太田愛の小説おすすめ4選！『犯罪者』など｜読む順番や連載中の『未明の砦』も

太田愛の小説は、絶対的な巨悪に立ち向かう正義の人を描く作品です。勧善懲悪ではなく、悪は用意周到で、するすると抜け道を抜けてまた同じ場所に戻っていきます。それでも正義を貫く人々の熱き心に感動で胸が熱くなります。

「悪は滅びる」と思っていると裏切られます。現実には絶対巨悪はそう簡単には成敗できないのは、実は誰もがわかっています。せめて小説の世界では悪は滅びてほしいと思いますが、太田愛の小説は、現実を突きつけてきます。

ここでは、そんな太田愛の経歴とプロフィール・代表作・おすすめ5選・脚本家としての作品についてご紹介します。太田愛の小説選びの参考に、ぜひ最後までお読みください。

太田愛の経歴とプロフィールをご紹介します。

• 生年月日：1964年9月2日
• 出身地：香川県高松市
• 最終学歴：青山学院大学文学部仏文科卒業
• 血液型B型
• アメーバブログで『太田愛の雑記帳』を運営中
• 大学在学中から10年ほど小劇団の脚本を執筆
• 1997年『ウルトラマンティガ』で脚本家デビュー
• TVドラマ『相棒』season8より脚本家として参加
• 2012年『犯罪者』で小説家デビュー

太田愛は、『相棒』シリーズで脚本を執筆しながら、小説も書いていました。小説は目の前にその情景が浮かんでくるような社会派のミステリーです。

『犯罪者』は、太田愛の小説家デビュー作です。鑓水七雄・繁藤修司・相馬亮介トリオのシリーズ第1弾で、ここでは繫藤修司がメインキャラクターとなっています。白昼の駅前広場で起こった「通り魔事件」で、4人が命を奪われ修司だけが助かります。

修司はなぜ襲われたのか?それはある偶然が被害者をつないでいます。そこに原因不明の乳幼児だけが罹る奇病「メルトフェイス症候群」と大物政治家の策略が絡み合い、真実を知ったとき読者は驚愕します。想像もつかない二転三転する物語の展開は、脚本家として実力を培ってきた太田愛ならではの作品です。

『幻夏』は、鑓水・修司・相馬トリオシリーズの第2弾です。この作品では刑事の相馬亮介がメインキャラクターとなります。23年前、相馬のひと夏の「親友」だった水沢尚・12歳が突然失踪してしまいます。そして今になって尚の母親・香苗が尚を探してほしいと探偵の鑓水に依頼してきます。

幼いあの日、尚は相馬に「俺の父親、ヒトゴロシなんだ」と告げます。本作のテーマは「冤罪」です。そこに隠された司法の闇と母と子の切ない関係、本作ラストの尚の一言は切なく涙がこみ上げてきます。本作はシリーズの中でも最も胸に迫るおすすめの作品です。

『天上の葦』は、シリーズの第3弾です。本作は鑓水七雄がメインキャラクターとなります。鑓水は元テレビマンで現在は興信所を経営しています。経営状態はある事情からあまりいいものではありません。

本作は「戦争」がテーマです。言論の自由などなかった戦時中に生きた1人の老人が、ある日渋谷の交差点で空を指さしたまま亡くなってしまいます。鑓水に来た調査依頼は、「この老人は何故空を指さして亡くなってしまったのか?」でした。鑓水と調査員の修司は調査に乗り出します。

シリーズ3作の中では最も重いテーマを扱った作品です。

太田愛は、脚本家として『ウルトラマン』シリーズを担当していました。その中でも最も注目されたのが『ウルトラマンダイナ』の「少年宇宙人」でした。平和に暮らしていた少年が突然両親から自分たちは宇宙人だと告げられるストーリーです。

しかし、少年の2人の親友は宇宙人でも友情は変わらないと少年を守ってくれます。太田愛は、ウルトラマンの脚本の中で、怪獣や宇宙人が悪の攻撃対象ではなくある意味被害者であると表現しています。これはウルトラマンシリーズでは多くでてくるストーリー展開です。大人にも感動を与える物語でした。

太田愛は、『相棒』シリーズの脚本も執筆しています。その中でも相棒公式サイトで行われた『あなたが選ぶ「相棒セレクション」』では、太田愛の作品であるseason10の元日スペシャル『ピエロ』が第1位に選ばれています。

また『相棒』シリーズはドラマだけでなく、2017年公開の映画『相棒 劇場版Ⅳ』の脚本も太田愛が執筆しています。

大人気刑事ドラマ「相棒」のseason21では、初代相棒の薫が「5代目相棒」として再び杉下右京とタッグを組みます。新シーズンが始まって以来、視聴率はすべての回で2桁を更新しており、民放連続ドラマの中ではさらに注目を集めています。

2022/11/10現在は太田愛脚本の回はありませんが、これまでのほとんどのシーズンで脚本を担当しているため、今後の脚本を担当する可能性は十分期待できます。

現在、太田愛の新刊本は予定されていませんが、「陸奥新報」「千葉日報」「三陸新報」で新作『未明の砦』を連載中です。この作品は現代日本で起こるクライムサスペンスです。人気の鑓水・修司・相馬トリオシリーズではないようですが、登場人物も多い群像劇になります。

『未明の砦』は、クリスマス時期の吉祥寺駅前で起こる迫力満点の発端から始まるサスペンスミステリーです。本作は「千葉日報」オンラインで有料会員登録をすれば読めます。おそらく長編小説になるようです。あと少しで連載も終了するようなので、新刊本として上梓されるのを楽しみに待ちましょう。

太田愛の小説は、悪は世にはびこるものであるとし、それに立ち向かう正義の人々の活躍が描かれています。切ないラストシーンもありますが、ほとんどの作品が未来への希望をもたらしてくれます。太田愛の作品でヒューマニズムあふれる正義の世界を思う存分楽しみましょう！