梶井基次郎の小説おすすめ10選｜代表作や生い立ちを徹底解説！

梶井基次郎は、短編小説を中心に名作を残した夭逝の作家です。それまでに書いた小説が文壇で認められ始めてすぐの頃、肺結核で亡くなっています。亡くなってから評価が高まる芸術家は多いですが、梶井基次郎もまさにそのタイプの作家です。

梶井基次郎の小説と言えば、初めに思い浮かぶのは『檸檬』です。教科書にも載っていました。他にも『桜の樹の下には』『冬の日』『城のある町にて』など多くの名作を残しています。若い頃から病気に悩まされ、思い通りの執筆活動ができなかったのがとても惜しい天才作家です。

ここでは、梶井基次郎の生涯・代表作・おすすめ小説14選などをご紹介しますので、梶井基次郎の小説を選ぶ参考に、ぜひ最後までお読みください。

梶井基次郎の母親は文学に造詣が深く、その才能を受け継いでいたようです。また梶井基次郎の生涯は、「転居」と「病気」に翻弄された人生でした。父親が銀行員で転勤が多く31年間の生涯で20回以上も引っ越しをしています。

19歳のときに結核に罹り、祖母や弟妹も結核で亡くしています。また梶井基次郎は恋多き男性でもあり、恋愛系のさまざまなエピソードも残しています。そして肺結核を患って以来、退廃的な生活を送り始めます。

元の性格というより病気のせいで無頼漢となったようですが、文学対しては真摯に向き合い、川端康成氏、三好達治氏からも称賛されています。　

『檸檬』は、梶井基次郎作品の中でも最も有名な作品です。主人公は、街中でふと見つけたお店で1つの檸檬を購入します。憂鬱だった気分が晴れたような気持ちになり、檸檬を1つ持ったまま街を歩き回って丸善（本屋）の前に行きつきます。

肺結核に罹って鬱々としていた心が少し晴れ晴れとした梶井基次郎の私小説のような作品です。檸檬をそっと画集の上に置いて店を出るときの爽快な気分が伝わって来ます。

『桜の樹の下には』は、短編小説ですが、散文詩とされる場合もある作品です。桜の花がこんなに美しく咲くのは、樹の下に屍体が埋まっているからと、少し怖いような幻想的な作品です。日本人にとって桜は、とても神秘的な美しさを感じるものです。

詩のように美しく幻想的な作品『桜の樹の下には』をぜひ読んでみてください。

『城のある町にて』は、「ある午後」「手品と花火」「病気」「勝子」「昼と夜」「雨」の6つの話にわかれた短編です。この作品も梶井基次郎の私小説的な作品で、肺結核で亡くなった妹を想い、気持ちが不安定になっているときに書いたとされる作品です。

梶井基次郎の作品は、自身の心情を表現した作品が多いのが特徴です。梶井基次郎の代表作の1つなので、ぜひ読んでみてください。

『冬の日』は、梶井基次郎の作品の中でも特に暗く陰鬱な作品だと言われています。自身の肺結核の症状が重くなり始め、その焦りと不安な気持ちと季節が真冬に移り変わる憂鬱を重ね合わせて描かれた作品です。

梶井基次郎最高傑作とも言われており、梶井基次郎自身が肺結核に罹りながらも生への執着から逃れられない気持ちが表現されています。

梶井基次郎の作品は、自身の病気のせいもあってか虚無的な作品が多いです。梶井基次郎の作品の主題の1つに『清澄なニヒリズム』があり、今生きている人間の存在には本質的な価値がないとする考え方をしています。

不治の病に罹り、恋愛もうまくいかず、執筆活動も思う存分にはできなかった梶井基次郎の鬱屈とやりきれなさが作品に反映されています。しかし梶井基次郎は、清く澄み渡ったニヒリストでした。

梶井基次郎の作家生活は、31歳で亡くなっているので10年に満たないものでした。しかしその間に執筆した作品は、高い評価を受けています。文壇に作品が認められ始めたのは、梶井基次郎が亡くなる1年ほど前からで、高く評価されたのは没後でした。

梶井基次郎の作品は、作風の全く違う作家からも称賛されています。たとえば、井伏鱒二氏・三島由紀夫氏・川端康成氏・横光利一氏など文豪たちからも絶賛されています。

梶井基次郎は、19歳で肺結核になり31歳まで闘病しながら人生を全うしました。不治の病を抱えながら、祖母や妹・弟も結核で亡くし、執筆活動を行っていました。家族が自分と同じ病気で亡くなるのを目の当たりにしていたため、梶井基次郎の作品の中には生への渇望が色濃く描かれています。

そんな梶井基次郎の作品を、ぜひ手に取ってみてください。

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