コンパクトグランドピアノ・グランドピアノおすすめ5選｜後悔しない選び方は？

グランドピアノの購入をお考えではありませんか？鍵盤楽器にはキーボードや電子ピアノもありますが、「ショパンやベートーヴェンのピアノ曲を弾きたい」「子供のピアノの上達に伴って本格的な楽器が必要」などの思いに存分に応えられるのがグランドピアノです。

しかし、値段・設置場所・将来的に後悔しないかといった物理的・精神的なハードルもあり、購入に踏み切れない人も多いですよね。また、いざ購入を決断しても、どんなグランドピアノを選べばいいのか知識も必要になります。

そこで、本記事ではグランドピアノを購入するハードル・選び方・おすすめ商品紹介します。気になるグランドピアノのデメリット・小さいサイズのコンパクトグランドピアノについても解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

グランドピアノを購入するのに適しているのは、主として下記の条件に当てはまる方です。

• グランドピアノならではの鍵盤のタッチ・音の響きが好き
• 電子ピアノでは満足できない
  
• ピアノを日常的・継続的に使用したい

純粋にグランドピアノの鍵盤のタッチや音の響きが好きな人なら、スキルを問わずに満足できる可能性が高いです。なお音大生・音大志望者でも、自宅にピアノを置くのが必須とは限りません。自分の希望に沿って判断しましょう。

自分ではなく子供のためにピアノの購入を検討する場合、学習の観点で言えば演奏技術だけでなく多彩な表現の音を聞き分ける能力が育つグランドピアノの購入は早い方がおすすめです。若いほど音に対する感覚が鋭いため、学習効率がいいと言えます。

ただしあくまでも可能性の一つの話です。経済的に大きな負担感を背負ってまで購入すると、子供にピアノを強要する態度になりがちで本末転倒です。子供の音楽への好奇心が十分に育ってからでも遅くはありません。

グランドピアノに関する失敗談では、出費面で後悔するケースよりも、サイズの選択で後悔するケースの方が多く見られます。ピアノを置く部屋が生活空間の役割も兼ねている場合は、生活に支障のないサイズ選びが大切です。

またグランドピアノで後悔するケースよりも、アップライトや電子ピアノを買って後悔するケースの方が多いです。技術が上達すると、それらのピアノでは表現に限界を感じたり、音の響きに物足りなさを感じたりする可能性が高いと言えます。

グランドピアノの価格は、最も低価格なものでも100万円前後ですが、予算としては最低でも100～140万円程度必要です。設置スペースは、コンパクトグランドピアノでも2畳分の広さを消費しますが、余裕も考慮するなら6畳分の広さは欲しいところです。

賃貸物件の場合は、ピアノが許可されていないケースもあるため事前に確認しておきましょう。音出しする時間帯や設備など条件によっては可となるケースもあります。

設置場所とともに問題になるのが、グランドピアノの搬入方法です。入口や窓が狭い場合には設置場所で組み立てたり、2階以上の部屋ならクレーン車が必要になったりするケースもあります。ピアノの価格だけでなく、運送や搬入にかかる費用も考えておきましょう。

騒音対策についてはグランドピアノ購入前からある程度考えておくのを推奨します。購入後に騒音トラブルでピアノが弾けなくなるリスクを避けましょう。比較的手ごろな対策として、インシュレーターはピアノの各脚部分に設置して振動を軽減します。

吸音パネルや窓用防音などの工事は大がかりですが、お試しで20万円程度から始められる防音工事もあります。ユニットタイプの防音室はグランドピアノが置けるサイズのもので最低でも150万円以上かかります。

アップライトピアノは限られたスペースでも設置できるようコンパクトに作られたピアノです。音色やタッチもグランドピアノに近いですが、構造上の違いで、響きの良さ・音の明瞭さ・表情のつけやすさはグランドピアノに敵いません。

またアップライトピアノは1秒間に同じ音を打鍵できる回数が7回とグランドピアノの半分なため、高速の同音連打やトリルに鍵盤がついてこれない可能性が高いです。リストの「ラ・カンパネラ」やラヴェルの「朝の道化師の歌」など、アップライトでは満足に弾けない曲もあります。

ピアノにもさまざまなメーカーがありますが、スタインウェイやベーゼンドルファーなどの海外メーカーのピアノは、価格が桁違いです。また海外ピアノの木材は日本の湿度の影響を受けやすく、管理がしにくいデメリットがあります。

特別な事情がない限りは、国内メーカーのヤマハ・カワイの2択が現実的と言えます。ヤマハもカワイもピアノの構造・メカニズムは大体同じで優劣はなく、音色や鍵盤の感触の好みで選んで問題ありません。

奥行160cm前後のコンパクトグランドピアノは、6畳間に余裕で設置できるサイズ感で人気があります。下の表はコンパクトグランドピアノの代表的な品番を例示しています。なお参考までに「ワイマンWG-145」の奥行145cmがグランドピアノの世界最小サイズです。

