水銀レス血圧計とは？精度や使い方、おすすめ商品を紹介します！

血圧計は水銀を使っている医療機器の代表のようなものでした。2013年10月に締結された国際条約「水俣条約」により2021年1月以降、水銀を使った製品の製造・輸出入は世界中で禁止となりました。

これから購入できる血圧計は、家庭用・医療機関用問わずすべて水銀を含まない製品になります。特に医療機関向けのデジタル血圧計は「水銀レス血圧計」と呼ばれ、従来の水銀血圧計と同じような形をしています。

水銀レス血圧計とはどんな血圧計なのでしょうか？精度は今までの水銀式血圧計と変わらないのでしょうか？この記事では水銀レス血圧計の特徴と看護学生にもおすすめの商品を紹介します。

水銀レス血圧計の見た目や測定方法は、従来の水銀血圧計と変わりません。センサーが検知した圧力を水銀血圧計の様な液晶画面に表示します。水銀を使わないため、水銀詰まりによる測定値の誤差が出にくく、電源を入れるとすぐに使用できます。

電池が必要となりますが、長時間使われないと自動で電源を切る機能や血圧測定と同時に脈拍を測定する機能がついている製品も多いです。水銀を使わないので環境に優しく、測定精度も高いのが水銀レス血圧計のいいところです。

従来の水銀血圧計は、そのまま廃棄することは禁止されています。水銀製品を廃棄する際は、廃棄物処理法に則った廃棄が義務付けられています。

従来の水銀血圧計は、上腕にカフを巻き、空気を入れて圧迫します。カフと水銀柱がチューブで繋がっているため、水銀柱はカフ内の圧力を表します。カフ内を減圧していき、脈動音が出現した箇所を最高血圧、脈動音が消失した箇所を最低血圧として記録します。

水銀レス血圧計もほぼ同じ構造ですが、水銀柱ではなく圧力センサーがカフ内の圧力を検知します。センサーの検知結果から脈拍数も算出できます。

水銀レス血圧計は、高い精度で測定することができますが、血圧計を正しく使用しないと精度の高い血圧測定はできません。正しくカフを巻く、聴診器で脈動音を聞き逃さないなど正確な測定方法を習得することが大切です。

血圧計の不具合によって、正確に測定できないことがあります。測定機器は定期的に点検し、故障の有無やキャリブレーションを実施するようにしましょう。精度のばらつきを感じたら電池の交換やメーカー点検がおすすめです。

医療向けの水銀レス血圧計と家庭向けのデジタル血圧計は、仕様も使い方も異なります。それぞれ解説しますので参考にしてください。

水銀レス血圧計は、従来の水銀血圧計と変わらず聴診法（コロトコフ法）にて測定します。測定時にボタンを押すことで最高血圧と最低血圧を記録・表示することができる機種もあります。使い方をご紹介します。

1. カフを空気で膨らませて上腕を圧迫する
2. 上腕動脈上に聴診器を置き、空気を抜いて減圧する
3. 初めて脈動音が聞こえるところでボタンを押す
4. 減圧を続け、脈動音が消失するところでボタンを押す

測定結果を記録・表示できるため便利に使用できそうです。

家庭で手軽に血圧測定できるように開発された血圧計の使い方をご紹介します。カフの加圧や測定も血圧計が自動で行うため、技術は不要です。測定の手順をご紹介します。

1. カフを測定部位（上腕）に巻く　
2. 電源を入れて測定開始　
3. 測定が終わったら測定値が液晶に表示される
4. 電源を切る

正確な測定結果を得るためにはリラックスして、正しい姿勢で測定するようにしましょう。医療用の血圧計の場合と同じく、測定部位（上腕）の高さは心臓の高さと同じにします。また毎日同じ時間に測定することも大切です。血圧は1日の活動の中で大きく変動します。

医療機器の販売・貸し出しには、機器の分類によって届出が必要となります。水銀レス血圧計は、正式には「手動式電子血圧計」と言い、管理医療機器に指定されています。管理医療機器を販売・貸出しする場合は自治体への届出が必要となります。

看護学校や医学部など医療系の学生さんが学習のために購入する場合、学内での購入や学校指定の販売店から購入すると安心です。ネット販売の店舗から購入する場合、届出がされている事業者なのかを確認しましょう。

現在使っている水銀血圧計を直ちに廃棄する必要はありません。水銀血圧計を廃棄する場合、地域によっては医師会による回収があるため、医師会に相談しましょう。回収がない場合、廃棄物処理法に従って処理をする必要があります。水銀処理が可能な産業廃棄物処理業者に依頼しましょう。

水銀血圧計は一般家庭に眠っていることもあります。直ちに処分する必要はありませんが、廃棄する場合は自治体に廃棄方法を確認してください。血圧計だけでなく、水銀を使った製品は、少量でもそのまま廃棄してはいけません。

水銀血圧計から水銀レス血圧計に変わっても、使い方や精度はほとんど変わりません。最新の医療機器は使い勝手や便利な機能がついたものが多いです。環境にも優しい水銀レス血圧計をどんどん使っていきましょう。