桜木紫乃の小説おすすめ18選｜直木賞受賞の『ホテルローヤル』から最新刊まで紹介

ヒューマンドラマが好きな方は、桜木紫乃の小説がおすすめです。桜木紫乃は、性愛をテーマにしている『ホテルローヤル』をはじめ、切ない展開も魅力の作品を生み出している作家です。

また、短編集として文庫も多めに出版されているのでサクサク本を読みたい方にも向いています。短編だけでなく、読み応えのある長編も魅力です。

この記事では、桜木紫乃の代表作品だけでなく、選び方を紹介します。参考にしながら、自分好みの本を探してください。

桜木紫乃は、もともと作家として同人誌を介して活動していました。デビューは2007年で、第149回直木賞を受賞した『ホテルローヤル』で注目を集めました。

また、作家として活動しながら、『金澤 伊代』というペンネームで詩人としても活動しています。詩集の出版だけでなく、作詞も担当しておりマルチな才能を発揮している人物です。

作風としては『ホテルローヤル』では父親が経営していたラブホテルを題材しており、その他の作品でも出身地である北海道を舞台にしている作品が多く見受けられます。

短編から長編まで作品を執筆している桜木紫乃ですが、その作品には他の作家には見られない特徴があります。どのような特徴を持つのか紹介しているので、参考にしてください。

桜木紫乃は、性愛をテーマにしている作品が多いです。エロチシズムにフォーカスするのではなく、本能に逆らえないからこそ生み出される悲しみを描写している点が特徴です。そのためエロティックな描写は控えめで、苦手意識がある方も読みやすいです。

特に『ホテルローヤル』では父親が経営していたラブホテルを手伝っていた経験に基づいて描写されており、性愛文学として評価の高い作品として挙げられます。

桜木紫乃の小説で評価が高い点として挙げられるのが、切ない展開です。『ラブレス』では貧しい暮らしのなか、理不尽な目に晒される姉妹たちの姿に胸が締め付けられます。

また、『ワン・モア』では癌で余命わずかな友人と主人公のやりとりを描いています。作品によって全く異なる切り口で描かれる切ない展開で生み出されるヒューマンドラマが魅力です。

サクサク本を読みたい方に桜木紫乃の本がおすすめされるのは、短編集が多いからです。『ワン・モア』や『誰もいない夜に咲く』などを始め、複数の短編がまとめられている文庫はスキマ時間でも読みやすいです。

また、短編集ではさまざまな人物の人生を描いています。共感できる部分もあれば、新たな価値観に触れ合えるのも楽しめる要素です。

さまざまな形式で作品を生み出している桜木紫乃。なかには代表作と呼ばれている評価の高い作品も多いです。作品ごとにその魅力を紹介しているので、本選びの参考にしてください。

『ホテルローヤル』は、とあるラブホテルを舞台に綴られる短編集です。この作品は、第149回直木賞受賞し、メディアミックスとして映画化もされました。

内容としては群像劇を彷彿とさせる構成となっており、短編に登場する人物や時間軸がリンクしています。性愛を通して、切ない展開が楽しめる作品です。

桜木紫乃の父親はラブホテルを経営しており、桜木紫乃自身も手伝いをしていた過去があり、実体験も基にした小説です。短編集のなかには経営者の家族が登場するものもあり、桜木紫乃のルーツを感じさせてくれます。

『家族じまい』は、認知症を患った母とその介護をする夫婦、そしてその子どもたちを描いた作品です。作品のタイトルは『墓じまい』にもじって「かぞくじまい」と命名されました。あらすじとしては、北海道で暮らす夫婦に主人公の妹から連絡があり、「母が認知症になった」と伝えられます。

この作品は短編形式で、それぞれの視点から物語が綴られていきます。基本的に雰囲気は重めですが、リアリティの高い作品です。

『ラブレス』は、昭和初期の北海道を舞台にした作品です。主人公の姉妹は、極貧生活を余儀なくされており、それでも強く生きようとする姿を描いています。昭和初期の北海道は、第2期北海道拓殖計画が発足された時期で現代のような環境ではありませんでした。

過酷な環境のなか、姉妹が理不尽な目に遭う展開は切ない気持ちにさせてくれます。しかし、だからこそ生き抜こうとする姿に、励まされます。

『緋の河』は、カルーセル麻紀をモデルにした小説です。昭和24年の釧路を舞台にしており、主人公の平川秀男を中心に物語が描かれます。平川秀男はキレイな女性になりたいと夢を持ちますが、当時の価値観では許されるものではありませんでした。

しかし、夢を諦めずに札幌を離れて芸能界へ足を踏み込んでいこうとする姿は胸を打たれます。現代においても夢や目標を目指している方にとって共感できる部分が多い作品です。

短編集が好きな方は『氷平線』がおすすめです。『氷平線』は北海道を舞台にした作品で、さまざまな男女の人生模様を描いています。性愛をテーマにしつつも、北海道の寒々しい描写も相まって物悲しい雰囲気を楽しめる作品です。また、登場する人物のさまざまな価値観に触れられるのも魅力です。

ノワール小説が好きな方は、『ブルース』を選んでください。『ブルース』は、北海道の釧路や札幌など複数の地域を舞台にした作品です。内容としては影山博人を中心に、関係を持った人々の視点で展開が進んでいきます。

桜木紫乃の作品は性愛やヒューマンドラマを題材にしたものが多いですが、それに加えてノワール小説の世界観が盛り込まれているのが特徴です。この作品は続編となる『ブルースRed』も出版されました。

『孤蝶の城』は、2022年5月に出版された最新刊です。『緋の河』の続編で、平川秀男が女性として性転換を行い、再び芸能界に身を投じる話が描かれていきます。夢を叶えた平川秀男でしたが、厳しい芸能界で次々と困難に見舞われていき、どのような結末を辿るのかが見どころです。

桜木紫乃の小説は、メディアミックスもされている作品も多いです。『ホテルローヤル』などの映画や、『氷の轍』のドラマなど幅広い媒体で映像化されています。小説の雰囲気とはまた違った形式で楽しめるのが魅力です。

桜木紫乃の小説は性愛をメインテーマにしつつ、切ない展開とヒューマンドラマが楽しめるのでおすすめです。代表作のなかにはメディアミックスもされている作品もあるので、小説以外の媒体でも桜木紫乃の世界観に浸ってみましょう。

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