開高健の小説おすすめ作品20選｜作品の特徴や名言も紹介！

開高健が行動派の作家といわれる由縁は、ノンフィクションにこだわり抜いた作品を多数残したことにあります。濃い実体験を求めて世界を駆け巡る姿がまるで旅人のように見える作家でもありました。

開高健のノンフィクション小説で有名なのは、ジャーナリストとしてベトナム戦争を取材した際の「闇三部作」といわれるシリーズです。これだと思うと突っ走るフットワークの軽さと鮮烈な体験を濃密に記す文章力は彼の最大の特徴です。

この記事では、開高健について、彼の人間的な魅力と作品の特徴・作品の選び方のヒント・おすすめ作品などを詳しくわかりやすくご紹介していきます。開高健のパワフルな生き様が詰まった作品をぜひ楽しんでみてください！

開高健は作家としていくつもの顔を持っていました。学生時代から同人誌で文章を書いていた開高健は、サントリーに務めているときにコピーライターとして頭角を現します。そのうちに芥川賞を受賞し、会社を辞め専業フィクション作家になります。

しかし、フィクションに行き詰まりを感じた彼は、次にルポライターとしてベトナムの戦場へ飛び出しました。そこで代表作でもあり最高傑作と呼ばれる闇三部作を執筆します。晩年は釣りと食にこだわる作家として生き、58歳の若さで食道がんを死因に亡くなりました。

ここでは、開高健の作品の特徴と魅力をご紹介していきます。キーポイントは「リアリティー」「開高節」「私小説との折り合い」の3つです。順番にご説明していきますので参考にしてくだい。

コピーライターからフィクション作家、そしてジャーナリストからフィッシャーマンへの転向ぶりを見ても、開高健はとても行動が早い人間だとわかります。しかもすべてのジャンルで一流になっているのが、手を抜かず真剣に向き合っている証拠です。

ジャーナリストから亡くなるまではリアリティーを極めるためにアクティブに行動しています。

コピーライターだった頃に生み出した文体は開高節と呼ばれています。擬音を上手に取り入れたり、畳みかけるように言葉を重ねたりする開高健独自の文体です。このリズミカルな文体のファンはとても多く、開高健を読んですぐ他の作家の文体を読むと物足りなさを感じるようです。

自分の書きたいように、さらに読者がどう読むかまでを考えて書く作家です。

開高健は、純文学の基本でもある私小説を嫌っていました。好き嫌いがはっきりしている開高健としては、私小説にどうしても納得がいかなかったのですが、ベトナム戦争の取材中からは「私」が語り手になる作品が増えます。

最後の作品まで、私小説を嫌う自分と書いてしまう自分の矛盾と戦いながら葛藤していたようです。

開高健の人気作品をジャンル別にご紹介していきます。開高健はさまざまな分野で成功していて視野や見聞が広く、多彩なジャンルの作品がすべて人気です。スケールの大きな作品をぜひ楽しんでください。

開高健がフィクション作家の頃に書いた小説は、そのうちひとつが芥川賞を受賞するほどの名作です。特徴としては、フィクションといえども、実社会の問題提起を明確に示しているのが開高健らしい点といえます。

受賞作「裸の王様」は、社会の組織意識に飲み込まれがちな個人の心や個性への問題提起で、巧みな構成力と文章力でぐっと読み込ませます。『パニック』も、組織内での保身を命がけで守る人間の愚かさを風刺しています。

• 裸の王様
• パニック

フィクション小説に見切りをつけた開高健は、朝日新聞社の特派員としてベトナム戦争を取材しに現地へ赴きました。ベトナムでの危険な取材や生活の合間にドキュメンタリー作品をしっかり残しています。

『ベトナム戦記』では、最前線にまで行き、反政府ゲリラからの総攻撃を受けてあわや生き残ったリアルや、攻撃を受けて亡くなる人間の描写や戦争の現実を伝える詳細な記録を記しています。ベトナムを再来し続編として『イゴンの十字架』も書いています。

