硯おすすめ19選｜中国産・日本産の違いは？選び方からお手入れ方法まで紹介！

「硯なんて、どれも同じようなもので大差ないのでは？」と思っている方は少なくありません。確かに硯は墨を磨る道具なので、墨が磨れればとりあえずその役割は果たせます。たとえ安物でもそれで間に合う道具です。

ところが、硯によって墨色やツヤが大きく変ってきます。いい墨が磨れれば筆の動きも滑らかで、書いた文字にも影響が出てくるはずです。書道をたしなむ方がいい硯を欲しがる理由はここにあります。

とはいえ、いい硯を見つけるのは簡単ではありません。どこを見て選べばいいのか迷っている方に、硯の種類や選び方、おすすめできるいい硯を紹介します。硯のお手入れ方法も解説するので、最後まで読んで、納得できる硯を見つけてください。

本場・中国産の硯は、墨が下りやすい適度な硬さと均質な石質が特長です。これで墨を磨ると色味が優れた墨液ができると人気で、名品もいろいろあります。ただ、唐硯すべてが高級品扱いされるわけではありません。

三大名硯として有名な端渓硯（たんけいけん）、歙州硯（きゅうじゅうけん）、澄泥硯（ちょうでいけん）のほか、珍しい紋様が見られる超高級品は実用よりも観賞用の美術品です。一方で、安くて実用品として使われる羅紋硯（らもんけん）も人気があります。

日本国内産の硯は、中国産に比べてやや軟質です。見た目もきれいで落ち着いた色調で、紋様があっても中国産のような華やかな印象は受けません。石の産地は全国各地にありましたが、需要の減少とともに次第に減りつつあります。

有名な硯では宮城県の雄勝硯（おがつすずり）や、山口県の赤間硯（あかますずり）などがあります。どちらも国の伝統工芸品に指定され、赤間硯は長州藩の殿様が参勤交代の土産品に使った記録が残ります。他に三重県の那智黒硯、山梨県の玄晶硯も有名です。

硯の墨を磨る部分を丘といい、ここにある細かい凹凸が鋒鋩（ほうぼう）です。ヤスリの目のイメージで、この部分の抵抗で墨の粒子が削られて墨液ができます。鋒鋩の状態がいいと墨が早くきれいに磨り下ろせる重要な部分です。

鋒鋩には原石中の銅や鉄、石英などの微粒子が現れています。ここが滑らかで均一だと、墨色に光沢がありにじみもきれいに出ます。粗い鋒鋩では粘性が強くなり、墨色・にじみはきれいに出せません。書の出来に影響するので、しっかり確認してください。

硯のサイズは長さで表し、単位は中国に倣って吋（インチ：1吋=約2.5cm）を使います。余分な墨を磨らないように、また、途中で墨が足りなくならないように、文字に合わせて硯のサイズを決めてください。

• 仮名文字：宛名書きやかな書道など細筆を使う場合は3~5吋(7.5~12.5cm)
• 半紙に書く漢字：小学生や書道教室で漢字を書く場合は6吋(15cm)
• 大判用紙に書く漢字：大きな漢字を書く場合は8~10吋(20~25cm)

硯の素材の多くは緻密な組成の粘板岩で、透水性はほとんどありません。ただ、中には水が浸透する石もあります。そんな材質の硯では、せっかく磨った墨がしばらくすると乾いてしまう場合もあり得ます。

店で選ぶ場合、了承が得られればごく少量の水を指先でつけてみて、跡が消えたら保水力が弱い硯です。通販ではレビューをチェックしてみましょう。

硯の素材は基本的に天然石が使われます。平安時代までは陶製硯でしたが、鎌倉時代からは石の硯が主流です。この硯はほぼ手造りで、当然ながら重くて高価ですが、墨を磨るにはやはり石の硯でないとうまくできません。

セラミックやプラスチック製もありますが、こちらは墨汁を使う小学生や書道塾の初心者クラス向け。墨は非常に磨りにくい硯です。

硯の種類は多く、それに伴って値段もピンからキリまでさまざまです。安いものでは小学生の授業で使うプラスチック製やセラミック製の硯が、300円から500円以内で買えます。

実用品では、中国の羅紋硯が3,000円程度・日本製の雄勝硯なら4,000円程度といったレベルです。いいものが欲しい方は国産の赤間硯などが1万~3万円で入手可能です。観賞用の美術品では数十万～百万円越えが通販でも見つかります。

硯を使った後放置すると、墨が固まって取れない汚れの原因になります。使ったら、乾かないうちに墨液を洗い流してください。ぬるま湯を使い、柔らかい布やスポンジで表面の墨をこすって流します。そのあとは自然乾燥させましょう。

すでに固まってしまった場合は、70度ぐらいのお湯に20～30分程浸けてからこすると墨が溶けて取りやすくなります。

硯を永年使ううちには、墨のカスが鋒鋩の間に詰まったり鋒鋩自体がすり減ったりして磨れなくなってきます。洗っただけでは回復しなくなったら、硯用の砥石で汚れを落としましょう。

硯をお湯できれいに洗った後、水をかけながら硯用の泥砥石で丘の部分を研磨します。力を入れてこすると鋒鋩が損傷するので、墨を磨る要領で表面をこすってください。水が黒くなくなったら水分をふき取って完了です。砥石の代わりに、クリームクレンザーと古歯ブラシでもOKです。

硯の種類はとてもたくさんあります。そして、今の硯より少しいい硯が欲しい方、初心者や小学生用の硯が欲しい方など、硯を求める目的もさまざま。多くの硯の中からそれぞれに合った硯を見つけましょう。こちらの記事もあわせてご覧ください。