エアコンのワット数は何ワットがいい？｜平均的な消費電力や調べ方についても

エアコンのカタログや仕様表には、「kW」「kWh」「W」の3種類の「ワット数」の記載があります。いずれもエアコンの能力を示す大事な指標です。しかし、単位がよく似ているのでわかりにくいですよね。

エアコンの能力と消費電力を表す3種類の指標は、エアコンを選ぶ際にとても役立つものです。エアコンの基本性能を示す3つの「ワット数」についてよく理解していれば、エアコン選びで大きな失敗をする心配はありません。

この記事では、エアコン選びに役立つ3つの「ワット数」について解説します。3種類の指標の意味がわかれば難しくはありません。省エネ性能の高いエアコン4選も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

「kW(キロワット)」の数字は、単位時間当たりに室内から取り除く、あるいは室内に加える熱エネルギー量を表しています。「kW」はエアコンの冷暖房能力を示す指標で型名にも使われています。

まずは冷暖房能力の「kW」は何を示しているのかを知っておきましょう。エアコンの冷暖房能力を表す「kW」は、エアコンが対応できる「部屋の広さ」と関係しています。

広い部屋に設置するエアコンの「kW」は大きな数値である必要があり、木造住宅の6畳間なら「2.2kW」、10畳間なら「3.6kW｣が目安とされてます。ただし、高断熱・高気密住宅の場合は小さな能力(kW)のエアコンで広い部屋に対応できる場合があります。

【エアコンの冷房能力と部屋の広さの目安】

高断熱住宅であれば、広い部屋でも6畳用で十分な場合もあります。しかし高断熱・高気密住宅ではない場合、エアコンの能力を超えた広い部屋を冷やしたり暖めようとすると、なかなか部屋が冷えないもしくは暖まらない場合があります。

エアコンの冷暖房能力と部屋の広さが合っていないと、常にフルパワー運転になりかねません。エアコンは常時フルパワーで運転するようには設計されていないので、エアコンに高い負荷がかかります。高い負荷がかかるとエアコンの寿命が短くなったり、電気代が高くなったりする可能性があります。

エアコンの消費電力は、外気温や室内の温度設定などの外部環境によって異なります。そこで標準的環境で運転した場合の消費電力の試算値を利用して、同じ条件で比較できるようにしています。「kWh」の単位で示される「期間消費電力量」は、東京の気象条件をモデルとした木造住宅での年間消費電力量の目安です。

エアコンの省エネ性能を示す「APF」は、「1年間に必要な冷暖房能力(kW)」を「期間消費電力量(kWh)」で割り算したものです。高い冷暖房能力を少ない消費電力量で実現できるエアコンは省エネ性能が高く、APFの数字が大きいほど省エネ性能が高いエアコンです。

エアコンの消費電力「W(ワット)」は、冷暖房能力を実現するために必要な電力量です。冷暖房能力が高いエアコンほど消費電力は大きくなります。冷暖房能力と適応できる部屋の広さは比例する関係なので、適応畳数が大きいエアコンほど消費電力も大きいです。

たとえばあるメーカーの冷房能力2.8kWのエアコンのカタログに記載されている消費電力(W)は、「540W(105~990)」となっています。540Wは2.8kWの冷房能力を実現するために必要な電力量です。また、エアコンは運転開始時の消費電力が特に高くなりますが最高の消費電力が990W、最低が105Wになります。

一般的な6畳間の平均的な消費電力は110〜920W、8畳間なら110〜1,030Wとなりますが、畳数が増えても消費電力はそれほど増加しないのがわかります。このため、過大なワット数ではなく、適切な冷暖房能力のエアコンを選ぶのが重要です。

家庭用のエアコンの電源には「100V」と「200V」の2種類のタイプがあります。「100V」のエアコンの多くは通常のコンセントを利用します。「200V」のエアコンのコンセントは形状が異なるので一目でわかります。なお、100Vのエアコンでも20アンペア用の場合は特殊な形状になっています。

エアコンは、運転開始の立ち上がりの時に大量の電力を消費します。カタログに表示されている消費電力には、最小と最大の両方の数字が記載されています。運転開始時には、最大消費電力に近い電力が使われる場合があります。

特に、ブレーカーがエアコン専用になっていない場合は、他の電気製品の消費電力とエアコンの消費電力の合計がブレーカーの制限を超えないようにしましょう。

電源が「200V」のタイプのエアコンを、通常の「100V」のコンセントでは利用できません。エアコン設置場所に「200V」のコンセントがない場合は、コンセントの交換・配電盤の電圧変更などの電気工事が必要です。

逆に、「200V」のコンセントで「100V」のエアコンの利用もできません。この場合も電気工事が必要です。単相3線式の電線で電気が供給されている家ではコンセント交換と分電盤の電気工事の合計で約1万円~1万5千円くらいかかります。

エアコン購入時や移設時には電気工事費も確認しましょう。エアコンのコンセントについては、以下の記事で詳しく解説しているのでぜひあわせてご覧ください。

エアコンのワット数を調べるには、エアコン本体に記載されている数値を見てみましょう。室内機の吹き出し口近くに、シールが貼られている場合が多いです。

定格能力・定格消費電力などの項目で、冷房の場合と暖房の場合とそれぞれに必要なワット数が記載されています。

エアコンの冷暖房の仕組みは「ヒートポンプ」です。「ヒートポンプ」による冷暖房は、使用したエネルギー以上の効果が得られる仕組みなので「省エネ」です。実は、電気ヒーターなどに比べてエアコンによる暖房はとても省エネになっています。

たとえば暖房能力が3.6kWであるのに対して消費電力が670Wのエアコンがあるとします。これは、670Wの消費電力で3600Wの効果を出しています。それを可能にしているのがエアコンの「ヒートポンプ」です。ヒートポンプが外気から約3000Wの熱を引き出しています。

エアコンを設置する部屋の広さに比べてエアコンの冷暖房能力が小さいと、設定温度に達するまでの時間がかかったり、設定温度に達せない場合があります。

エアコンの冷暖房能力が部屋の広さに合っていないとエアコンが常時フルパワー運転になり、故障する・寿命が短くなるほか、消費電力量も多くなってしまいます。従って、部屋の広さにあった能力を持つエアコンを選ぶのははとても重要です。

ただし住宅の断熱性・気密性の要因もあるので、エアコンのカタログにある部屋の広さの目安がすべてではありません。高断熱住宅では「冷暖房能力(kW)」が小さいエアコンで十分な場合もあります。

環境省などの省エネキャンペーンでもよく知られているように、冷房設定温度・暖房設定温度を適正にすると消費電力を抑えられます。冷房は28℃、暖房は20℃を目安にエアコンの設定温度を決めてください。

設定温度1℃の上下で、消費電力は約1割変化すると言われています。エアコンを利用する場合には、「冷やし過ぎない」「暖め過ぎない」ように心がけましょう。エアコンの設定温度について気になる方は、以下の記事もぜひチェックしてください。

エアコンは設定温度に達するまでに電力を多く消費するので、運転開始時には風量を「弱」や「微風」ではなく「自動運転」の設定にすると消費電力を抑制できます。運転開始時から「弱」で運転すると、設定温度に達するまでの時間が長くかかり消費電力量が多くなる場合があります。

エアコンを選ぶ際には、エアコンの基本性能を示す3つの「W(ワット)」に注目してください。もちろん、エアコンにはメンテナンスのしやすさなど「3つのワット数」以外の特徴も数多くありますが、基本性能に関して間違えずに選ぶのが大切です。