グランドピアノは基本的にサイズが大きくなるほど価格が高くなりますが、音の響きも良くなります。部屋の広さや予算に余裕があるなら奥行180cm以上のサイズも視野に入れてみましょう。

ただし部屋にギリギリ収まるサイズ感はおすすめできません。余裕をもって椅子に座れたり、楽譜棚を置けたりするスペースは最低限考慮しましょう。また、部屋に余裕がないと音の反響が大き過ぎて疲れやすくなります。「6畳間なら奥行180cm以内」が目安です。

グランドピアノはサイズが大きくなるほど、響板の面積が広く弦が長くなります。他にも側板の厚みや鍵盤の見えない部分の長さが異なり、これらは音の響きや表現のしやすさに影響を与えます。

奥行186～188cm(ヤマハC3X / カワイG3Xなど)クラスは、音の広がりや低音の重厚感が人気です。奥行200cm(ヤマハC5X / カワイG5Xなど)クラスからはダイナミックな表現にも優れ、さまざまな作曲家の深い表現に挑戦しやすくなります。

ピアノは弾きこむほどに弾きやすく、音が響きやすくなるので、中古ピアノの利点と言えます。ただし音は固くなる傾向があり、パーツが消耗している可能性も高いです。特に響板・フレームのひび割れや折れ・駒の沈下は致命的な欠陥であり、中古ピアノ選びでは避けるようにしましょう。

中古グランドピアノでは響板・フレーム・駒の欠陥以外にも、弦を含む金属部品の錆やハンマーフェルトの固さなどにもこだわりたいところです。しかし欠陥部分の発見は容易ではなく、そもそも通常は見えない位置にあるパーツも多いです。

簡単にできるだけ長く愛用できる中古ピアノを求めるなら、ヤマハ・カワイなどメーカーの直営店を利用しましょう。中古ピアノを扱う業者の中には、質の悪い商品を扱う業者もあるため、闇雲に価格の安さだけで選ぶのはリスクを伴います。

グランドピアノ選びは新品・中古を問わず試弾を推奨します。それも1音2音を弾くのではなく、椅子に座ってじっくり確かめましょう。以下にポイントをまとめます。

• すべての鍵盤から音が出るか、感触に差がないか
• 鍵盤を押しこんだ時に十分に音が伸びるか
• 鍵盤を戻した時に音が止まるか
• 強弱のつけやすさ
• 和音・メロディーの音の響き
• 各ペダルを使った時の印象
• 1曲を通して演奏する

なお中古ピアノの場合は、欠陥が音や響きに現れます。試弾してノイズが出るものや響きの悪いピアノは避けるようにしましょう。

グランドピアノの寿命を伸ばすには定期的な調律が欠かせません。調律師は単にピアノの音をチューニングしているだけでなく、音色を整えたり、各パーツに不調がないか細かくチェックしています。新品ピアノを購入した年は半年に1度、年数が経過しても1年に1度は調律を依頼しましょう。

調律の費用は、一般家庭にあるグランドピアノなら1万5千円前後が相場です。ただし調律を長い間行わなかった場合は、別途費用がかかる可能性が高いです。状態が悪いと10万円近くかかるケースもあるため、調律は定期的に行いましょう。

グランドピアノは温度・湿度の影響を受けやすい楽器です。温度に関しては、急激な温度変化を避け、15～25℃の温度を保つのが理想的です。

より気をつけなければいけないのは湿度です。湿気は金属部品の錆の原因になるばかりでなく、木やフェルトにも悪影響です。また乾燥状態も木の収縮によって、ひび割れや歪みの原因になります。エアコン・除湿器・加湿器などを使って、50％前後の湿度を保つようにしましょう。

グランドピアノにカバーをかける場合、メリットもあればデメリットも存在します。たとえば、間取りの都合で日当たりのいい場所に設置した場合、カバーは日焼けによる外装の色あせを防ぎます。また、ほこりが付着したり入り込んだりするのを防げるのもメリットです。

しかし、日本は湿度が高いので長時間カバーをかけたままにすると、カビや害虫のリスクがあります。グランドピアノにカバーをかける際は、薄手で通気性のいいものがベターです。さらに、定期的にカバーを外し、フタをあけ通気性をよくする工夫も取り入れてください。

• メリット：日焼けやほこりを防げる
• デメリット：カビや害虫のリスク

グランドピアノの購入を検討しているものの、買って後悔しないか不安な場合は、レンタルで試すのも1つの手です。実際にグランドピアノを設置して、スペースや生活動線にどう影響するかを確認できます。

また、レンタルすれば購入するよりも安く済みますし、不要になった場合の処分費用もかかりません。ただし、レンタルでもメンテナンス費用や運送費がかかるのが留意点です。購入にもレンタルにも、それぞれにメリット・デメリットがあるので、しっかり検討してください。

グランドピアノは購入のハードルがいくつかあり、簡単に買える楽器ではありませんが、それだけにお気に入りのピアノで1曲演奏できた時の感動は大きいものです。グランドピアノならではの透明感のある音やダイナミックな響きをぜひ自宅で味わってください。