千早茜の小説おすすめ15選｜新刊や受賞作も紹介！人気の『男ともだち』など」

食べ物に関係した作品を読んでみたいけれど、自分の好みに合うかな、と悩んだ経験はありませんか。千早茜の小説は食に関係した作品が多くあり、おすすめです。独創的な表現の作品を読みたい方にもぜひ読んでほしい作品です。

千早茜の作品は、食や植物に関した物語やエッセイを、独創的でひき込まれる文体で表現しています。『男ともだち』などの受賞作だけでなく、エッセイも人気のある作品となっています。

こちらの記事では、千早茜の経歴や受賞歴、手掛ける小説・エッセイの見どころ、また、おすすめの小説の選び方について説明します。受賞作やその他のおすすめ作品も何作か口コミと一緒に紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

千早茜は、1979年8月2日生まれ、北海道江別市出身です。現在は、京都府在住です。国際協力機構に勤める父親の仕事の関係で、小学校1年生から4年生までをアフリカのザンビアで過ごしました。

学生の時には美術活動を主にしていました。絵に自作の詩を書いた作品を発表すると、詩が好評で、友人から頼まれて映画部のストーリー作成を始めました。それ以降、寺山修司に影響されて詩を多く書き、その詩をまとめた『魚神』がデビュー作となりました。

千早茜は、デビュー作『魚神』で2008年に小説すばる新人賞を受賞した後も、多くの賞を受賞しています。小説すばる新人賞の翌年には、同じ『魚神』で泉鏡花文学賞を受賞しました。2013年には、『あとかた』で島清恋愛文学賞を受賞します。

『男ともだち』では新井賞を受賞し、『透明な夜の香り』では渡辺淳一文学賞を受賞と、次々と賞を獲得していきました。直木賞や山田風太郎賞の候補にも選ばれ、その勢いはとどまることを知りません。

千早茜の作品は、食にまつわるものが多いのが特徴の一つです。パティシエになろうと思った時期があり、食のエッセイも読んでいた千早茜だからこそ書ける、食の描写が独創的で面白いと人気があります。

また、芸術を学んでいたからこそ表せる美的感覚、犯罪心理学に関心をもったからこそ描ける心の不安定さが合わさっているのも特徴です。カタカナ用語や固有名詞が少ない千早茜のこだわりによって、いつ読んでも古臭くならない普遍性も魅力です。

『神様の暇つぶし』は、重めの恋愛小説です。主人公・柏木藤子は、父親を亡くして間もなく、腕を大けがで血まみれにした男に恋をします。

女癖の悪い全への初恋は、甘酸っぱいものではなく重く苦しいものでした。生と死と愛が器用に織り込まれているこの作品は、思わず引き込まれてしまうダークな恋愛を描いています。

『わるい食べもの』は、WEBで連載された話題のエッセイです。「食」がテーマになっていて、幼少期の思い出や創作の裏側、また世の中への疑問までさまざまなことがつづってあります。

アフリカにいたときに経験した、米とアイデンティティの関係性や、おしゃれなカフェで体にいいメニューを選んだら「鳥の餌」になった話などが面白おかしく書かれています。

『魚神』は、第21回小説すばる新人賞・泉鏡花文学賞を受賞した作品です。閉ざされ独自の文化が息づいた島に住む、美貌の姉弟・白亜とスケキヨが主人公です。二人は、年頃になり引き裂かれてしまいます。

白亜は女郎、スケキヨは薬売りとして生き、会いたいと願うものの拒絶を恐れて近づけない二人。二人の運命が、島の雷魚伝説と交錯する悲しく美しい物語です。

第20回島清恋愛文学賞を受賞した『あとか』」は、痛くて優しい連作短編小説です。この作品の筋となっているのは「のこす」です。さまざまな男女の交わりと、痛さを感じるほどの緊張感が、一話ごとに剥がれていき、最後には愛の形が剥き出しになって浮かびあがります。

言葉にすると消えてしまうようなはかない感情の、最奥まで踏み込んで描ききった恋愛小説です。

第1回新井賞を受賞し、直木賞や吉川英治文学新人賞の候補にも挙がった『男ともだち』は、切なくも心温まる作品です。男女間の友達という成り立ちそうで成り立たない難しい関係性を、魅力的な主人公を中心に紡ぎだしています。

29歳の女性のリアルな気持ちや感情と、男女間の友達関係を描き、大きな反響を巻き起こした作品です。

『透明な夜の香り』は、第6回渡辺淳一文学賞を受賞した作品です。一香は、新しく古い洋館の家事手伝いのアルバイトを始めました。洋館では、調香師の小川朔が「香り」を作る仕事をしています。

さまざまな事情を抱えた依頼人が訪れる洋館。色とりどりの世界と、香りが感じられるような圧倒的な表現力を楽しめます。

『胃が合うふたり』は、『yom yom』で連載された人気の作品です。千早茜とカリスマ書店員・ストリッパーの新井見枝香が交換日記のように、自分の周りで起きたことや食べ物について語るエッセイ集です。

胃が合う2人の食べっぷりと、たっぷりと考える大人の友情が描かれていて、読むと心が満腹になります。

『しろがねの葉』は、『小説新潮』で連載された時代小説です。戦国末期の、シルバーラッシュに沸く石見銀山がこの作品の舞台です。少女ウメは、天才山師・喜兵衛に拾われて、坑道で働き始めます。

しかし、ウメは欲望と死の渦巻く世界に投げ出されることになってしまいます。生きることの官能を描いた大河長篇小説です。

『ひきなみ』は『野性時代』にて連載されました。葉は真以とずっと一緒にいるものだ、と考えていました。しかし、真以は脱獄犯の男と島から逃げて行方をくらませます。

裏切られたと葉は感じ、東京へ戻り年月が過ぎていきました。ある日、大人になった葉は、陶芸工房のHPで真以を見つけ…。上辺だけの関係ではない二人の関係性にひき込まれる作品です。

『クローゼット』は、18世紀から現代までの洋服が1万点以上眠っている美術館が舞台になっています。秘密に束縛されて、男性恐怖症の洋服補修士の女・纏子（まきこ）と、女性服が好きなだけで傷ついた過去を持つ男・芳（かおる）。

ふたりが美術館で出会い、物語は進んでいきます。洋服が好きな方にはぜひ読んでほしい、洋服が愛しくなる作品です。

『ガーデン』の主人公は、帰国子女の植物男子・羽野くんです。帰国子女だとは公にせず、居心地いい一人の庭に引きこもる羽野くんの生態が描かれた作品です。羽野くんから見た”花”と”女”の対比が面白い感動作です。

濃密な植物と花の匂いが、その場で感じられるかのような美しい描写が特徴。恋愛に消極的な男子の内面が知りたい方におすすめです。

千早茜は、単行本だけではなくアンソロジー作品も手掛けています。『あなたとなら食べてもいい」』は、遠藤彩見・田中兆子・神田茜・深沢潮・柚木麻子・町田そのこらと手掛けた、色とりどりの食べものがたりに、思わず舌鼓を打つ絶品アンソロジーです。

他にも『本をめぐる物語』『きみのために棘を生やすの』『女ともだち』など多彩なジャンルで作品を執筆しているので、アンソロジー作品にも注目してみてください。

千早茜の小説は、食べ物や植物の描写が美しく独創的です。小説・エッセイを読んでいると、思わず舌鼓を打ったり、香りを感じられた気がすることもあるかもしれません。ぜひ千早茜の小説にのめり込んでみてください。こちらもあわせてご覧ください。