以外の季節でも使用ができます。特にアイスバーンや傾斜のある場所でのトレッキングやハイキングでの使用がおすすめです。

軽量で取り付けが簡単なので、初心者でも簡単に使えます。また、山だけでなく街中での滑りやすい路面や凍結路面での使用も可能です。

チェーンスパイクはゴムを伸ばして靴底にはめるだけで装着できるため、アイゼンのようにベルトを調整する手間がなく簡単に着脱できます。シンプルな構造で、装着にテクニックも必要ありません。

登山の途中に足場が悪い道があればさっと装着して、不要になれば素早く脱げるので、初心者にも使いやすいアイテムです。

中心部分に爪が集まる軽アイゼンと違い、足底全体に爪があるため、普通に歩いても爪を引っ掛けられます。

また、凍結した道や雪のない道・岩場なども、チェーンスパイクは爪が小さいので装着したまま歩くのが可能です。雪がある道とない道が混在する登山道でチェーンスパイクは重宝します。

軽アイゼンは大きな爪を固定するプレートがあるため収納サイズも限られますが、チェーンスパイクは丸めてコンパクトに収納でき、ザック内でもスペースを取りません。また、軽アイゼンに比べて軽量なのも、チェーンスパイクのメリットです。

雪山は無積雪期の登山に比べて装備が多く荷物も重くなるため、軽量かつコンパクトに収納できるのは魅力です。場所を取らないので、雪渓のある夏山にも気軽に持参できます。

軽アイゼンは登山靴に装着するよう作られていますが、チェーンスパイクはトレランシューズやアプローチシューズ・トレッキングシューズなどの登山靴以外にも装着可能です。

冬場のトレランで、ところどころに積雪があったり凍結している恐れがある場合には、トレランシューズにチェーンスパイクを装着して安全を確保できます。このように使用用途が幅広いのも、チェーンスパイクの魅力です。

チェーンスパイクはゴムなどの伸びやすい材料で作られています。伸びる分、着脱のしやすさが大きなメリットですが、靴の動きに合わせて伸縮するので靴との密着度は低いです。密着度が低いと、雪山や坂道などのふんばりたいシーンでも力が入りきらなかったり、装着位置が少しずつずれて脱げてしまったりします。

なるべく靴と密着性の高いチェーンスパイクを選ぶために、サイズをよくみて購入しましょう。ただし、細かいサイズ展開はなくS・M・Lしかないので、自分にピッタリ合うサイズを見つけるのが難しい点もデメリットです。

チェーンスパイクの特徴は、小さな爪がたくさん付いており足裏全体で地面を引っ掛けられるところです。しかし、ふかふかの深い雪のような、深く引っ掛ける必要がある場合は、爪が小さい分限界があり、装着しても効果が得られません。そのようなシーンではチェーンスパイクではなく爪が大きい軽アイゼンを使うようにしましょう。

一般的に、チェーンスパイクのツメは11～19本とたくさん付いています。商品によってはさらに多い場合もあり、浅い雪や凍った道では多くの爪を使って足裏全体で引っ掛けて歩けると安定感が増します。ただし、雪道以外では爪が多すぎると歩きにくいので、どのような道を歩くのが目的かによって使い分けをおすすめします。

チェーンスパイクの効果を最大に発揮し、安心安全に雪山登山するためには、自分の靴に合ったサイズを用意しましょう。サイズが合わないとふんばれなかったり、脱げてしまったりして危険です。サイズ展開はS・M・Lが一般的で、製品によってサイズが異なるので、サイズ表のチェックと、できれば試し履きがベストです。

雪山登山やトレッキングでチェーンスパイクを装着する場合、普通に歩いても疲れる道をさらに足に装具を付けて歩くので、負担がかかり疲れやすくなります。チェーンスパイクは両足で300～500gが一般的でそこまで負担にはなりませんが、重さが気になる方はなるべく軽いチェーンスパイクを選びましょう。

また、必要な場所で装着して、不要な場所では外すような使い方の場合、荷物として持ち歩きますよね。なるべく軽いチェーンスパイクであれば、持ち運びの際も荷物が重くなりすぎないのでおすすめです。ぜひ、持ち運びやすさも考慮してみてください。

チェーンスパイクを選ぶ際に、機能の他に気になるのは価格ですよね。とくに初めて購入される方は相場がわからなくて、高価格で高機能なものを選ぶかもしれません。そんなときは、まず購入しやすい値段の商品を選んで、自分の足に合うかどうか確認してみましょう。

チェーンスパイクの価格はメーカーや商品によりますが、およそ3,000円～10,000円と幅広い価格帯です。高価格の商品はチェーンスパイクを使い慣れた方で、ブランドや機能を選ぶ方向けと言えます。安い商品からはじめて、じょじょに機能を増やしていくのがおすすめです。

