ドラム式洗濯機の設置は自分でできる？｜取り付け方法・設置方法や業者依頼の費用も！

「洗い」から「乾燥」までの全行程を自動で行うドラム式洗濯機は、干す手間がないため縦型に劣らない人気ぶりです。しかし、縦型に比べてサイズが大きいのがちょっとした難点です。設置場所を事前にしっかり確認しないと、最悪の場合、設置できない可能性もあります。

また、ドラム式は縦型に比べて設置がやや手間なのもネックです。固定ボルトを外したり、アース線や給水ホース・排水ホースを取り付けたりとやるべきプロセスがたくさんあります。ギリギリだと設置が大変なので少し余裕を持たせるのもポイントです。

そこで今回は、ドラム式洗濯機の設置前に確認しておくべき点と自分で設置する方法や注意点・設置の流れをご紹介します。設置できない場合の対処法についても解説しているので、後悔しないためにも入念に調べておきましょう。

最初に、設置場所が洗濯機を置くのに適しているかを見ておきましょう。確認する項目は以下のとおりです。

• 洗濯機を置くだけのスペースがあるか
• 置き場所は平らで安定しているか(木材やブロックの上など不安定な場所だと転倒の危険があります)
• 滑りやすい場所でないか(滑りやすいと運転時の振動で洗濯機が動いてしまう場合があります)
• 湿気の多い場所や濡れる可能性のない場所か
• 直射日光が当たらないか

洗濯機を設置する際には、壁面からの距離もチェックしておきましょう。洗濯機は、「前面を解放した状態で側方1cm以上・上方13cm以上・後方1cm以上壁面からの距離を開けて設置しなければならない」と消防法で定められています。これらはあくまで目安の数値であり、洗濯機の機種によっても異なるので、事前に確認をしておきましょう。

防水パンや設置する場所の床が歪んでいないか、凹凸はないかなども確認します。集合住宅にすんでいる方は騒音問題も気をつけましょう。不安な場合は、防音マットや余暇の工事などを検討してみてください。

設置場所を選択する際には、設置スペースの広さは大切です。洗濯機が置ければそれでいいと思いがちですが、他にも確認しておくポイントがあります。

まず、設置場所のサイズ確認を行いましょう。目視だけだと実際には入らない場合もあり得るため、メジャーを使用してきちんと寸法を測っておく必要があります。

最初に洗濯機を置けるだけの幅があるかを測り、次に奥行きの計測を行います。洗濯機の幅は63cm‐65cm程度が主流です。大型モデルだと幅68cmを超えるモデルもあるので注意してください。

洗濯機の前には、扉が開かなくならないように十分なスペースを確保しておくと安心です。ドラム式の扉は左開きのものが多いので、右側が壁になっている場所に置いてしまうと洗濯物が取り出しにくくなる場合もあります。設置場所は部屋のレイアウトに合わせて選びましょう。

防水パンは、洗濯機から水漏れした時に床が水浸しになるのを防いでくれるものです。通常、洗濯機は防水パンの上に設置します。そのため、防水パンのサイズが合っていないと洗濯機が置けなくなります。

防水パンにはいくつかのサイズがあり、一般的なのが64cm×64cmの正方形のタイプです。他に74cm×64cm・80cm×64cmの長方形のものもあります。

一般的なドラム式洗濯機のサイズは幅60cm、奥行き55cm程度ですので、正方形タイプでも十分に入ります。しかし、万が一を防ぐためにも必ず事前に防水パンの大きさを確認するようにしましょう。

ドラム式洗濯機を設置するときに見ておかないといけないのが、水栓の形状と高さです。水栓の形で位置がドラム式に対応したものでないと、そのままでは洗濯機を設置できない場合もあります。

洗濯機スペースに取り付けられている水栓の形状にも、実はいくつもの種類に分かれています。水栓の形状によっては、洗濯機を取り付けるために別途新しい部品を購入する必要があります。

• 全自動洗濯機用水栓……そのままの状態で取り付け可能。
• 横水栓……付属の継ぎ手を使用する。
• 自在水栓や万能ホーム水栓など……別途給水用部品を購入する必要あり。

次に確認するのが、水栓の高さです。ドラム式洗濯機を置くためには、床から水栓までの高さが1m20cm～30cmくらい必要です。機種によって高さは変わるので、自分が買おうとしている洗濯機の水栓の高さをあらかじめ調べておくようにしましょう。

