【最高傑作】多和田葉子の小説おすすめ5選｜代表作「犬婿入り」から新作まで紹介

多和田葉子は、海外でも高く評価されている小説家の一人として知られています。代表作には『婿入り』『容疑者の夜行列車』『尼僧とキューピットの弓』などあります。国境や言語にとらわれない作風が人気です。

また多和田葉子の『献灯使』は、日本語でしかできない言葉遊びをふんだんに取り入れられているのが特徴です。しかし、多和田葉子の作品をこれから読もうと思っているけれど、どの作品から読んだらいいのか分からない方も多いですよね。

この記事では、多和田葉子の経歴・小説の代表作・三部作・おすすめ5選・連載小説・エッセイ・新作について解説します。これから多和田葉子の小説を読もうと思っている方は、ぜひこの記事を参考に選んでみてください。

多和田葉子は1960年東京生まれです。22歳のときにドイツに渡りながら、ハンブルク大学で修士課程を終了します。1987年にはドイツで2カ国語の詩集を出版しデビューしました。また、2001年にはドイツの永住権を取得します。国境や言語にとらわれない作風で読み手の関心を引き出しているのが特徴です。

多和田葉子は、日本語とドイツ語で主に作品を手掛けています。これまで執筆した作品の中では、20冊以上がドイツ語でも出版されているのが特徴です。

ドイツ語以外にも、フランス語・スペイン語・イタリア語・中国語・韓国語などの翻訳も出ています。作品の中には、一冊の本にドイツ語と日本語の2枚の表紙が付属されているものもあります。

多和田葉子は、これまでに数多くの国内文学賞を受賞します。具体的には、芥川龍之介賞・谷崎潤一郎賞・紫式部文学賞・伊藤整文学賞などです。受賞歴は1991〜2020年までとなっており、これまでにさまざまな文学賞を受賞します。期間だけをみても献身的に活動されているのが分かります。

多和田葉子は、ノーベル賞受賞候補として名前が挙がったとされています。これは10月8日（2020年）に発表されたノーベル文学賞です。正式には候補者は公表されませんが、村上春樹とともに候補者として名前が挙がったと言われています。

そのほかにも『献灯使』の英語版では、イギリスを代表する文学賞である全米図書賞を受けた経験があります。

『犬婿入り』は芥川龍之介賞を受賞した作品です。民話の世界を新しい感覚で取り入れた作品になっています。『犬婿入り』と『ペルソナ』の2作を収録した作品です。多摩川べりのあふれた町の学習塾は「キタナラ塾」の愛称で子どもたちから人気を集めています。

北村先生が『犬婿入り』の話をしていたら本当に犬男の太郎さんが押しかけてきて、奇妙な同棲生活が始まるといった話です。ストーリー展開が早くテンポのいい作品となっています。

『容疑者の夜行列車』は、谷崎潤一郎賞を受賞した作品です。ストーリーとしては、旅人のあなたを待ち受ける奇妙な乗客と残酷な歓待が中心です。宙返りする言葉を武器にしあなたを国境を超えていけるのか、といった場面が物語の見どころとなっています。

この小説は文章にキレがあり、読んでいて純粋な面白さを感じられる作品です。また、日本語が鮮明に感じられる・無駄のない研ぎ澄まされた言葉の組み合わせで物語ができているのを感じる、といった声もありました。

『尼僧とキューピットの弓』は、紫式部文学賞を受賞した作品です。ストーリーは、ドイツの古い修道院に暮らす尼僧たちの聖俗も超越した共同生活となっています。また、官能矢に射られて駆け落ちした尼僧院長をめぐる噂と、内面の真実も描かれているのが特徴です。

独特な雰囲気が特徴のお話で、ドイツの生活風景を身近に感じられる作品となっています。主人公が人やモノに出会った時に感じられる心の揺らぎ・きらめきが程よく描かれており、読んでいて心地いいです。

