伊藤左千夫の小説おすすめ10選｜野菊の墓・隣の嫁など代表作を徹底解説！

伊藤左千夫は、『野菊の墓』で有名な作家ですが、歌人としても名をはせた人物です。酪農家でもあり、牛乳の販売で生計を立てていました。また一時期は政治家を志した時期もありました。伊藤左千夫が書く作品の舞台は農家が多く、小説については私小説的な部分が大きいのではないかと言われています。

伊藤左千夫が活躍した時代は明治期です。その頃は、年上の女性との恋愛が禁止されていた時代なので、『野菊の墓』をはじめ、伊藤左千夫の小説は年上の女性との悲しい恋を描いたものが多いようです。

ここでは、伊藤左千夫の代表作・おすすめ小説10選などをご紹介しますので、『野菊の墓』に感動して他の作品も読んでみたい方は、参考にぜひ最後までお読みください。

伊藤左千夫のプロフィールと経歴などについてご紹介します。

【プロフィール】

• 本名：伊藤幸次郎
• 生年月日：1864年9月18日 千葉県山武市の農家に生まれる
• 職業：酪農家・歌人・小説家
• 最終学歴：現・明治大学中退

【経歴】

• 大学中退後は牧場・豊功舎で働き数年で独立する
• 仕事が軌道に乗り、和歌・茶道を学ぶ
• 1900年に正岡子規に師事する
• 正岡子規没後は短歌雑誌『馬酔木』『アララギ』の中心となる
• 1906年に小説『野菊の墓』を発表する
• 1913年脳溢血のため48歳で死去

以上が伊藤左千夫のプロフィールと経歴です。

伊藤左千夫の代表作1つめは、『野菊の墓』です。伊藤左千夫の最も有名な作品で、3度映画化されています。正岡子規に師事していた伊藤左千夫が、子規の「写生文」に影響されて書いた小説です。

『野菊の墓』は、斎藤政夫と従姉の民子の叶わぬ悲しい恋の物語です。時代もありますが、純愛の極致ともいえる小説です。ぜひ未読の方は手に取ってみてください。

伊藤左千夫の代表作2つめは、『隣の嫁』です。本作は、伊藤左千夫の郷里である千葉県の農村が舞台の悲恋物語です。農民の子である省作は今年から農業を始めたばかりで何をやっても遅く、年下の女の子・おはまと稲の刈りくらべをしても負けそうになってしまいます。

それをこっそり手伝って助けてくれたのが隣の嫁のおとよでした。満蔵がおとよは省作を好きなのだと言い出し、噂がたってしまいます。叶うはずもない悲しい恋の物語です。

伊藤左千夫の代表作3つめは、『春の潮』です。本作は『隣の嫁』の続編です。既婚者であるおとよと省作は、プラトニックな関係ではあったものの、この時代では少し心を通わせるだけでもあってはならないものでした。

伊藤左千夫が生きた時代は、年上の女性との結婚するのも恋仲になるのもタブー視され、おとよは既婚者です。そのため叶う恋ではありません。『隣の嫁』も『春の潮』も短編なので、ぜひ読んでみてください。

伊藤左千夫の代表作4つめは、『分家』です。本作は明治時代の農村での人々の暮らしや結びつきについて書かれた小説です。とてもリアルで、農民の愚かさや幸せな様子を描写しています。

他の文豪たちの作品には、農村の人々の小説はありません。そのため伊藤左千夫の『分家』はとても貴重な小説だと言われています。明治時代の農民の生活がつぶさにわかる本作を一度手に取ってみてください。

伊藤左千夫は、正岡子規の『歌よみに与ふる書』に影響を受けて、師事しました。伊藤左千夫の短歌は、子規の「世の中の誰もが自由に和歌を詠める世界になれば、新しい短歌の世界が生まれる」との子規の精神を受け継いだものです。

正岡子規没後、伊藤左千夫は『馬酔木』と『アララギ』の中心となりました。そして島木赤彦、斎藤茂吉などを育てたのも伊藤左千夫です。伊藤左千夫はこうして正岡子規の後継者となりました。

伊藤左千夫の『野菊の墓』は、明治時代の文語体で書かれた小説です。それでは現代の人々には読みにくく、現代語訳されました。そして映画化・漫画化も多くされています。1955年に木下恵介監督で『野菊の如き君なりき』、1966年に富本壮吉監督で同タイトルで映画化されました。

1981年には松田聖子主演・澤井信一郎監督で3度目の映画化となりました。また関山美穂、かねさだ雪緒、清水めぐみらによって漫画化もされています。

伊藤左千夫は、正岡子規に師事していました。正岡子規の見たものをありのままに書く「写生文」や『歌よみに与ふる書』に大きく影響を受けました。伊藤左千夫は、この正岡子規の精神を受け継いだ作家の一人です。

伊藤左千夫の小説が好きな方は、正岡子規の短歌集もおそらく感銘を受けると思われます。以下に正岡子規のおすすめ作品をご紹介しますので、ぜひ読んでみてください。

伊藤左千夫の代表作『野菊の墓』は、長く読み継がれている永遠の純愛文学です。明治の頃の作品ですが、その純愛に心を打たれます。まったく色あせない、いつの時代の人々にも感動を与える伊藤左千夫の名作です。未読の方は、ぜひ手に取ってみてください。

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