これより水栓の位置が低くても、ドラム式を置けないわけではありませんが、高さが足りないと別途給水用の部品を購入する必要があります。

給水用部品は2,000～5,000円程度です。余計な費用がかかってしまいますし、できればそのままで設置できるのが望ましいといえます。

賃貸マンションやアパートの場合、水栓の位置が合わなくても、基本的に水栓の位置を変えたり壁に穴を開けたりといった工事はできません。この場合には、先述したように別途給水用の部品を購入する必要があります。給水用の部品を取り付けるだけなら、壁に穴を開けずに手軽にできるので、原状回復が必要な賃貸マンションやアパートでも心配ありません。

給水用の部品を取り付ける際には、水漏れによって下の階に迷惑をかける恐れもあるため、自分で行うよりも業者に依頼するのがおすすめです。工事を行う場合には、必ず事前に管理会社や大家さんに連絡をしておきましょう。

洗濯機の排水ホースは、排水エルボによって排水パンに取り付けられています。排水エルボとは、排水ホースと排水口をつなぐ、ゴムやプラスチック製でできたL型の部品です。排水エルボには、悪臭や害虫が上がってくるのを防いでくれるトラップという部品もついています。排水パンの排水口の位置が洗濯機の真下だと通常の排水エルボが使えないため、専用の部品などを購入する必要があります。

また、排水口からの水漏れを防ぐため、排水ホースは排水口の位置に沿って出すようにしましょう。たとえば、排水口が洗濯機の左側にある場合、ホースは左側に出します。排水口に合わせてホースの通し方を考える必要があります。

洗濯機を室内に運び込むための搬入経路についても事前に確認しておきましょう。ついつい見落としがちな搬入経路ですが、そもそも運び込めないと洗濯機は設置できません。実は設置スペースと同じくらいに大切なのです。

搬入経路のなかでも、玄関と曲がり角は必ずチェックしておきましょう。それぞれ、洗濯機本体の大きさよりも最低＋5cmの余裕をみておくのが望ましいです。

搬入経路が確保できていないと洗濯機を運び込めないため、搬入経路は設置場所と同じくらい重要なポイントです。

住まいがマンションなど集合住宅の場合には、洗濯機がエレベーターに乗るかどうかも要確認です。エレベーターが使用できないときは階段を使うことになりますが、こちらも踊り場で曲がれるかなど、サイズを測っておく必要があります。

ドラム式洗濯機を設置する際に、1人でもできるのか疑問に思っている方も多いはず。前提として、ドラム式洗濯機の設置は2人で行わなければなりません。ドラム式洗濯機は重たいので、1人で設置するのは困難で危険も伴います。安全に設置するためにも、必ず2人で設置を行うようにしましょう。

最初に、ドラム式洗濯機についているドラムの固定ネジを取り外します。固定ネジとは輸送時に内部のドラムを固定するためのもので、輸送ボルトとも呼ばれます。

固定ネジをつけたまま洗濯機を回すと、固定されたドラム缶が暴れて振動等の原因になるため、運び込んだあとは必ず固定ネジを外してください。固定ネジはたいてい洗濯機の裏側についています。

取り外し方は固定ネジ回して緩めるだけです。手回しでも外せますが、かたい場合は、モンキーレンチなどを使うようにしましょう。ボルトの数は2本の場合が多いですが、メーカーによっては3本や4本の場合もあります。外し忘れのないように注意してください。

次にアース線を取り付けます。アース線とは、洗濯機の本体やコンセントについている黄色と緑の電線です。アース線は、万一洗濯機が漏電した場合に感電しないよう接地をとるためのもので、コンセントに付いている接地端子へ接続します。

【アース線の取り付け方】

1. コンセントの下にある小さなカバーを外す。
2. カバー下にある金属製のビスをマイナスドライバーで緩める。
3. 緩めてできた隙間にアース線をつないでビスを締める。
4. 引っ張ってもアース線が外れなければ完成。
5. カバーをはめて取り付け完了。

続いて、洗濯機の給水ホースを取り付けましょう。このとき、蛇口のほうから取り付けると、ホースに変なクセがついて使いにくくなります。給水ホースの取り付けは、洗濯機側から行うようにします。

【給水ホースの取り付け方】

1. 洗濯機側に、つまみを回してホースを取り付ける。
2. しっかり最後まで締め、確実に取り付けられているかチェック。
3. 蛇口側の取り付けを行う。
4. つまみを引っ張って押し込むようになっているのでカチャッと音がするまでしっかり差し込む。