『雪の練習生』は、野間文芸賞を受賞した作品です。ホッキョクグマ三代の物語をユーモラスに描かれてた作品となっています。小説家・サーカス団員・動物園の人気者としてそれぞれ生きた三頭が描かれます。

また、『雪の練習生』は不思議で懐かしい世界観・的確に繰り出される言葉のリズムに心地よく読み進められる作品となっています。まるでゆりかごに揺られているかのような、ふかふかした気持ちになるのが魅力的な作品で、今作を最高傑作だと評する口コミも見られます。

『献灯使』は日本語ならではの言葉遊びが多い作品です。この作品は、全米図書賞（翻訳文学部門）を受賞した作品でもあります。舞台は、大災厄に見舞われ外来語・自動車・インターネットも無くなってしまった鎖国状態の日本です。登場人物である無名は『献灯使』として日本から旅立つ運命となります。

この作品は、近未来の不気味な世界が描かれているのが特徴的です。フィクションであるからこそ読みやすく、深刻な問題を考える機会を作ってくれる作品となっています。

多和田葉子は、これまで一作ごとに新たな境地を切り開いてきました。しかし、最近では初の三部作構成の作品を執筆しています。具体的には第一部作『地球にちりばめられて』（2018年）・第二部作『星に仄（ほの）めかされて』（2020年）・第三部作『太陽諸島』（2022年）です。

この物語は、言葉で結びついた仲間たちの、文化・人・国境を超えた壮絶な物語となっています。多和田葉子が文学の新しい地平へと読者を連れ出してくれているのが特徴で、新たな代表作と言える作品です。

多和田葉子は2022年2月1日から朝日新聞の連載小説で、『白鶴亮翅（はっかくりょうし）』を執筆しています。2022年8月に連載は終了し、2023年5月に書籍化されました。連載終了後の対談で、多和田葉子は本作の重要な主題は「歴史」だと語っています。

本作は、国際色豊かなドイツの首都ベルリンを舞台に、そこに暮らす人々と歴史が交錯する織物のようなお話です。多和田葉子の新聞での連載は初めてと言われています。グリム童話・シェークスピア・ドストエフスキーなどさまざまな古典文学が引用されている作品です。

多和田葉子は小説のほかにも、エッセイストとしての顔も持っています。ここからは、多和田葉子の人気のエッセイを3つ紹介します。まだ多和田葉子のエッセイを読んだ経験がない方は下記で詳しく紹介しますので、ぜひ一度目を通してみてください。

• エクソフォニー・・・2003年出版。活字な苦手な方にも読みやすい
• 溶ける街 透ける路・・・2007年出版。言葉の旅ができる
• 言葉と歩く日記・・・2013年出版。多和田葉子の自分観察日記

多和田葉子の新作は、『カタコトのうわごと』『にごりえ現代語訳・樋口一葉』が挙げられます。どちらの作品も2022年に出版された作品です。『カタコトのうわごと』は、多和田葉子の第一エッセイとして知られています。

また、『にごりえ現代語訳・樋口一葉』は豪華作家陣による現代語訳です。どちらの作品もAmazon・楽天などで購入できます。多和田葉子の新作が気になる方はぜひ、購入を検討してみてください。

多和田葉子作品の世界観が好きな方には、金井美恵子や柴崎友香の小説もおすすめです。どちらも、文壇で高い評価を受けており、詩的な文体で想像力がかき立てられる小説が多いのが特徴です。

金井美恵子の代表作には「愛の生活」・「兎」、柴崎友香の代表作には「主題歌」・芥川賞受賞作でもある「春の庭」などがあります。ぜひ手に取ってみてください。

多和田葉子の経歴・小説の代表作・三部作・おすすめ小説5選・連載小説・エッセイ・新作について解説してきました。多和田葉子は海外でも高く評価されている小説家の一人です。これから多和田葉子の作品を読もうと思っている方は、ぜひ上記で紹介した作品から読むのをおすすめします。また、以下の記事も参考にしてください。