剣菱酒造 日本酒 剣菱

剣菱酒造は大手の蔵ですが、全量を昔ながらの製造方法で生産している蔵です。酒母造りは、全酒母造りの95%を、乳酸添加をせずに蔵付きの乳酸菌の力にまかせる山廃造りで行っており、酵母はオリジナルの剣菱酵母を使用しています。

酒母造りの時の温度管理に使う暖気樽（だきだる）は、自社の木工所で製作している杉材でできた暖気樽を使用しています。現在のほとんどの酒造所ではステンレスなどの金属製の暖気樽を使用しています。

剣菱酒造で使用する原料米は、85%が山田錦で、残りが愛山（あいやま）・その他となっています。この、黒松が付かないスタンダード品の剣菱の使用米割合は、山田錦・愛山が60%、その他が40%となっています。

愛山という品種の米は、1941年に兵庫県で開発されたとされる酒造好適米で、背が高く、栽培が難しいためほとんど栽培されてこなかった品種です。契約栽培農家を支援するなどし、愛山を守り育ててきたのは剣菱です。

剣菱酒造では、4つの蔵で造ったさまざまな原酒をタンクで熟成保存しており、これらの原酒をブレンドすることによって、いつも安定した味わいの製品を出荷しています。

スタンダード品の剣菱の場合、熟成1年から4年の原酒がブレンドされており、独特の熟成感が楽しめます。個性が強い、飲み手を選ぶ酒ですが、長年にわたるファンを持つお酒です。

お酒を楽しむには、味わいのほかに気分も重要な要素になります。大手メーカーということだけで嫌っている人もいるかも知れません。

入手が難いものだと、中身がたいした事がなくても有り難味が増すものです。剣菱は、スーパーや量販店で簡単に手に入れる事ができるので、そういう意味では損をしているといえますね。

剣菱は、味が濃く、また独特の熟成香を持っているので、好みがはっきり分かれるお酒です。フルーティーな冷酒や淡麗なお酒が好きな人の口には合わないかもしれません。

お酒を飲み慣れていない人は、割り水をして飲んでみると良いかもしれません。剣菱は割り水に耐えるタフなお酒で、また別の表情を見せてくれます。

大手酒造メーカーですが、剣菱にはパック酒がありません。一升ビンがメインで、ほかに焼酎でよく見られる5合ビンがあります。よくある4合ビンではなく、5合というところがユニークです。パック酒があれば処理や持ち運びに便利ですが、あえてパック酒を造らないところが剣菱のいいところかもしれません。

剣菱は熟成香のある個性的なお酒ですので、これが嫌いな人には受け付けられない可能性があります。どんなタイプのお酒が好きなのか判らない人へのプレゼントには避けたほうがいいかもしれません。古酒のよさがわかる人や、癇酒が好きな人には喜ばれるとおもいます。

剣菱は分類上普通酒になりますが、実質上の造りは本醸造酒と言えます。米の状態に合わせて精米を行うので、精米歩合が安定しないため、本醸造酒を名乗らないと言うことです。アルコール添加も通常の本醸造酒よりも少なく抑え、添加するアルコールも米を原料とするものというこだわりようです。

原料米も、このスタンダードな剣菱では山田錦・愛山60%、黒松剣菱で山田錦・愛山100%となっています。またすべての原酒は最低でも1年熟成されたものが使用されています。

剣菱は、熟成されたやわらかさとしっかりした腰の強さをあわせ持ち、さらに適度な酸があるお酒です。繊細な和食から濃い味付けの料理まで、さまざまな料理と合わせることが出来ます。

日本酒は、料理やおつまみと合わせてこそのお酒です。冷やから癇酒までさまざまな表情を持つ剣菱なら、いろいろな組み合わせを楽しむ事ができます。

剣菱は、スーパー、量販店、ドラッグストアなど身近なお店で手に入れる事ができます。また、コンビニでも剣菱を置いているところが少なくありませんので、夜中でも飲みたくなったらすぐ飲めます。剣菱好きはラッキーですね。

黒松剣菱は、スタンダード品の剣菱の、ワンランク上位のグレードの製品です。原料米は、黒松の付かないスタンダード剣菱は、山田錦・愛山60%その他40%で、これに対し黒松剣菱は、山田錦・愛山100%となっています。また、ブレンドされる原酒の熟成年数は、剣菱が1年から4年なのに対し、黒松剣菱が1年から5年となっています。

黒松剣菱は、スタンダードの剣菱より若干アルコール濃度が高く、17%になっております。やや辛口の酒とされていますが、香りやエキス感が強いことなどから甘く感じる人も多いようです。熟成原酒を使用していることと、炭ろ過を少なめにしていることから、スタンダード品同様に黄色い色をしています。

瑞祥黒松剣菱は、剣菱酒造の最上級品です。山田錦100%の純米酒で、アルコール度18度、5年から15年熟成された原酒をブレンドした古酒になります。毎年年末に発売される限定品です。これに対しレギュラーの剣菱は、アルコール添加で、熟成年数は1年から4年です。

レギュラー品の剣菱と比べ、濃厚な芳香と甘みがあり、余韻の長いお酒です。食前酒にも使えますが、食後にまったりと嗜んだりすることもおすすめできます。

かすかにカカオ、ナッツ、シェリーなどの複雑な風味が感じられます。赤肉、ジビエなどの肉料理、またアイスクリームやティラミスにも合うという意見もあります。毎年正月にはこのお酒が欠かせないという人も多いようです。また、贈答品としてもおすすめできます。

青松白鷹は生もと造りの本醸造酒で、精米歩合は70%です。剣菱の山廃造りに対して白鷹は生もと造りですが、どちらも酒母造りの仕込み時に乳酸を添加しない、生もと系の造りです。青松白鷹の原料米は、以前は麹米は山田錦、掛米は金南風（きんまぜ）でしたが現在は公表されていません。一方、剣菱の原料米は、山田錦・愛山・その他となっています。

青松白鷹は老舗蕎麦屋などでよく出されているお酒で、癇が好まれます。剣菱ほどの熟成感はなく、シャープな辛口のお酒です。酸と旨みのバランスの取れた飲み飽きない酒質で、いろいろな料理と合わせやすいお酒です。晩酌におすすめします。

剣菱はスーパーやドラッグストアなどの酒を扱う店舗に置かれている事が多いですが、白鷹を見かけることはほとんどありません。購入する場合はネットストアからということになりそうです。

剣菱酒造 剣菱について、商品概要、おすすめポイント、口コミ評価、他製品との比較などをまとめてみました。

剣菱は個性の強いお酒です。最低でも一年熟成された原酒を使っており、炭ろ過も控えめですので、まったりした熟成感があり、黄色っぽい色をしています。香りや味わいも、若干老ねたところがある面白いお酒ですが、苦手な人も多いかもしれません。

薄っぺらな酒と違い、剣菱は加水に耐えるしっかりした造りのお酒なので、飲みにくいと感じたときには、ごく少量の水で割り水をしてみることをおすすめします。新たな香りが立ち、別の表情を見せてくれます。

剣菱は大手酒造メーカーですが、米を酵素で溶かして製造するような工業的な手法は一切せず、昔からの伝統を守り、しっかりした酒造りをしている会社です。好みの問題はありますが、飲んだことがない人は、一度試してみてはいかがでしょうか。