畠中恵のおすすめの小説10選｜プロフィールから人気シリーズまで詳しく紹介

畠中恵の小説といえば、デビュー作でその後にシリーズ化した『しゃばけ』が何といっても有名です。これ以外にもシリーズ化している作品があり、読む人を惹き付けてきました。

作品の多くは妖（あやかし）・ミステリー・ファンタジーなどの要素と江戸から明治初期までの時代を掛け合わせたもの。登場するキャラクターたちが事件や出来事に向き合う真っ直ぐな姿を、どこかほんわかとしたムードの中で描いています。

畠中恵はたくさんの小説を世に送り出しているため、どれから読んだらいいのか迷いますよね。そこで、おすすめとして10冊をピックアップしました。簡単なあらすじもご紹介するので、気になった作品から楽しんでくださいね。

1959年に高知県で生まれた畠中恵。名古屋造形芸術短期大学に進学し、1988年に小学館で漫画家となるプロフィールを持っています。

しかし、アシスタントやイラストレーターを兼ねながらの生活により、自身でストーリーを描きたい気持ちが大きくなっていきます。その後ファンだった推理・SF作家の都筑道夫の小説家講座に通い、2001年に小説家としてデビューしました。

畠中恵作品といえば歴史時代小説ですが、その多くに現れるのが「妖」です。妖は道理を超えた奇怪な現象を引き起こし、人間を脅かす怖い存在です。ところが作中のキャラクターはほのぼのとした愛嬌のある性格で、人間をサポートする存在として登場します。不思議な物語でも冒頭からすんなりと入り込めるのも魅力です。

畠中恵の小説はシリーズ化した作品が多数です。なかでも『しゃばけ』シリーズは、発売期間が20年以上にわたり、今でもお話は継続中です。人気シリーズを設定されている時代により2つに分類したので、選ぶ際の参考にしてくださいね。

まずは畠中恵の作品を語る上で外せない、江戸時代を舞台にした4シリーズをラインナップしました。「妖」が活躍する作品もあれば、出演しない作品も。どれも時代特有の味わいがあり、スルスルと読みやすくなっています。

シリーズ累計940万部を突破した大人気シリーズがこちら。デビュー作の『しゃばけ』では第13回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞し、2016年にはしゃばけシリーズが第1回吉川英治文庫賞に輝きました。

長崎屋の病弱な若旦那、一太郎が妖とともに事件を解決していく物語です。悲しい結末にしんみりしたり、一太郎と妖とのやり取りにほんわかとしたり。『ぬしさまへ』のように短編集が主流で漫画にもなっています。

まんまことシリーズは妖が出こない江戸時代の神田を舞台にした小説です。1冊完結型なのでどの本からでも読めます。人情に触れながら物語は進んでいきます。

町のもめごとは名主が裁定していたころ。町名主の跡取りの高橋麻之助は、悪友とともに「まんまこと（真実）」を探しながら難題をおさめていきます。恋愛も含まれた心温まるお話で、日々そこで生活している人々の絶え間ない息遣いが感じられます。

つくもがみシリーズには、長い月日を経てものに宿るといわれる「つくもがみ」が登場します。2018年にアニメ化もされました。江戸の深川で道具をレンタルする出雲屋に住み、大事にされてきた古道具たちは、噂好きでおせっかい。おやつを楽しみにしている愛すべきキャラクターです。貸し出し先で起きる騒動に釘付けになります。

姫様人形が事件を解決していくのが、まことの華姫シリーズです。現在3冊が出版されています。当時の人々の喜怒哀楽に触れられる作品です。

江戸一の賑わいがあった両国でのお話で、見世物小屋には人形のお華とそれを操る月草がおりました。その人形のお華が「まこと」を話すと評判に。江戸の人々が抱える問題にかわいい顔をしながら毒舌で答えていきます。

畠中恵作品といえば江戸時代を舞台にしたイメージが強いですが、明治時代や現代を扱った作品もあります。「妖」が関わるお話を含めた3シリーズをご紹介します。

畠中恵は古本屋にある本のタイトルから小説の着想を得るときも。若様組シリーズはその一つです。

明治20年ころ、東京築地付近で西洋菓子を扱う風琴屋に警官たち「若様組」が甘い香りに惹かれてやってきます。そんな日常に謎が起こりながら進む物語です。やがて、戦争が近づき不穏な空気に。若様組は「お見合い」により反戦派を増やそうと奮闘します。

若様組シリーズとしゃばけシリーズを同時執筆したときに、江戸時代の妖たちは明治時代になり、どうなったのかとの気持ちで始まったのが明治・妖モダンシリーズです。「住みにくくなったのでは」と畠中恵は気遣います。

当時の銀座はイギリスを手本とし、アーク灯が照らす煉瓦街でした。巡査派出所に勤務する主人公は人の世界では起りえない案件に出会ってばかり。妖怪ファンタジー小説となっています。

現代を描いたのが佐倉聖の事件簿シリーズです。2012年に『アコギなのかリッパなのかー佐倉聖の事件簿―』、2016年に『さくら聖・咲くー佐倉聖の事件簿ー』が出版されています。

21歳の主人公、佐倉聖は政治家事務所で事務員を務めながら弟を養っています。厄介な問題や陳情に元不良で頭の切れる聖が大活躍です。後編では就職活動に奮闘する姿が。ユーモアとミステリーの両方が楽しめます。

畠中恵の小説にはシリーズ化していない作品も豊富にあります。江戸留守居役の間野新之介がお手伝い普請から逃れるために奔走する『ちょちょら』。幕末の大野藩で内山七郎右衛門が財政を立て直す、実在の人物を描いた『わが殿』。

初めて現代を扱った小説『百方の手』は、焼死した親友が携帯を通じて主人公に語り掛けてくるお話です。『とても不幸な幸運』は、酒場に持ち込まれたタイトルと同名の缶詰をめぐる物語です。

畠中恵が歴史時代小説を執筆するときには、文章資料だけでなく錦絵・古道具・地図などのビジュアル的なものからもインスピレーションを得るそうです。そのため、処分できない画集や写真集が増えてしまうのが悩みの種なのだとか。

書き始める前にはまず、真っ白な紙に登場人物の行動をどんどん書き込んでいきます。それを整理して全体の設計を立ててから執筆に取り掛かるそうです。

畠中恵の小説は妖の世界からミステリーにファンタジーまで幅広い領域を持っています。ユーモアにあふれて、本当にいるのではと疑ってしまう生き生きとしたキャラクターも魅力です。楽しく読み進められる物語を一度、味わってみませんか。ぜひ下記の記事も参考にしてみてください！