小野正嗣さんのおすすめ小説10選｜芥川賞受賞作品や生い立ちも紹介！

2015年に小説『九年前の祈り』で芥川賞を受賞した経歴の持ち主である、小野正嗣（おのまさつぐ）さんをご存知でしょうか？1996年のデビューから代表作を多数放出し、描写の鮮明さから話題を集めています。

大学は東京大学教育学部を卒業しているほどの学歴で、教授としても文学の分野に携わっています。現在はNHKで放送されている『日曜美術館』でキャスターを務めており、活躍の幅は年々広がっているほどです。

今回はバリエーション豊富な小説の特徴・執筆活動に影響を与えた幼少期の生活・おすすめの本についてご紹介していきます。

小野正嗣さんの小説の最大の特徴は風景描写の鮮明さです。映像のない小説の世界においては、目の前の景色や音、香り、光の描写などをすべて言葉で伝えなければなりません。物語の大切な要素である「その場の空気感」を表現豊かに記すことで、読者の感性を揺さぶり、読んだ満足感を与えています。

特に小野正嗣さんの故郷の描写は毎回注目度が高く、業界からも注目を浴びるほどの実力です。自身が体感したことを文章で伝える能力は唯一無二のスキルだと言えます。

小野正嗣さんは大分県蒲江町（現在の佐伯市）出身で、父は建設業を、母は真珠の核入れ職人として働く家庭に生まれました。周囲の人柄もいい漁師町で育った経験は、後に小説の舞台設定や登場人物のヒントとなり、小野正嗣の武器である風景描写として現在に生かされています。

1996年の「新潮学生小説コンクール」をきっかけに小説家活動を開始して以降、数多くの受賞作を排出しています。なかでも芥川賞受賞作『九年前の祈り』は、受賞前年に他界した兄に捧げる1作として注目を集めました。

また小野正嗣さんは30代で結婚し、妻と息子1人、娘4人の大黒柱としても奮闘中とのことです。父となった経験値も積み重なり、今後の作品にも期待できます。

• 「水に埋もれる墓」で第12回朝日新人文学賞受賞

『水に埋もれる墓』は若干のホラー要素も含む作品で、好みは両極端です。物語性は抜群の惹きつけ力を持っているため、現実味のあるリアルな描写が好きな方に向いています。

• 「にぎやかな湾に背負われた船」で第15回三島由紀夫賞受賞

文章はやや難しいものの、受賞作なだけあって「作者の力作」という印象を受ける小説です。小説を読みなれた人なら試したい作品です。

• 「九年前の祈り」で芥川龍之介賞受賞

生まれ故郷の佐伯市の舞台を存分に描いた代表作です。特徴である風景描写を楽しみたいなら、まずはこの作品から読んでみてください。

• サクッと読みたいなら基本の「単行本」から選ぶ

ミステリアスな空気感の『マイクロバス』や、描写に重みのある『森のはずれで』など、単行本はバリエーションの豊かさが売りです。なかには『夜よりも大きい』という人気の短編集もあり、手軽に読みたい方の選択肢は豊富です。

• 小野正嗣さんの人生を追体験したいなら「随筆」

体験談や知識、物事への関心をまとめた随筆は、筆者が見ている世界観に深く入り込めるおすすめのジャンルです。『浦からマグノリアの庭へ』や『歓待する文学』が出版されています。

翻訳本は海外の言語も十分に理解していないと作成できない、言わば言語力が求められるジャンルです。文学や言語学が好きで、原作をどのように言い換えているのか楽しみという方はぜひ手に取ってみてください。

特に『ファミリー・ライフ』は、著者のアキール・シャルマ氏と対談して話題となった翻訳本です。海外の風景が繊細な描画で楽しめる一押しの本として現在も人気を集めています。

小野正嗣さんの小説は出版から20年近く経過しているものもありますが、kindleなどの電子書籍に対応しているものも豊富です。もっと手軽に読む方法として試してみてはいかがでしょうか。

対応している小説としては三島由紀夫賞受賞作の『にぎやかな湾に背負われた船』や『獅子渡り鼻』をはじめ、ほとんどの本をkindleで読むことができます。

この記事では芥川賞受賞作家である小野正嗣さんの小説について解説してきました。おすすめの受賞3作品をはじめ、風景描写が楽しめる小説、筆者の世界観を読み解ける随筆など、バリエーションが豊富です。ぜひ参考にして人気作を読んでみてくださいね。

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