スノーラインは、登山用品を中心に展開しているメーカーです。創業当初から高品質かつ高機能な製品を提供しており、山岳スポーツにおいて高い信頼を得ています。

スノーラインのチェーンスパイクの中でも人気が高い「チェーンセンプロ」は、バンドとチェーンが連結するアイレット部分には異なる素材が使用されているため、破損するリスクが低くなっているのが特徴です。とても丈夫なチェーンスパイクになります。

言わずと知れた日本を代表する国内アウトドアメーカーであるモンベル。ウェアからギアまで幅広く取り扱いがあるのに加え、品質・機能性の高さから多くのアウトドアファンに支持されています。高品質・高機能にも関わらず良心的な価格で、コスパの良さも魅力です。

モンベルのチェーンスパイクはバンド部分が柔らかく、ブーツの屈曲にも柔軟にフィットします。また、低温下でも硬化しにくいラバーバンドのため、靴下のように簡単に着脱が可能です。

クライミングやバックカントリーのギアをメインに扱う「ブラックダイヤモンド」の製品は、過酷な環境下での使用を前提に作られているため、高品質で信頼性が高いと登山好きからも人気です。

ブラックダイヤモンドのチェーンスパイクは、種類がとても豊富です。軽量で強度の高いステンレス製のスパイクを足裏に使用た定番モデルをはじめ、爪を6本まで減らし簡易的な構造にした超軽量モデルなど、用途に合わせて最適なスパイクを選べます。

登山用品といえばグリベルを思い浮かべる人も多いですよね。モンブランの南麓で農耕具を製作する鍛冶屋から始まったグリベルは、登山者の要望を受けピッケルを製作したのをきっかけに発展しました。

本格アイゼンのイメージが強いグリベルですが、グリベルの特徴である鮮やかなイエローのチェーンスパイクも販売しています。知名度はもちろん、品質においても信頼できるメーカーです。

カンプ（CAMP）は、イタリア北部で誕生し、130年の歴史を持つ老舗アウトドアブランドです。日本では登山靴メーカーのキャラバン株式会社が販売代理店として取り扱っています。カンプのチェーンスパイクは「アイスマスター」シリーズで、ラインナップは機能別の4種類です。

夏山から簡単な冬登山まで対応できる定番のアイスマスターRをはじめ、定番をさらに進化させたアイスマスターエボ、軽量化に力を入れたアイスマスターライトと、冬のランニング用に設計されたアイスマスターランの4種類です。価格帯は7,000～10,000円で、目的によって選びやすい商品展開となっています。

サレワ（SALEWA）は、ドイツで誕生し、その後イタリアに移転したアウトドア総合ブランドです。世界30ヵ国に店舗を展開している世界的ブランドで、日本でも多くのアウトドアショップで取り扱われ、人気を得ています。

サレワのチェーンスパイクは爪の数が18本と多めなのが特徴です。あわせて、ゴムの部分が厚めに設計されており、登山中の擦れなどに対して耐久性が高くなっています。サイズはS・M・L・XLの4展開で、足のサイズに合わせて探しやすい商品展開です。

チェーンスパイクを使った経験のない方は、複雑な形状で付けるのが難しいのではと感じますよね。ここでは、装着の仕方と気を付けるポイントを合わせて説明するので、初めて使う際の参考にしてください。

まずは爪が下向きになる状態でチェーンスパイクを置き、つま先をゴムに引っ掛けます。しっかり入ったら、ゴムを踵まで引っ張り、その時に爪の向きが前後反対でないか確認しましょう。次にくるぶしの方に全体的に引き上げながら靴にフィットさせて、爪の位置やバランスをチェックしたら完了です。

チェーンスパイクは、標高の低い山や初心者の登山以外でも活躍します。ここでは、チェーンスパイクの活用法をご紹介します。

爪が短いチェーンスパイクは、積雪の多い場所では爪が刺さらず機能を発揮できません。しかし、雪が深くなるまでのルートは本格アイゼンでは歩きにくく、だからといってアイゼンを装着しなければスリップする恐れがあり危険です。

そんな深雪までのアプローチに、チェーンスパイクが役立ちます。凍結していたり雪が積もって滑りやすい道はチェーンスパイクを装着し、深雪になったときに本格アイゼンに履き替えると安心です。

チェーンスパイクは夏山でも活躍します。雪が残る夏山はもちろん、泥で滑りやすい道やコケで滑りやすい沢を渡るときなど、足元が不安定で心細い場所では積極的にチェーンスパイクを使用しましょう。軽アイゼンよりも幅広い用途で使用できるのも、チェーンスパイクの魅力です。

軽アイゼンよりもグリップ力は弱いものの、扱いやすく活躍シーンが多いチェーンスパイクはひとつ持っていると心強いアイテムです。チェーンスパイクで冬の登山も安全に楽しんでくださいね。