中島京子のおすすめ小説10選｜小さいおうちの魅力や新刊エッセイの紹介も

家族愛や恋愛など、さまざまな愛のかたちを色濃く描く作風で知られる中島京子さんの小説。『小さなおうち』や『長いお別れ』など映画化された作品も多く、たくさんの人から人気を集めています。

中島京子さんの小説はあたたかく、心が穏やかになれる作品が多いです。また、登場人物も魅力的で、リアルな感情の描写が共感を呼び、読者の心を惹きつけます。

今回は、そんな中島京子さんのおすすめの小説の選び方をご説明します。くすっと笑ってしまうようなコミカルな作品から、涙なしでは読めない感動作、話題の最新刊まで幅広くご紹介しますのでぜひお気に入りを見つけてくださいね。

中島京子さんは東京都杉並区出身。1964年に大学教授の両親の元に生まれました。東京女子大学を卒業後は日本語学校職員、出版社勤務を経験します。その後はインターン教師としてアメリカへ。帰国後はフリーライターとして活躍します。2003年にFUTONで作家としてデビューしました。

中島京子さんは51才の時に結婚。お相手は30代の頃からお付き合いされていた男性です。長い付き合いで、何でもわかり合える関係なため「家族」という形に変わっても、お互いを尊重するライフスタイルを確立しているそうです。結婚という形式にとらわれず、自分らしい生き方を実現されています。

中島京子さんの小説は、歴史や社会問題など、幅広いテーマの作品がありますが、共通するのは人と人のつながりを丁寧に描写していることです。特に家族小説に定評があり、いろいろな家族のかたちを描いています。

やさしく読みやすい文章と、流れるようなテンポのストーリー構成にどんどん引き込まれていき、ページをめくる手が止まらなくなります。読んだあとは、ほっこりあたたかな気持ちになれるものが多く、余韻も楽しめるのが中島京子さんの作品の魅力です。子どもから大人まで全ての世代の方におすすめです。

中島京子さんの小説はたくさんあり、ジャンルやテイストもさまざま。何から読んだらいいか迷ってしまいますよね。ここではおすすめの選び方をご紹介していきますので参考にしてみてください。

読書にかけられる時間を考慮して、作品の長さから選んでみましょう。ゆったりと楽しみたい時は長編小説を、さらっと読みたい時には短編小説を読んでみるのがおすすめです。

中島京子さんの長編小説は、どんどん引き込まれていくストーリーの構成や登場人物の感情の描写が魅力です。「平成大家族」は家族のドタバタな日常を明るく描いた作品。誰しもが抱える悩みや問題、それを支える家族の存在がリアルに描かれています。「やさしい猫」は入管行政がテーマ。重い社会問題を取り上げながら、あたたかさを感じるのは中島京子さんならではです。

中島京子さんの作品は、短い中にぎゅっとおもしろさが凝縮された短編小説もおすすめです。部屋の中で起こる7つのストーリーを描いた短編集「さようならコタツ」。どこにでもあるような日常の一コマを切り取っているので頷ける部分が多く、登場人物の感情が素直に楽しめます。「オリーブの実るころ」はさまざまな愛のかたちが詰まった作品。不思議な世界観に魅了されます。

中島京子さんは、数々の文学賞を受賞されています。たくさんの人から評価された受賞作品を読むことは作家さんの魅力を知る近道になるかもしれません。

直木賞受賞作品。女中して生きてきた主人公タキの半生を振り返る物語です。愛情に満ちた幸福な生活と、それを壊すかのように訪れた戦争、最後に明らかになる驚くべき秘密。タキの目線で描かれるストーリーは感情を揺さぶられます。昭和の時代の東京をいきいきと描いた世界観も素晴らしく、何度でも読み返したくなる作品です。

上野公園で知り合ったミステリアスな老女、喜和子さんの人生と、戦争に翻弄された帝国図書館の歴史を巡るストーリー。ふいに訪れるラストには、思わず涙がこぼれます。ユーモラスなエピソードを交えながら進んでいくあたたかい物語は、まさに中島京子ワールド！本が好き、図書館が好きな人にぜひ読んでいただきたい作品です。

一度聞いたら忘れられない、インパクトのあるタイトルは、日本タイトルだけ大賞を受賞。さらに泉鏡花文学賞も受賞した作品です。ちょっぴり奇妙で、じんわり優しい5つの偏愛をテーマにしたお話が収録されています。独特な空気感はやみつきになるおもしろさ。タイトルに惹かれて読み始めた人もきっと満足できるはずです。

映画化・マンガ化された作品をご紹介します。原作とはまた違った良さがあるので、比べてみるとより見解が深まります。

認知症になった父と、父を囲む家族の姿を描いた物語。2019年に蒼井優さん主演で映画化されました。少しづつ進行していく認知症にはたくさんの戸惑いや苦労がありますが、健気な奥さんと、3人の娘たちがとにかく明るく、家族の絆の強さを感じます。誰もが避けて通れない介護との向き合い方を示してくれる作品です。

舞台は江戸時代初期。夫を突然亡くし、女当主となった祢々と、彼女に仕えた羚羊「かたづの」のが繰り広げる歴史ファンタジー。里中満智子によってマンガ化されています。戦を避けたい、大切な人を守りたい、という祢々の信念と、凛とした強さに心打たれずにはいられません。歴史の重みと、フィクションの世界観の調和が心地よく、夢中で読み進めてしまいます。生きる上で大切なことを教えてくれる作品です。

幅広い世代の人から支持を集める中島京子さんの小説。実際に作品を読んだ人たちの口コミをご紹介します。

中島京子さん特有の世界観や、読みやすさを賞賛するような口コミが多く見られます。じんわりと温かい気持ちで余韻に浸れるのも中島京子さんの小説の魅力です。読むとパワーをもらえるような作品が多いので、疲れた時や、元気になりたい時にぜひ手にとってみましょう。

2022年7月に新刊『ワンダーランドに卒業はない』が発売されます。中島京子さん初の児童文学エッセイ集。トム・ソーヤーの冒険や、あしながおじさんなど、おとぎばなしを題材にしたエピソードが18収録されています。

大人になっても心のどこかに存在する、童心をくすぐられるような作品です。夢と希望がたくさん詰まったストーリーは、大人も子どもも、わくわくする世界に連れていってくれますよ。

中島京子さんの作品には、当たり前を大切に、身近な人にやさしく、そんなメッセージが盛り込まれています。中島京子さんが作り出す、美しくあたたかい世界に飛び込んでみませんか。