立原正秋の小説おすすめ10選！恋人たちから冬の旅まで｜評価・口コミも

昭和の純文学作家として評価の高い立原正秋をご存知でしょうか？美しい日本の風景を切り取ったような描写が魅力です。

立原正秋は日本の純文学作家として有名ですが、実は朝鮮半島出身の韓国人。しかし幼少期から日本に住み、のちに日本人女性の妻と結婚します。近代文学賞・直木三十五賞などの文学賞も受賞し、多くの実績を残しています。

この記事では立原正秋の代表作『恋人たち』『冬の旅』などおすすめ小説を紹介していきます。また立原正秋は随筆も有名なので、最後に情報を掲載しています。ぜひ最後までご覧いただき、立原正秋の小説を選ぶ際の参考にしてください。

立原正秋は1926年に朝鮮半島で生まれます。幼いころに父親を亡くし、母親や弟たちと来日し、以来日本で育ちます。1945年に早稲田大学に進学後、小説家を志し執筆活動をスタート。その後は1961年に近代文学賞受賞・1966年直木賞を受賞するなど活躍します。

日本人女性の妻とも結婚し、日本へ帰化。1980年に病気で亡くなるまで、日本の純文学界を牽引してきました。代表作には『恋人たち』『冬の旅』などがあります。

『恋人たち』は立原正秋初期の名作にして代表作となった作品です。1965年に光風社から発売され、のちに角川文庫から文庫版も販売されています。鎌倉を舞台にした青春群像劇で、吉本ばななも激賞している作品。

1980年にはテレビドラマ化され、根津甚八・大竹しのぶなどが出演して話題となりました。古い作品なので手に入りにくいのが難点。しかし現在は電子書籍化されていますので、気になる方は検索してみてください。

立原正秋は純文学作家でありながらも、直木賞を受賞するなど、流行作家の一面も持っていました。新聞で連載された作品も多く、そのひとつが『冬の旅』。1968年の作品で、立原正秋にとって初の新聞連載小説です。

少年院に送られた非行少年を中心としたストーリー。家族・青春・友情など普遍的なテーマでベストセラーとなりました。大人だけでなく、高校生くらいの10代の読者にもおすすめの作品です。

『残りの雪』も新聞連載小説としてヒットした作品です。こちらは1973年に日本経済新聞で連載されました。のちにドラマ化もされています。鎌倉と京都を舞台に繰り広げられる、大人のラブストーリー。

とくに鎌倉は立原正秋のゆかりの地。ほかの作品にもたびたび登場しています。『残りの雪』は美しい日本の風景描写が魅力です。上下巻にわかれており、現在では電子書籍で読むのをおすすめします。

『冬のかたみに』は1975年に新潮社から発表された作品です。のちに文庫化もされています。文学賞を受賞し新聞にも小説を連載するなど、流行作家として成功していた立原正秋が書いた自伝的作品です。

幼少期の父親の死・禅の修行・朝鮮半島出身であるが故の苦労など、立原正秋をより深く知れる長編小説となっています。感傷的になりすぎず淡々と綴られる文章からも、立原正秋の人柄が垣間見えます。

立原正秋の作品は、ドラマや映画など映像化されたものもあります。そのひとつがこちらの『白い罌粟（けし）』。1967年に吉田喜重が脚色して映画化しました。また1966年に直木賞を受賞した作品としても知られています。

もともとは1965年に『別冊文藝春秋』に発表された作品。単行本はなく、のちに新潮社から発売された『剣ヶ崎』が文庫化する際に、同時収録されています。奇妙な男に惹かれてしまう女性教師が主人公の物語。大人のラブストーリーで、多くの人の共感を呼びました。

『春の鐘』も日本経済新聞で連載された作品です。1977年に発表されました。立原正秋は1980年に亡くなっているため、晩年の傑作と言えます。1978年に新潮社から単行本が発売、のちに文庫化されています。

元大学教授で美術館館長を務める夫と、夫の留守中に恋人を作ってしまう妻。この夫婦を中心にしたストーリーです。奈良や東京が舞台となっており、立原正秋得意の風景描写を楽しめます。また随所に出てくる食べ物描写も魅力です。

立原正秋は中世の日本文化に傾倒し、創作の原点としています。能・日本庭園などを好むとともに、美食家でもありました。その感性は多くの作品にも反映されています。

それがもっとも感じられるのが、随筆集『雪舞い』です。古典文学・音楽・絵画など66のテーマにわけて書かれた文章は、日本文化の美しさをあらためて教えてくれます。

立原正秋は流行作家でもありながら、純文学作家としても活躍しました。そんな立原正秋と同じように純文学界で活躍した作家を紹介します。

• 阿部公房：1924年生まれの日本の小説家。芥川龍之介賞・谷崎潤一郎賞など文学賞を多数受賞。戦後の日本文学を牽引した人物。代表作は『砂の女』・『他人の顔』など。　

• 吉行淳之介：1924年生まれの日本の小説家。芥川龍之介賞・野間文芸賞など文学賞を多数受賞。エッセイ・対談集も人気。代表作は『砂の上の植物群』・『原色の街』など。

ここまで立原正秋のおすすめ作品を紹介してきました。純文学だけでなく流行作家としても活躍した立原正秋の作品は、幅広い方におすすめです。ぜひ記事の内容を参考にして、立原正秋の小説を手に入れてみてください。

こちらの記事もあわせてご覧ください