小川未明のおすすめ小説20選｜青空文庫にも？代表作や知られていない名作を紹介

小川未明は、児童文学を中心に執筆しており「日本のアンデルセン」「日本児童文学の父」と呼ばれています。児童文学者として功績を残した坪田譲治・浜田広介とともに、「児童文学界の三種の神器」と言われています。

小川未明の作品は、子供だけでなく大人が読んでも人間の心の闇や嫌な部分を突き付けられ、考えさせられる小説が多くあります。児童文学は、総じて可愛らしい心温まるものばかりではなく、悲しく現実を教えられる作品があります。特に小川未明の作品は、人間の闇の部分を著しているものが多いです。

ここでは、小川未明の経歴・代表作・おすすめ小説についてご紹介しますので、小川未明の本選びの参考に、ぜひ最後までお読みください。

小川未明の経歴とプロフィールについてご紹介します。

【経歴とプロフィール】

• 本名：小川健作
• 生年月日：1882年4月7日
• 出身地：新潟県
• 最終学歴：東京専門学校大学部英文科（早稲田大学の前身）
• デビュー作：『漂浪児』
• 1946年に創立された日本児童文学者協会の初代会長就任

1953年には吉田足日氏らにより「小川未明と浜田広介は古い児童文学」と否定される苦しい晩年を送りました。しかし小川未明の児童文学は今もなお読み継がれています。

『金の輪』は、小川未明が長女と長男を立て続けに亡くした翌年に書かれた物語です。金の輪を回しながら現れる少年を1人でぽつんと眺めている太郎くんがとても寂しそうです。太郎くんが最後に見た夢は「死」を表しているのか、ただの夢なのかは読者の判断に任されています。

物悲しいような、少しホッとするような、不思議で詩的な物語です。子供が天に召されるときに、少しでも楽しく、優しく微笑む少年に「お迎え」に来てもらえたら幸せだとの小川未明の願いが込められているようです。

『赤い蝋燭と人魚』は、小川未明の作品の中で最もよく知られている作品です。人間の醜さと人魚の怨念を描いたとても怖い物語です。人魚は人間をとても優しい生き物だと思っていました。しかし人間は欲に目がくらむと平気で残酷になってしまうものです。

大切に育ててきたはずの人魚の娘を、見世物にされるとわかっていても香具師に大金を積まれると売ってしまう人間は、優しい生き物などではありません。小川未明はこの物語で子供に「そんな醜い大人になってはいけない」とメッセージを出していたのか？それとも「因果応報」を教えたかったのか？いろんな教訓を読み取れる物語です。

『野ばら』は、戦争の愚かさとそれが引き裂く友情の物語です。国の間の国境を守る2人の兵士がいます。大きい国の老人と小さな国の若者です。国境には石碑があり野ばらが咲いています。いつしか、2人の兵士の間には友情が芽生えます。くわしいあらすじはここでは述べません。ぜひご自身で読んでみてください。

今も世界のどこかで戦争は起こっています。小川未明が童話作家として活躍していた頃から戦争の愚かさはわかっていたのに、今でもその愚かな行為は治まっていません。日本は平和ボケしていると言われますが、今、もっと真剣に戦争について考えるときが来ています。

青空文庫とは、著作権切れになった作品や著者が許諾した作品を読めるインターネット上の電子図書館です。小川未明の作品は今のところ600作品以上が読めます。何を読むか迷ったら、青空文庫を利用してみてください。

特に小川未明など短編作品がメインの作家の作品はとても読みやすいです。無料で名作を読めるのはとても便利で、本を購入する際の参考にもなります。小川未明の定本短編集は高価です。それでも気に入った作品がたくさんあれば、実際に定本短編集を購入しましょう。

小川未明の没後30周年記念に「小川未明文学賞」が創設されました。公募による文学賞で、新人児童文学作家の登竜門とされています。主催は小川未明文学賞委員会と新潟県上越市教育委員会です。選考委員は、関英雄・角田光男・三木卓・岡上鈴江・杉みき子・川村たかし・手島悠介らが名を連ねています。

また小川未明文学賞から発掘された児童文学作家には、今井恭子、中山聖子、宮下恵茉、森島いずみらがいます。

小川未明は、簡潔でわかりやすい文章の中で、「人間の心の闇」「死生観」「戦争の愚かさ」などを教えてくれます。子供のころから人間の醜さ・死・戦争について教えるのは、残酷ではなく、とても大切です。

読んだ時は怖いと思うかもしれませんが、子供の心は柔軟なので率直に作家のメッセージをくみ取れるものです。子供は大人が思うよりさまざまな物事を理解できます。それを小川未明は、わかっていて童話を執筆されていたようです。

小川未明の作品を読み直してみると、大人でもとても楽しめます。大切なものごとを決めつけた表現でなく、読者が想像する空白が残されています。それは読書の醍醐味のひとつでもあります。小川未明の小説は大人も楽しめる児童文学なので、ぜひ読んでみてください。

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