• ベトナム戦記
• サイゴンの十字架

晩年の開高健は、釣りとグルメをテーマに作品を書いています。どちらも開高健らしくスケールの大きなテーマで、世界中を周り怪魚を釣り上げるなど豪快な姿が新しいファンを引き付けました。グルメでは各国でなんでも片っ端から食す旅もしています。

『オーパ！』は、海外での過酷な釣りツアーを決行した様子が描かれている作品で、大ヒットしています。『食の王様』では、世界のあらゆる酒を飲みネズミを食べるなどの記録もあります。

• オーパ！
• 食の王様

開高健の最高傑作といわれるのが闇三部作です。『輝ける闇』『夏の闇』『花終わる闇』の3冊があり、花終わる闇は未完です。初めてのベトナム現地取材から3年後に当時の恐怖や感覚をまとめた小説が輝ける闇です。

そのまた3年後に本人が「第二の処女作」と銘打ったのが夏の闇、亡くなるまでに完結しなかったのが『花終わる闇』となっています。戦争と主人公の心境の変化に重みのある内容で、開高健好きならだれもが読んでいる闇シリーズです。

• 輝ける闇
• 夏の闇
• 花終わる闇

開高健は対談集もたくさん出版されています。取材も得意だった開高健が、そもそも人間との対話が好きだったことが伺えます。対談内容も対談相手もさまざまで、酒・グルメ・釣りなどについて悠々とした開高健の会話を楽しめます。

雑誌の企画での対談も多く、また、対談ではなくとも読者の質問に答えるコーナーなども豪快でユニークな解答で大ウケしていました。開高健の独特のシニカルさ・風刺・逆説・警句を知りたい方におすすめです。

• もっと笑いを！
• 対談集・黄昏の一杯

開高健の作品は映画化もされています。『巨人と玩具』は1957年に文芸誌『文学界』に掲載され、翌年に映画化されています。マスコミ社会を風刺する内容で、マスコミの力を信じすぎる業界内の人間を面白おかしく描いています。

『証人の椅子』は、1965年に映画化されています。冤罪で重刑を課せられた女性が諦めたあと、親族が真実を突き止め弁護士と協力して裁判所に立ち向かいます。嘘の証言をした少年に事実を証言させることができるのかどうかは見てのお楽しみです。

• 巨人と玩具
• 証人の椅子

開高健の作品にはいろいろな読み方があります。紙の書籍の他、kindleなどの電子書籍サービスで気軽に購入するのもおすすめです。没後まだそんなに長年が経っていない開高健の作品はまだ青空文庫にはありません。

「リスボ」というオーディオブックでは、開高健の肉声の講演が聴けますので、気になる方はぜひチェックしてみてください。どんな読み方でも楽しめるので、開高健の素晴らしい作品に積極的に触れてみてください。

才能のある作家には逸話がつきものですが、開高健にも面白い逸話がたくさんあります。豪快な性格だった彼らしいエピソードを知って、より楽しく作品を読んでみてください。

開高健は決して作品数が膨大な作家ではありません。エッセイや対談などは多いですが、小説は少ないです。闇の三部作の最後の作品は亡くなる前に書ききれませんでした。遅筆だった開高健は、芥川賞受賞後の作品が間に合わず、講談社に提出済みの作品を回収して提出します。

このことから、講談社からはその後16年間絶縁されていました。

対談や雑誌のコーナーなどでよく言っていたのが「長編作家が嫌い」「知識人志向の作家が嫌い」といった趣旨の話でした。長編作家とは具体的にはドストエフスキーで、知識人志向の大江健三郎との仲はかなり絶妙でした。

開高健は、知識人になるよりも自由に行動して作品を書く人間でありたかったのです。

開高健は一流のコピーライターでもあったため、名言も美しくまとまった言葉が多いです。「心はアマ、腕はプロ」や「howはわかるけどwhyはわからない」などは、開高健の性格をよく言い表しています。

また、「無駄をおそれてはいけないし無駄を軽蔑してはいけない。何が無駄で何が無駄でないかはわからない」は、行動に勇気を与えてくれます。

行動派の作家・開高健について、その魅力・作品の選び方・おすすめ商品などをわかりやすくご紹介しました。ぜひ記事を参考に開高健に注目し、独自の強さとリアリティー溢れる作品を楽しんでみてください！

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