宮崎学のノンフィクション小説おすすめ13選 | 波瀾万丈な自伝・ヤクザの実情に迫る！

「突破者」とは元々、「無法者・ツッパリ」を意味する関西地方の古い言葉です。この言葉を全国的に広めたのは宮崎学であり、宮崎学自身が「突破者」を体現した人物でした。

ヤクザの家に生まれた宮崎学は幼少期からアウトローとしての生き方を身に付ける一方で、学生・記者として実生活に役立つ豊富な知見・情報網を獲得。異色の小説家として多くの著作物を残しています。その数は非常に多く、どのように選べばいいか悩みがちです。

以上を踏まえ、本記事では宮崎学小説の選び方・おすすめ作品13選をご紹介します。盛りだくさんの情報をまとめましたので、ぜひ最後までご覧ください。

宮崎学は「小説家」の肩書ではまとめられないほどの経歴を持った人物です。出身は京都府の被差別部落で、父はヤクザ・母は博徒の家柄でした。そのため、青年時代にはヤクザ稼業の手伝いも請け負っています。

フリー記者として就職したものの、並外れた情報網と踏み込んだ取材力ゆえに、1984年のグリコ・森永事件では真犯人の容疑がかかったほど。1996年にはデビュー作『突破者』を発表、以降言論人としてテレビ出演の機会が多くなりました。なお2022年3月に惜しまれつつ死去しています。

宮崎学の小説の特徴・魅力を簡単にまとめると、タブー視されがちなテーマを鋭い視点で文章化している点です。ヤクザ・博徒の家に生まれた出自、ジャーナリストとして活動した経歴・情報網などを活かし、アウトローとみなされるグレーな業界・分野の実情を鋭く描いています。

さらに、グレーゾーンの経済は表の経済活動と表裏一体であると指摘。多くのメディア・言論人が避けて通るテーマに切り込んでいます。なお2000年に公開された映画『突破者太陽傳』は宮崎学の原作によるもので、ファン以外からも多くの話題と感動を呼びました。

宮崎学の自伝『突破者』は、1996年に発表されたデビュー作。突破者シリーズはいくつかあるものの原点は本作であり、傑作との呼び声も高いです。内容はヤクザ・博徒の親を持つ自身の半生を描いたものでした。

被差別部落で生まれ育ち侮辱・差別に苦しんだ幼少期や、ヤクザ稼業の手伝い・学生運動に明け暮れた大学時代・フリー記者時代のエピソードなどが鮮明に記されています。

中でも目を引くのが、1984年に「グリコ森永事件」の犯人容疑をかけられた件。グリコ社の内情に詳しかっただけでなく、警察発表の似顔絵が宮崎学に酷似していたのです。ちなみにアリバイがあったため、嫌疑不十分で釈放されたことが明らかになっています。

宮崎学が語るヤクザの歴史は、「近代日本の発展に欠かせない存在だった」とする斬新な内容です。代表的な作品が『ヤクザと日本―近代の無頼』で、宮崎学によれば土建・火消し・的屋・港湾荷役といった人手・人足の役回りは、元々ヤクザが担っていたといいます。

また芸能・芸事でさえもヤクザとは切っても切れない関係にあり、暴力ならずとも「力」「人数」の要素はいつの時代も必ず存在するとのこと。日本の歴史・体制を語る上で欠かせないポイントの1つ、ヤクザの歴史を理解するのに相応しい1作です。

裏経済に関する分析・解説は、アウトローとしての下地を持つ宮崎学の真骨頂です。著作の中でも代表格は、『地下経済―この国を動かしている本当のカネの流れ』。いわゆる裏金・闇金融の類にスポットを当てているわけではなく、「表に出ている経済活動には少なからず裏の側面もある」と喝破する内容です。

宮崎学によれば、圧倒的なシェアを持つ大企業はポジティブなイメージを維持するために膨大な広告宣伝費を投じ、その傍らでネガティブな情報を伏せるべく、TVメディア・専門家などにも金をばらまいているとのこと。経済ニュースを見聞きする際に示唆深い1作です。

宮崎学の分析・考察はアウトロー・経済の分野だけではなく、現代社会をもカバーしています。代表作は『日本人のための新「幸福論」』で、ジャーナリストの田原 総一朗・元外交官の佐藤優をまじえた豪華な対談本です。

東日本大震災後間もない2012年4月に発表された作品ながら、今なお示唆に富む内容。金を得るためだけに仕事するのでなく、自分の仕事に価値を生み出すことの重要性が説かれています。シビアな現状分析を行いつつも、対談の方向性としては前向きで希望のあるものです。

2021年7月発表の『突破者の遺言』 は、奇しくも宮崎学の遺作となった小説です。元々『月刊日本』で連載していた内容を単行本として刊行したもので、宮崎学も自身の先を見越して「思う存分好き勝手に書いてやろう」と決意しています。

本書の核心は、民族としての日本人の自尊心・生き方を問うもの。戦後の75年間で日本人はゴマ擦り・世渡り上手の民族に落ちぶれてしまったが、若い世代は違う道を行くべきだと喝破しています。

宮崎学の経歴・発言は刺激的でセンセーショナルですが、その根底にあるのは深い洞察力と知性です。宮崎学の著作は現代社会を生きるために役立つ示唆にあふれています。本記事を参考に、ぜひ宮崎学の知恵を生活に取り入れてください。

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