給水ホースの取り付けが終わったあとは、排水ホースの取り付けです。排水ホースは、防水パンがある場合とない場合で取り付け方が変わります。

防水パンがある場合には、洗濯機の排水ホースをパンについている排水エルボに差し込めば取り付け完了です。

もしも防水パンの高さが足りずに手が入らないといった場合には、嵩上げする必要があります。四隅にブロックをかまして嵩上げを行い、手を入れるスペースを作りましょう。

また、防水パンが洗濯機の真下にある場合にも、ホースを差し込むスペースを作るために嵩上げを行う必要があります。無理に作業しようとするのは非効率です。ホームセンターやネットなどで嵩上げ用の部品が売っているのでチェックしましょう。

防水パンがない場所に洗濯機を設置する場合は、キャスター付きの台を使って排水ホースを差し込む空間を作ります。

移動のときに便利なので、洗濯機を乗せる台はキャスター付きを使うのがおすすめです。キャスターではなく、ブロックなどで洗濯機を直接嵩上げする方法もあります。

どちらを選ぶかは、掃除の時に洗濯機を動かす必要があるかなど好みの問題になりますが、キャスターよりも嵩上げのほうが振動は抑えられます。

すべてのプロセスが完了したら、必ず最後に試運転を行ってください。試運転の際は、水漏れが起きる可能性もあるので、少しずつ蛇口をひねるようにします。

洗濯槽の1/3程度まで水が溜まったら一度洗濯機を止め、脱水コースにして稼働させます。給水ホースや排水ホースで水漏れが起こっていないかしっかりと確認してください。

引っ越し時の設置後でよくあるケースが、排水ホースの取り付けの甘さによる排水トラブルです。例としては、うまく接続できていない・ホースが潰れている・ホースが立ち上がっているなどです。これらは設置場所が狭い場合に起こりやすいので、余裕のあるスペースを確保する必要があります。

上記以外で排水がうまくいかない場合は、排水口や排水ホースが詰まっていないかもチェックしましょう。

防水パンと洗濯機のサイズが合っていない状態で運転すると、ガタガタと異音がします。また、サイズが合っていても洗濯機の脚が均等に乗っていない場合も同様に音がします。ドラム式洗濯機向けの防水パンを購入するなどで対応しましょう。

アース線は漏電や感電を防ぐ重要な役割を果たします。アース線が短くて取り付けられないということにならないように、じゅうぶんな長さのあるアース線を用意しましょう。また、アース線の差し込み口がない場合は、業者に依頼して取り付けてもらいましょう。

自分で洗濯機を運び込んで取り付けるのはやっぱり難しそう…と思った方は、無理をせず専門業者に依頼するようにしましょう。業者にお願いした方がいい例は以下の通りです。

• 排水口とホースがそれぞれ逆の位置にある
• 洗濯機のサイズに対して置き場のサイズがギリギリでゆとりがない
• コンセントが届かない
• 一人で作業しなくてはならない
• 水栓を取り替えたい
• 洗濯機をかさ上げしたい
• 特殊な場所や運び込みにくい場所に設置したい
• 自分で設置して水漏れしてしまった

業者にやってもらう場合の費用の目安は、5,000円～6,000円ほどになります。古い洗濯機を処分する場合は無料で引き取ってくれるところや別途処分費用がかかるところもあります。事前にどこの業者が1番自分にあっているか調べておきましょう。

洗濯機を配送業者や引っ越し業者に配送してもらう場合、配送料の相場は大体7,000円〜1万円程度といわれています。ただし、この価格は同じ都道府県内の移動の場合なので、県を跨いだ移動や大掛かりな引っ越しの場合はもう少し高くなると思った方が無難です。

家電量販店によっては、配送から設置・取り付けまで込みの料金で販売を行なっているところもあります。配送料や設置料が全くかからない場合もあるので、そういった店舗を選んで購入するとお得です。

ドラム式洗濯機を使用したい場合は、置ける物件であるかをチェックしましょう。基本的に室内洗濯機置き場があれば可能ですが、設置スペースが狭い場所は置けない物件になります。また、蛇口の位置が低かったりドアを開閉するスペースが狭い場合も置けないため確認が大事です。

ドラム式洗濯機が欲しいけれど、自宅の設置場所が狭くて置くのが難しい方は、コンパクトサイズを検討しましょう。コンパクトサイズのドラム式洗濯機は、一般的な64×64cmの防水パンに設置できるので、スペースの限られているマンションにもぴったりです。

ただ、コンパクトモデルは乾燥機能がないものもあり、機能面がイマイチとの声もあるので、購入前にはスペックもきちんとチェックしましょう。

ドラム式洗濯機の設置は専門業者でなくても行えるので、やり方さえ覚えれば素人でも比較的簡単にできます。しかし、ドラム式洗濯機は大きさ・重量ともに1人で扱うのは難しく、ケガなどの危険があります。そのため、作業は必ず2人で行うようにしましょう。