諸星大二郎のおすすめ漫画10選｜人気作品紹介！最新刊がすごい？

異色のSF漫画家として知られる諸星大二郎。そのオリジナリティあふれる表現は、長編はもちろんコンパクトにまとまった短編でも如何なく発揮されています。豊富な知識によって構築された独自の歴史観・世界観と、それらから生まれた思いもよらない発想で、数々のSF・ホラー・伝奇漫画の名作を世に送り続けています。

その独自性は、多くの著名な作家やアーティストにも多大な影響を与えており、今なお多くの人を魅了し続けています。物語・画面作り・画風など、他に類を見ない魅力あふれる漫画家です。

今回の記事では、そんな諸星大二郎の漫画の選び方をご紹介します。また、おすすめのタイトルをご紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。

諸星大二郎さんは1949年長野県生まれの東京都出身です。3年間東京都伝奇研究所で公務員を務めた後、1970年に投稿した『硬貨を入れてからボタンを押してください』が佳作となり、同年に『ジュン子・恐喝』で漫画家としてデビューを果たしました。COM・漫画アクション・パピヨンといった雑誌で作品を発表していきます。

デビューから4年後の1974年に、初の少年物として発表した『生物都市』で第7回手塚賞に選考委員のほぼ全員一致で入選を果たしました。当時の諸星大二郎さんはまだ無名の新人だったのに対して「作品があまりに面白すぎる」、「既存の作品に類似のものがあるのではないか」と選考委員の一員でもあるSF作家の筒井康隆に、質問が殺到した逸話が残っています。

諸星大二郎作品は、独特のダークな印象の画面や絵柄の印象に即したダークでずっしりとした読後感のものが多くあります。しかし一方で、『ど次元世界物語』のようなユーモアあふれる軽めの作品も数多く存在しています。少女漫画の『栞と紙魚子』もキャラクターの人気も高く、ユーモアとグロテスクさが同居していて初心者にも読みやすい作品です。

1974年に連載が開始された、諸星大二郎さん初の連載作品です。別名『稗田礼二郎シリーズ』『稗田礼二郎のフィールド・ノートより』としても有名です。学会から異端児扱いを受ける新進気鋭の考古学者・稗田礼二郎が、フィールドワークで訪れた日本各地で、さまざまな怪奇現象に出会います。

『妖怪ハンター』と題されていますが、妖怪そのものが登場する話はそう多くありません。奇妙で不可思議な物語の種類はさまざまですが、基本的には一話完結型なので、テンポよく読み進められます。

1976年から、妖怪ハンターに次いで連載された作品です。中学生の少年が、父親の死の真相を知ったのをきっかけに物語は始まります。ヤマトタケル伝説をメインに、日本古来の神話を取り入れています。その他にもさまざまなSF要素が盛り込まれた濃密な作品です。

緻密な絵で描かれた導入部分の不穏さ、徐々に日常から離れていく恐ろしさ、物語が進むほどに与えられる衝撃の数々は、多くの人にトラウマを植え付けました。

少女向けホラー雑誌『ネムキ』にて不定期連載されていて、ユーモラスさとグロテスクさが共存する独特の世界観が魅力のシリーズです。架空の町「胃の頭町」を舞台に、2人の少女の周りで起こる怪奇現象に巻き込まれていきます。

猟奇的な趣味のある美少女の栞と、本のために危険を顧みない紙魚子との親友同士の個性あふれるキャラクターも、人気を集めています。連載は少女誌ですが、諸星大二郎作品好きなら男女問わず楽しめる作品です。

映画化された諸星大二郎作品は2シリーズあります。稗田礼二郎シリーズでおなじみの妖怪ハンターシリーズの中からは『黒い探究者』『赤い唇』を原作にした『ヒルコ 妖怪ハンター』が1991年に公開されました。さらに同シリーズ内の『生命の木』を原作にした『奇談』が、2005年に公開されています。

また、2007年には全3エピソードで構成された作品『壁男』が、同タイトルで映画化されました。

ユーモラスさとダークさをあわせ持つ短編作品の多い諸星大二郎作品。その空気間は、人気のドラマシリーズ『世にも奇妙な物語』との親和性が高く、これまでに『復讐クラブ』『城』『夢見る機械』が制作されました。

また、少女漫画誌で連載されたユーモラスなホラー作品として人気の『栞と紙魚子』は、13話の連続ドラマ『栞と紙魚子の怪奇事件簿』のタイトルで2010年に放送されています。

読者に数々のトラウマを与えるほどに濃密な恐怖を描いた『暗黒神話』は、『餓鬼の章』『天の章』の2つの章に分かれたOVAとして1990年に発表されています。さらに『暗黒神話 ヤマトタケル伝説』のタイトルでゲームソフトとしても展開しました。

また、さまざまな作品についての特集に留まらず、研究本も複数出版されています。『西遊妖猿伝』『夢みる機械』といったラジオドラマ化したタイトルも存在しています。

さまざまな作品を生み出してきた諸星大二郎さんですが、現在も意欲的に新作を発表しています。現在は「ビッグコミック増刊号」にて『諸星大二郎劇場』を連載中です。

2022年3月にはそんなオール新作による『諸星大二郎劇場 第4集　アリスとシェエラザード』が発売されています。『アリスとシェラザード』シリーズの全8編からなる読み切りタイプの1冊です。短編集なので初めて諸星大二郎作品に触れる人にもおすすめです。

今回は、諸星大二郎さんの漫画を紹介しましたが、気になる作品は見つかったでしょうか。唯一無二の魅力の詰まった異色のSF作品が数多く発表されています。この記事を参考にして、ぜひ自分に合った諸星大二郎さんの漫画を見つけてください。

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